アリシュタ
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アリシュタ(梵: अरिष्ट, Ariṣṭa)あるいはアリシュタースラ(梵: अरिष्टासुर, Ariṣṭāsura)は、インド神話に登場するアスラである。マトゥラーの悪王カンサに仕える悪魔の1人[1]。『バーガヴァタ・プラーナ』によると巨大な牡牛の姿をしたアスラで[2]、背中のこぶはまるで雲を被った山のようであり[3]、尾を直立させると雲に届いたという[4]。成長したクリシュナによって退治された。
神話
[編集]アリシュタは蹄で大地を震動させながら現れ、咆哮しながら、蹄で大地を荒らし、鋭い角で土を掘り返し、人々を強く睨みつけた。牛飼やゴーピーたちは恐れおののき、クリシュナに助けを求めた。そこでクリシュナがアリシュタを挑発すると、アリシュタは激昂し、クリシュナに向かって突進して角を突き立てた。しかしクリシュナはその角をつかんで逆に押し返した。アリシュタは再度突進したが、クリシュナは角をつかんで悪魔を大地に投げた。さらにその上に飛び乗って踏みつけ、死ぬまで殴り続けた[5]。クリシュナの戦いを見た聖仙ナーラダは、ヴァスデーヴァとデーヴァキーの息子が生きており、数々のアスラを倒してきたことをカンサに告げた。ナーラダ仙からクリシュナの生存を聞かされたカンサは悪魔ケーシンにクリシュナとバララーマの殺害を命じ、またムシュティカやチャーヌーラたちに闘技場を建設させ、クリシュナを殺すための闘技大会の開催を命じた[6]。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 『バーガヴァタ・プラーナ 全訳 下 クリシュナ神の物語』美莉亜訳、星雲社・ブイツーソリューション、2009年。ISBN 978-4434131431。
- Srimad Bhagavatam Canto 10, Chapter 36: The Slaying of Arishta, the Bull Demon