「蠅の王」の版間の差分
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2014年6月1日 (日) 21:35時点における版
『蝿の王』 (はえのおう) Lord of the Flies | ||
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著者 | ウィリアム・ゴールディング | |
訳者 | 平井正穂 | |
発行日 |
新潮文庫版(1975年3月) 集英社文庫旧版(1978年1月) 集英社文庫新装版(2009年6月) | |
発行元 |
新潮社 集英社 | |
ジャンル | 英米文学 | |
国 | イギリス | |
言語 | 英語 | |
コード |
ISBN 978-4-10-214601-9 ISBN 978-4-08-760578-5 | |
ウィキポータル 文学 | ||
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『蠅の王』(はえのおう、原題:Lord of the Flies)は、1954年出版のウィリアム・ゴールディングの小説。題名の「蠅の王」とは、聖書に登場する悪魔であるベルゼブブを指しており、作品中では蠅が群がる豚の生首を「蠅の王」と形容している。また、生首が豚であるのは、七つの大罪のうちのベルゼブブが司る『暴食』を象徴する動物が、豚であるからと思われる。
1963年にはピーター・ブルック監督、1990年にはハリー・フック監督で映画化された。
概要
ジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記』やロバート・バランタインの『珊瑚礁の島』など19世紀以前に流行した「孤島漂着もの」の派生形であるが、本作はこれらの作品とは正反対の悲劇的な展開となっている。
スティーブン・キングや中上健次の作品には「蠅の王」というモチーフがたびたび登場する。
本作品は人が集団を営むには権威の存在が必要であり、それが無ければ人は容易にバラバラになる。これは大人も同様で権威は絶対的に必要な存在であり、我々のコモンウェルスがバラバラにならないのは、王室が存在しているからなのだという趣旨がこめられている。[要出典]
ストーリー
未来の大戦中、疎開地へ向かう飛行機が墜落し、乗員である少年たちは南太平洋の無人島に置き去りにされる。当初はラーフとピギーの二人を中心に規則を作り、烽火をあげ続けることで救援を待とうとする。
最初こそ協力し合っていた彼らであったが、元々ラーフと仲の悪かった少年・ジャックは、ラーフが中心である事を気に入らず、また食べ物等にも不自由しない島で自由に生きる事を望んでいた為に、独自に狩猟隊を結成するのだった。ジャックは狩猟隊のメンバーと共に毎日を好き勝手に漫遊し、豚を狩る事で上等なご馳走を得ており、やがてはラーフの一派の少年達もその魅力に引かれ始める。
そんな中、せっかく船が島の沖を通りかかったにも拘らず、その日の当番が烽火を怠ったのが原因で、自分達の存在に気付かないまま船は過ぎ去ってしまい、ラーフの一派では対立が巻き起こってしまう。その隙を突く様に、ジャックはラーフの仲間達を引き込んでいくまでのカリスマ性まで発揮していくも、次第に狩猟隊の少年達は、内面の獣性が目覚めていき、泥絵の具を顔に塗りたくった蛮族の様な姿となって、ついには仲間の一人であったサイモンを集団で手にかけるまでに至ってしまう。
仲間の殆どをジャックに奪われてしまったラーフは、唯一自分の味方でいてくれたピギーも、ジャックの取り巻きであるロジャーに岩を頭上に落とされ殺されてしまい、完全に孤立。その翌日、ジャックは自らが王でいられる楽園を脅かしうる一番目障りな存在であったラーフを排除すべく、狩猟隊に木の枝を槍の様に尖らせて、ラーフの殺害を指示する。ラーフは孤立してしまった恐怖や悲しみに苦しみながらも、森に火を放ったジャック達狩猟隊から、島中を逃げ回る事になる…。
日本語訳
2社から出版されているが、共に平井正穂の訳である。
- ゴールディング 著「蠅の王」、伊藤整等編 編『世界文学全集 20世紀の文学』 第16巻(フォースター、ゴールディング)、平井正穂訳、集英社、1965年。
- ウィリアム・ゴールディング『蠅の王』平井正穂訳、集英社〈現代の世界文学〉、1973年。
- ウィリアム・ゴールディング『蠅の王』平井正穂訳、新潮社〈新潮文庫 コ-7-1〉、1975年3月30日。ISBN 4-10-214601-6 。
- ウィリアム・ゴールディング「蠅の王」『世界の文学』 第17巻(ゴールディング)、平井正穂訳、集英社、1977年4月。
- ウィリアム・ゴールディング『蠅の王』平井正穂訳、集英社〈集英社文庫〉、1978年1月。
- ゴールディング「蠅の王」『集英社ギャラリー「世界の文学」』 (5)イギリス4、平井正穂訳、集英社、1990年1月19日。ISBN 4-08-129005-9 。
- ウィリアム・ゴールディング『蠅の王』平井正穂訳、集英社〈集英社文庫 コ13-1〉、2009年6月26日。ISBN 978-4-08-760578-5 。
関連文献
- 岩崎宗治 著「ゴールディングの『蠅の王』――終末の寓話」、篠田一士ほか編 編『ロマン派文学とその後 加納秀夫教授退任記念論文集』研究社出版、1980年9月。ISBN 978-4-327-33205-1。
- 野崎嘉信 著「ウィリアム・ゴールディング『蠅の王』」、東郷秀光・山本証編 編『英米文学――名作への散歩道』 イギリス篇(2)、日高八郎監修、三友社出版、1983年5月。
- 安藤聡 著「指輪の王と蝿の王」、成瀬俊一編著 編『指輪物語』ミネルヴァ書房〈シリーズもっと知りたい名作の世界 9〉、2007年10月30日。ISBN 978-4-623-04544-0 。
映画化
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これまでに2回映画化されている。
1963年版
日本では劇場未公開。上映時間87分。イギリスが核攻撃を受けたため、陸軍幼年学校の生徒たちが飛行機で疎開先へと向かう途中で遭難したという設定になっている。
- スタッフ
- 監督・脚本:ピーター・ブルック
- 製作:ルイス・アレン
- 撮影:トム・ホリーマン
- 音楽:レイモンド・レッパード
- キャスト
- ラルフ:ジェームズ・オーブリー
- ピギー:ヒュー・エドワーズ
- ジャック:トム・チェイピン
- ロジャー:ロジャー・エルウィン
- サイモン:トム・ゲイマン
1990年版
上映時間90分。
- スタッフ
- 監督:ハリー・フック
- 製作:ロス・ミロイ、ルイス・アレン
- 脚本:サラ・シフ
- 製作総指揮:ルイス・アレン、ピーター・ニューマン
- 撮影:マーティン・フューラー
- 音楽:フィリップ・サルド
- キャスト
- ラルフ:バルサザール・ゲティ
- ピギー:ダニュエル・ピポリー
- ジャック:クリス・フュール
- ロジャー:ゲイリー・ルール
- サイモン:ジェームズ・バッジ・デール
- 軍人:ボブ・ペック