ドラゴンクエストシリーズの呪文体系
ドラゴンクエストシリーズの呪文体系では、スクウェア・エニックス(旧エニックス)のコンピュータRPG、ドラゴンクエストシリーズにおける様々な呪文(呪文)を体系別に解説する。
作品における呪文の位置づけ
ロールプレイングゲームにおいては、さまざまな魔法・呪術が登場しているが、このドラゴンクエストシリーズも例外ではない。本シリーズでは魔法の発動には「呪文を唱える」(詠唱が必要であるため、口を塞がれると使用は不可能となる)ことが必要であり、それによる魔法そのものも「呪文」と呼ばれることが多い[1]。勇者系、神官・僧侶系、魔法使い系など使用可能な職業によって分類されることもある。また、シリーズによっては複数の系統の呪文を身につけることもできる。味方のキャラクターのみならず、敵キャラクターにも呪文を使用するものが存在し、中には敵キャラクター専用の呪文も存在する。
シリーズの代名詞といえる要素の一つでもあり、派生作品でも世界観を成す上での重要な役割を担っている。その扱いは作品によって様々であり、誰もが訓練次第で使えるようになる世界もあれば、呪文使用者自体が非常に珍しい世界もある。しかしいずれにおいても、限られたもののみが使用できる強力な呪文の存在がある。
呪文には、敵との戦闘中のみ使用できるもの(攻撃呪文・攻撃補助呪文・補助呪文)、戦闘中と移動中の両方において使用できるもの(回復呪文)、移動中のみに使用できるものがある。作品・呪文ごとに消費MP(マジックパワー)が定められており、呪文を使用するとその者のMPが消費MP分減算される。キャラクターの残りMPが呪文の消費MPよりも少ないと、呪文を使用することはできない。本作ではMPは自然回復しないため、「まほうのせいすい」「いのりのゆびわ」などのMP回復道具を使うか、宿屋で泊まるなどして回復させる必要がある。MPの回復はHPの回復より困難な位置づけとなっている。
呪文は基本的に、経験値をためてキャラクターのレベルが上がることによって覚えるが、『VI』以降ではそれ以外にも「職業レベル」や「スキルポイント」のアップによって覚えるケースもある。また、一部、ストーリー中のイベントによって覚える呪文もある。(なお、このことは特技(→ドラゴンクエストシリーズの特技一覧)についても同様である)
呪文の多くは、その呪文の形態に応じて名前が付けられている。例えば、メラは「めらめら」というような炎の形容、「ギラ」は「ぎらぎら」と光の形容を捩ったようなネーミングがされている。中には過去のアニメから取ったようなネーミングもあり、「ラリホー」はアメリカ製テレビアニメ、『スーパースリー』に登場する主人公達のかけ声でもある。また、「デイン」は雷系呪文であり、ライデイン=雷電と通じる。他にも地方の方言を入れたと思われる物もある。例えば「ヒャド」は冷たいことを「ひゃだるっこい」という地方もある。系統によって接頭語・接尾語的なものもあり、魔法関係は「マホ~」みんなで唱えるものは「ミナ~」、威力が強くなるものは「べ~」「~マ」がつく傾向がある。
本編に登場した呪文
以下では、ドラゴンクエストシリーズにおける呪文を体系別に解説する。
攻撃呪文
相手に直接ダメージを与える、または相手を倒すことを目的とした呪文。戦闘中にのみ使うことができる。
ダメージ系(系統別)
大まかに以下のような系統に分けることができる。モンスターには以下の系統ごとに耐性が設定されている。
- メラ、メラミ、メラゾーマ、メラガイアー(メラ系)
- 『III』で初登場。メラガイアーは『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー』に登場。
- 相手に火球をぶつける。対象は1体。初等のメラは魔法使いなどが最初に覚えるもので、ダメージも小さい(これを利用して敵のマホカンタの有無を確認するのも手法の1つ)。しかし、メラミ・メラゾーマとなるにつれてダメージ量は飛躍的に増大し、ボス戦でも活躍する呪文となる。
- ギラ、ベギラマ、ベギラゴン(ギラ系)
- ギラとベギラマは第1作から登場、ベギラゴンは『III』で初登場。『ジョーカー』では削除された。
- メラ系が圧縮された火の玉であるのに対し、こちらは帯状に炎を放出して攻撃する。もしくは、高エネルギーの熱閃で燃やす。このあたりは詳しくは設定されておらず曖昧であり、作品ごとに差異が見られる。デイン系の呪文がまだ登場していなかった第1作と第2作の発売当初では、ギラが火の玉の呪文、ベギラマが雷の呪文という設定になっていたが、『III』の「公式ガイドブック」の発売以降は閃光の呪文という設定に統一された。漫画『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』、『天空物語』においては、メラよりも熱(プラズマ)を操る呪文としては上級として扱われ、メラ系とは原理が厳密には異なるとされている。『II』(携帯電話版を除く)ではギラが単体対象、ベギラマが全体対象。『III』以降および携帯電話版『II』では敵1グループ対象。ベギラゴンは威力ではメラゾーマに大きく劣り、イオナズンと比較すると攻撃範囲も威力も劣る。
- イオ、イオラ、イオナズン、イオグランデ(イオ系)
- イオナズンのみ『II』で、イオ、イオラは『III』で初登場と登場順が前後している。イオグランデは『ジョーカー』に登場。
- 相手の頭上に爆発を発生させることで敵を攻撃する。対象は相手全体。全体攻撃の上に威力も高いという強力な呪文だが、その分MPの消費も多い。
- ヒャド、ヒャダルコ、ヒャダイン、マヒャド、マヒャデドス(ヒャド系)
- 『III』で初登場。マヒャデドスは『ジョーカー』に登場。
- 氷や吹雪によって相手を攻撃する。ヒャドは単体、ヒャダルコは1グループ、ヒャダインは全体が対象。マヒャドは『III』『IV』では1グループ、『V』以降では全体を攻撃する。『V』以降にはヒャダインが存在しない。また、ヒャドはスーパーファミコン版『V』では敵のみ使用可能。
- バギ、バギマ、バギクロス、バギムーチョ(バギ系)
- バギは『II』で、バギマ、バギクロスは『III』で初登場。バギムーチョは『ジョーカー』に登場。
- かまいたちを発生させ、相手を切り裂く。対象は1グループ。攻撃呪文だが魔法使いより僧侶や聖職者が使用することが多い。他の系統と比べてダメージのばらつきが大きい。
- デイン 、ライデイン、ギガデイン、ジゴデイン(デイン系)
- ライデイン、ギガデインは『III』で初登場。デインは『ドラゴンクエストモンスターズ』シリーズに登場。ジゴデインは『ジョーカー』に登場。
- 聖なる力で雷雲を呼び寄せて電撃を落とす。「勇者の血を引くものしか扱えない」等という設定が付随する事が多い。ファミコン版『III』の発売当初のギガデインは「体内から敵を爆発させる」等と設定に混乱が見られたが、「公式ガイドブック」発売以降は電撃の呪文に統一。『ジョーカー』では電撃ではなく聖なる光の呪文となった。『III』『IV』ではライデインが単体、ギガデインが全体攻撃であったが、『V』以降はライデインが全体、ギガデインが1グループ対象。『ジョーカー』では全て単体攻撃。
- ミナデイン
- 『IV』で初登場したが、『VIII』には登場しない。
- デイン系の最強呪文。戦闘パーティー全員の力を合わせて(戦闘メンバー全員が一定のMPを消費して)単体に大ダメージを与える。人数が足りなかったり、一人でもMPが足りないキャラクターがいる場合は唱えられない。ダメージは非常に高いが、そのターンはパーティー全員がミナデイン以外の一切の行動ができない。
- 『VI』の公式ガイドブックのイラストでは、主人公と仲間たちが両手を上げ、その上空に雷エネルギーの玉が描かれており、さながら『ドラゴンボール』の「元気玉」をイメージさせるものとなっている[2]。また、漫画『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』では数百人とみられる人々より魔法力を集め、『ドラゴンクエスト 幻の大地』に至っては世界中の人々の夢の力を集めて放っており、これらもたびたび元気玉との類似性を指摘される。
- ドルマ 、ドルクマ、ドルモーア、ドルマドン(ドルマ系)
- 『ジョーカー』に登場。
- 闇の力で地獄のいかづちを呼び、攻撃する。対象は1体。
ダメージ系(上記以外)
以下は、相手にダメージを与える攻撃呪文のうち、上記のように系統別になっていないものである。
- コーラルレイン、メイルストロム
- 『VII』の職業、海賊が覚えることができる。
- 水流によってダメージを与える。属性はバギ系。コーラルレインは全体、メイルストロムは1グループが対象。
- ジゴフラッシュ
- 『VIII』にて敵のみが使う呪文。
- 光を発して全体にダメージを与えるとともに幻惑状態(マヌーサをかけられた状態と同じ)にする。この呪文によって力を取り戻すアイテムもある。
- マダンテ
- 『VI』より登場。
- 詠唱者の全MPを消費して、その3倍(作品によっては2倍)のダメージを全体に与える究極の呪文。禁断の呪文とも呼ばれる。マホカンタで跳ね返すことができない。『VI』『VII』、およびプレイステーション版『IV』では、呪文ではなく特技となっている。『ドラゴンクエストモンスターズ2』では単体対象で、それ以外では全体対象。
- ミナダンテ
- 『モンスターズ2』において単体攻撃であるマダンテの全体攻撃版であり、効果は他作品でのマダンテとほぼ同様。マダンテの使用者に対し、MP回復呪文マホイズンによって魔力を供給することで発動する。
- メドローア
- 『モンスターズ2』に登場。
- 火炎系の最強呪文メラゾーマと冷気系の最強呪文マヒャドを組み合わせ、臨界状態を発生させ対象を消し飛ばす極大消滅呪文。もともとは漫画『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』のオリジナル呪文であった。
非ダメージ系
以下は、相手に「ダメージを与える」以外の方法で敵を倒す、あるいは追い払うための特殊な攻撃呪文である。ゲーム展開の都合上、ボス敵に対しては自動的に失敗する。
- ザキ、ザラキ、ザラキーマ(ザキ系)
- ザラキは『II』、ザキは『III』、ザラキーマは『VI』で初登場。
- 相手を即死させるが、失敗することもある。ザキは単体、ザラキは1グループ、ザラキーマは全体対象である。ザラキ・ザラキーマよりもザキのほうが成功確率は高い。ファミコン版『II』の説明書では、血液を一瞬で凝固させる呪文と表記されていた。
- メガンテ
- 『II』で初登場。
- 自分の命を犠牲にして相手全体を消滅あるいは瀕死状態にさせる。砕け散った敵からは、経験値などを得ることはできない。漫画『ロトの紋章』、『ダイの大冒険』、アニメ『ドラゴンクエスト』では主人公らの師が強敵を道連れに玉砕しようとする際に用いられている(いずれも倒しきれず―ゲームと違い多少のダメージは受けている―、主人公らがその敵を撃破・撃退している)。
- ギガンテ
- 『モンスターズ2』に登場。
- 効果はメガンテと同じだが、成功率が大幅に向上している。メガンテと、特技とっこうを同時に仕掛けることで発動する。
- ニフラム
- 『III』より登場しているが、『VIII』には登場しない。
- 相手を光の彼方に消し去る。対象は1グループ。効くモンスターは限られており、主に弱い敵、ゾンビ系や物質系の敵や一部の夜行性の敵に有効。経験値などを得ることはできない。
- バシルーラ
- 『III』で初登場。
- 移動呪文のルーラと同様の作用で相手を遠隔地に飛ばしてしまう。経験値などは一切得ることはできない(ファミコン版の『III』に限りゴールドのみを得られる)。『III』『VI』『VII』では敵単体が対象。『VIII』では主人公が呼び出したモンスターチームを吹き飛ばす目的で敵のみが使用する呪文として登場する。また、仲間がこの呪文を受けると、パーティから外されルイーダの酒場に戻されてしまう。なお、主人公はこの呪文を受けても効果は一切無い。この呪文は『IV』『V』には登場していないが、使用するとこの呪文と同様の効果を発揮するアイテム「ふうじんのたて」は存在し、こちらは敵全体が対象となる。
攻撃補助呪文
相手の行動を封じたりステータスを下げたりすることによって、戦闘を有利にする呪文。戦闘中にのみ使用できる。『VII』以降の作品では一定ターンが経過すると効力が失われるようになった。
- ラリホー、ラリホーマ
- ラリホーは第1作、ラリホーマは『IV』で初登場。
- 相手を眠らせる。ラリホーよりラリホーマの方が成功率が高い。ラリホーは1グループに有効。ラリホーマは『IV』では1体に、『V』以降は1グループに有効。『精霊ルビス伝説』ではラリホーに「羅麗凰」の漢字表記があてられていた。
- メダパニ、メダパニーマ、メダパーニャ
- メダパニは『III』で初登場。メダパニーマは『VIII』、メダパーニャは『ジョーカー』で登場。
- 相手を混乱させる。メダパニは『III』『IV』では1体に、『V』以降は1グループに有効。メダパニーマとメダパーニャは全体に有効。
- マヌーサ
- 『II』で初登場。
- 相手を霧に包み、直接攻撃(打撃)の命中率を下げる。対象は1グループ。
- ルカニ、ルカナン
- ルカナンは『II』、ルカニは『III』で初登場。
- 相手の守備力を下げる。ルカニは1体、ルカナンは1グループ有効だが、ルカナンはルカニよりも低下率は低い。
- 『剣神ドラゴンクエスト』と『ドラゴンクエストソード』では敵専用呪文で主人公のバリアや盾を小さくする効果となっている。『剣神』ではルカニのみ、『ソード』ではルカナンのみが登場。
- ボミエ 、ボミオス
- ボミオスは『III』で初登場。ボミエは『モンスターズ』シリーズに登場。
- 相手の素早さを下げる。ボミエは1体、ボミオスは1グループに有効。守備力には干渉しない。
- ダウン、ダウンオール
- 『ジョーカー』に登場。
- 相手の攻撃力を下げる。ダウンは1体、ダウンオールは全体に有効だが、ダウンオールはダウンよりも低下率が低い。
- フール、マフール
- 『ジョーカー』に登場。
- 相手のかしこさを下げることで、呪文の効果を低下させる。フールは1体、マフールは全体に有効だが、マフールはフールよりも低下率が低い。
- マホトム、マホトーン
- マホトーンは第1作から登場。マホトムは『ジョーカー』に登場。
- 相手の呪文を封じ込め、使用不能にする。マホトムは敵1体、マホトーンは敵1グループ対象。
- ペスカトレ
- 『VIII』で登場。
- 相手の踊り(ふしぎなおどり、死のおどりなど)を封じ込める。特技の「おどりふうじ」と同じ。対象は1グループ。
- マホトラ
- 『III』で初登場。
- 相手1体のMPを奪い取って自分のものにする。消費MPは0なので、MPが尽きていても使える。また、MPが少ない敵への呪文封じとしても有効。
- ベマホトラ
- 『ドラゴンクエストモンスターズ1・2』に登場。
- マホトラと、MP吸収特技マホトラおどりを同時に仕掛けることで発動する。敵1体のMPを完全に吸い尽くし、使用者2人で分配する。『モンスターズ2』の連携特技まりょくのうねりに相当。
- ディバインスペル、マジックハック
- ディバインスペルは『VIII』、マジックハックは『ジョーカー』に登場。
- 呪文に対する抵抗力を弱め、自分たちからの呪文を効きやすくする。
- マジャスティス、ギガジャティス
- 『VII』で登場。本来の開発目的は魔王を封印する為のもの。
- 相手にかけられている補助呪文の効果をすべて打ち消す効果がある(特技の「いてつく波動」に類似)。マジャスティスは相手1グループ対象。ギガジャティスは敵味方全体に効果が及び、さらに数ターンの間呪文を一切使用できない状態にする(こちらは特技の「あやしいきり」と類似)。
- なお、紛らわしいが「ギガジャスティス」ではなく「ギガジャティス」である。これは単に『VII』のシステムの関係上、呪文の名前が文字数制限を超過したためにやむを得ず1文字削ったからだと推測される。
補助呪文
味方のステータスを上げることなどによって戦闘をサポートする呪文。戦闘中にのみ使用できる。なお、上昇したステータスは戦闘が終わると元に戻る。また、『VII』以降の作品では一定ターンが経過すると効力が失われるようになった。
- スカラ、スクルト
- スクルトは『II』、スカラは『III』で初登場。
- 味方の守備力を上げる。スカラは1人に、スクルトは味方全体に有効だが、スクルトはスカラよりも上昇率は低い。
- 『剣神』ではスクルトのみが登場し、一定時間主人公のバリアを大きくする呪文となっている。
- ピオラ 、ピオリム
- ピオリムは『III』で初登場。ピオラは『モンスターズ』シリーズに登場。
- 味方の素早さを上げる。ピオラは1人に、ピオリムは味方全体に有効。守備力には干渉しない。
- バイキルト、バイシオン
- バイキルトは『III』で初登場。バイシオンは『ジョーカー』で登場。
- 味方の攻撃力を上げる。バイキルトは1人に、バイシオンは全体に有効。
- 『ジョーカー』以外の作品でのバイキルトは与えるダメージが2倍になる効果。重ねがけは出来ない。「はやぶさぎり」「ばくれつけん」などの多段攻撃やムチ・ブーメラン等による複数攻撃では、一撃目のみに効果がある。作品によっては使用されたキャラクター(モンスター)は会心の一撃が出なくなる。
- 『ジョーカー』においては攻撃力の数値を上昇させる効果となっている。バイシオンは全体に効果がある代わりに上昇率はバイキルトに劣る。
- バイシルド
- 『ソード』で登場。
- 一定時間、主人公の盾を大きくする。
- インテ、インテラ
- 『ジョーカー』で登場。
- 味方のかしこさを上げることで、呪文の効果を向上させる。インテは1人に、インテラは味方全体に有効。
- マホステ
- 『IV』で登場。
- 他者が自分にかけた呪文をすべて無効にする。1人に対して有効。『IV』の開発中は「マホナシ」という名前で紹介されていたことがある。漫画『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』では、勇者のみに使える呪文という設定。
- マホキテ
- 『V』で初登場。
- 相手の呪文を受けたとき、その消費MPの分だけ自分のMPが回復する。ただし受けるダメージに変化は無い。1人に対して有効。『モンスターズ』1作目ではマホトラが成長して習得する呪文になっており、マホキテを習得するとマホトラが使えなくなってしまう。『モンスターズ2』以降は独立した呪文となった。
- マホターン、マホカンタ
- マホカンタは『III』で初登場、マホターンは『VI』『VII』で登場。
- 他者がかけた呪文を術者にはね返す。マホカンタは恒久的だが、マホターンは1回だけで効果が切れる。仲間のかけたホイミなどの回復呪文も跳ね返してしまうが自分で使えば支障はない。『V』のマホカンタのみいずれかの味方1人に、それ以外は自分自身にのみ有効。『III』の開発中は「マホテスマ」という名前で紹介されていたことがある。
- アタックカンタ
- 『ジョーカー』に登場。
- 受けた通常攻撃を攻撃者にはね返す。効果は1回で切れる。自分自身にのみ有効。
- バーハ、フバーハ
- フバーハは『III』で初登場、バーハは『ジョーカー』に登場。
- 炎や冷気といったブレス系の攻撃のダメージを軽減するバリアを張る。ただし、同じ炎や冷気による攻撃でも、メラ系やヒャド系の攻撃呪文に対しては効果が無い。バーハは1人に、フバーハは全体に有効。
- マジックバリア
- 『VI』で初登場。
- 呪文によるダメージを軽減する。味方全体に有効。
- アストロン
- 『III』で初登場(『VIII』では登場せず)。
- 味方全体(敵キャラクターが使う場合は自分自身のみ)を鉄のかたまりとし、一定ターンの間全ての攻撃を無効化するが、自分も一切の行動が不能になる。敵の出方を伺うときや、敵のMPを無駄使いさせてしまいたいときに便利。『ジョーカー』では、基本的な効果は同様であるが、「むてきのバリア」を張るという設定になっている。漫画『ロトの紋章』では、勇者のみに使える呪文という設定だった。漫画『ダイの大冒険』および『幻の大地』では、自分に効果をもたらさずに味方に対してかけるシーンがあった。
- モシャス
- 『III』で初登場(『VIII』では登場せず)。
- 対象の1人に変身し、HP・MPを除く能力、呪文・特技をコピーする。『V』~『VII』とリメイク版『IV』では敵のみが使用できる呪文。主人公側が使う場合は主人公たちの誰か1人の能力をコピーし、敵キャラクターが使う場合は主人公側の1人の外見と能力がコピーされる。『V』では仲間モンスターのみがコピーされる対象となる。
- ドラゴラム
- 『III』で初登場(『VIII』では登場せず)。
- 自分自身をドラゴンに変身させて炎などで敵を攻撃する。変身中は命令することはできない。『モンスターズ』では竜王(ドラゴン形態)と同じ姿になる。
回復呪文
味方の状態を回復させる呪文。以下の呪文は特に記述がない限り、戦闘中・移動中の両方に使用できる。
- ホイミ、ベホイミ、ベホマ
- ホイミ、ベホイミは第1作から登場、ベホマは『II』で初登場。
- 単体のHPを回復させる。ホイミは30ポイント程度、ベホイミは80ポイント程度、ベホマは最大値まで完全回復させる。ホイミ、べホイミはシリーズごとに回復量が異なる。
- ベホマラー、ベホマズン
- 『III』で初登場。
- 味方全体のHPを回復する。ベホマラーは80ポイント程度、ベホマズンは完全回復。べホマラーは回復量が異なる作品もあり、また、戦闘中にしか使用できない作品もある。ベホマズンはベホマラーより大量のMPを消費するが、こちらは消費MPがシリーズによってばらつきがある。
- リホイミ
- 『ジョーカー』で登場。
- 味方一人のHPを徐々に回復させていく。
- キアリー
- 『II』で初登場。1人の毒、猛毒を治療する。
- キアリク
- 『III』で初登場。
- 麻痺を治療。睡眠の治療効果(ザメハと同じ効果)を兼ねている作品もある。対象は『III』では1人、『IV』以降味方全員が対象となった。
- キアラル
- 『モンスターズ』シリーズで登場。
- 混乱状態を治療。戦闘中のみ使用できる。眠り状態からも復活させる。
- ザメハ
- 『III』『IV』で登場。
- 寝ている味方を全員起こす。戦闘中のみ使用できる。
- ザオラル、ザオリク
- ザオリクは『II』、ザオラルは『III』で初登場。
- 死んだ味方1人を蘇生させる。ザオリクは100%の確率で完全回復するが、ザオラルは成功確率と復活後のHP回復率がザオリクの2分の1。ファミコン、MSX/MSX2版の『II』ではザオリクで蘇生後のHPが1で、なおかつ戦闘中に使用できなかった。
- ザオリーマ
- 味方全員にザオリクとベホマの効果があり、『VI』『VIII』において特定の条件を満たすことで使うことができる。
- メガザル
- 『IV』で初登場。
- 自らを犠牲にして仲間全員を蘇生かつ完全回復させる。全てのMPを消費するが、使用できるのは戦闘中のみ。
- シャナク
- 『III』~『V』と『モンスターズ』シリーズで登場。
- 1人の呪いを解くために使われる呪文。『III』とFC版『IV』では呪われたアイテムを装備してしまった際にそれを破壊し、PS版『IV』では呪われたアイテムを壊さずに外す。『V』、『モンスターズ』では敵にかけられた呪いを解く。
- マホイミ 、マホリク 、マホイズン
- 『モンスターズ2』に登場。
- 味方1人のMPを回復する。回復量は消費MPより小さい(なお、マホイミは漫画『ダイの大冒険』に登場する同名の過剰回復呪文とはまったくの別物である)。
- マホアゲル、マホヤル、マホヤズン
- マホアゲルは『VIII』、マホヤルとマホヤズンは『ジョーカー』で登場。
- 自分のMPを他の味方1人に分け与える。戦闘中のみ使用できる。マホヤズンは術者の残りMPすべてを対象に移動させる。
移動呪文
以下に挙げられるのは移動中に使う呪文である。
- ルーラ
- 第1作から毎回登場。
- 1度行ったことがある町や村に移動する。第1作ではラダトーム城へ、『II』(携帯版を除く)では最後に復活の呪文を聞いた(セーブした)場所に戻り、それ以外の作品では一度訪れた任意の町や村など選択して移動することができる。正確には瞬間移動ではなく、空を飛んで目的地へ高速移動する呪文であるため、ダンジョンなどの天井のある場所では頭をぶつけてしまい使用できない。ただし、塔などの場合は屋上や屋外なら使用可能な場合もある。聖域や重要イベントの進行中に唱えると、「ふしぎなチカラ」によってかき消されてしまうことがある。『III』と『IV』(ファミコン版)では戦闘時に唱えると、その戦闘から離脱することができる。
- リレミト
- 第1作から登場。
- ダンジョン(洞窟や塔、迷宮)の中から、即座に入口まで脱出する。ルーラと同じくかき消されることもある。
- トラマナ
- 『II』~『VII』で登場。
- 毒の沼地やバリア床など、普通に歩くとダメージを受ける場所で、そのダメージを無効化する。
- ラナルータ
- 『III』~『V』で登場。
- 昼と夜を逆転させる。町の中などで使用した場合は町などの入口に戻される。
- レミーラ
- 第1作で登場。
- 洞窟内で主人公の周囲を明るく照らす。「たいまつ」より見渡せる範囲は広い。但し明かりは時間が経つにつれて範囲が小さくなっていき、最後には消滅する。
- レミラーマ
- 『VI』で初登場(『VIII』では登場せず)。
- 本編作品では、唱えると、アイテムやお金が落ちている場所が一瞬だけ光る。『VII』とPS版『IV』ではモンスターの潜む井戸や本棚も光る。『モンスターズ』では異世界のマップを全て映し出す(同じ効果を持つアイテムもある)。
- アバカム
- 『II』『III』に登場。
- 鍵のかかっている扉を開ける。ただし、この呪文でも開かない扉もある。
- トヘロス
- 第1作から登場。
- 一定距離を進む間、自分たちより弱いモンスターが出現しないようにする。道具「せいすい」を移動中に使った場合と同効果。『V』以前の作品では、ダンジョンでは効果がなくフィールド上でのみ有効だった。
- ステルス
- 『ジョーカー』に登場。
- 気配を消し、モンスターに見つからずに移動することができる。
- インパス
- 『III』で初登場(『VIII』では登場せず)。
- 発見した宝箱・壷の中身を判別する。青く光ればアイテム、黄色に光ればゴールド(お金)、赤く光った場合はミミックやひとくいばこなどのモンスターが擬装している(『III』のピラミッドで黄色く光る宝箱は、ミイラおとこ4匹を倒した後にアイテムを入手可能)。『V』『VI』ではアイテムの鑑定も行う。
- レムオル
- 『III』に登場。
- パーティ全員の姿が消える。アイテム「きえさりそう」と同様。街の人からは気づかれなくなるが、モンスターとのエンカウントには何ら影響しない。
- フローミ
- 『VI』『VII』とリメイク版『III』『V』で登場。
- 洞窟や塔などで現在の地名や階層を知ることができる。
その他
以上のどれにも属さない呪文である。
- パルプンテ
- 『II』~『VII』、モンスターズで登場。
- 戦闘中に使える。数種類の効果のうち、何が起こるかはわからない。以下に主な効果を挙げる。
- 恐ろしいものが現れ、敵全員が逃げ出し、味方全員気絶して戦闘が終了する。
- 魔神が現れ、敵全員に攻撃して去っていく(笑いながら現れ去っていく)。
- 味方のHPが回復する。全体の時と単体の時がある。
- 敵のMPを奪う。
- 仲間一人が生き返る。
- 敵味方全員が混乱する。
- 敵味方全員が眠る。
- 流星が降り注ぎ、敵味方全員のHPが1になる。
- 敵味方全員のMPが0になる。
- 暗闇に包まれ敵味方全員魔法がかき消される。
- 敵全員が砕け散る。
- 白竜があらわれ敵を消し去る。
- その後の攻撃が全て会心の一撃になる。
- 時間が戻り、戦闘開始時に戻ってしまう。
- 一定数のターンの間、時間が止まり、呪文を唱えた者以外行動が一切できなくなる。
- パーティの並び順が変わる。
- 山彦が返ってくるだけで何も状況が変化しない(MPは消費する)。
漫画・アニメ作品で登場した呪文
ドラゴンクエストシリーズのゲーム作品から派生した漫画・アニメ作品には、ゲーム作品に登場した呪文のほかに、それぞれのオリジナル呪文が登場している。それらについては次の各リンク先を参照。
- DRAGON QUEST -ダイの大冒険-の呪文・技
- 『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』のオリジナル呪文
- アニメ『ドラゴンクエスト』(アベル伝説)のオリジナル呪文
- 漫画『ドラゴンクエストモンスターズ+』のオリジナル呪文
- 漫画『スライム冒険記』のオリジナル呪文
脚注
- ^ 作品世界内の用語として「魔法」という表現が使われないわけではないが、コマンド上では「呪文(じゅもん)」で統一されている。
- ^ 『VI』の公式ガイドブックのイラストを描いたのは、アニメ版『ドラゴンボール』を製作した東映動画(現東映アニメーション)である。