マレイン酸(マレインさん、Maleic acid)は、鎖状不飽和ジカルボン酸のひとつである。構造式 HOOC–CH=CH–COOH で表される二価カルボン酸のうち、シス体を指す。同じ示性式だがトランス体であるものは、フマル酸として知られる。

マレイン酸
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識別情報
CAS登録番号 110-16-7 チェック
PubChem 444266
ChemSpider 392248 チェック
UNII 91XW058U2C チェック
EC番号 203-742-5
DrugBank DB04299
KEGG C01384 チェック
ChEBI
ChEMBL CHEMBL539648 チェック
RTECS番号 OM9625000
バイルシュタイン 605762
Gmelin参照 49854
3DMet B00280
特性
化学式 C4H4O4
モル質量 116.07 g mol−1
外観 白色の固体
密度 1.59 g/cm3 [1]
融点

135℃ (分解[2])

への溶解度 478.8 g/L at 20 C[2]
酸解離定数 pKa pka1 = 1.90
pka2 = 6.07 [3]
磁化率 -49.71·10−6 cm3/mol
危険性
安全データシート(外部リンク) MSDS from J. T. Baker
GHSピクトグラム 急性毒性(低毒性)
GHSシグナルワード 警告(WARNING)
Hフレーズ H302, H315, H317, H319, H335
Pフレーズ P261, P264, P270, P271, P272, P280, P301+312, P302+352, P304+340, P305+351+338, P312, P321, P330, P332+313
NFPA 704
0
3
0
関連する物質
関連するカルボン酸 フマル酸
コハク酸
クロトン酸
関連物質 無水マレイン酸
マレイミド
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

IUPAC名はcis-butenedioic acid (cis-ブテン二酸)。

名称「maleic acid」はテオフィル=ジュール・ペルーズが命名したもので、リンゴ酸(malic acid)の脱水反応により得られたことにちなむ[4]

化学的性質

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ジカルボン酸であるため、水への溶解度が高い(25℃で78g/100mL)。幾何異性体にはトランス型フマル酸がある。これらは世界で初めて発見された幾何異性体の組である。

加熱すると135℃で分解し、環状の無水マレイン酸が得られる。これはマレイン酸の2つのカルボキシ基が接近した構造をしているためである。

 

これに対してフマル酸では、カルボキシ基が接近しないため、マレイン酸のように環状化できない。

利用

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マレイン酸はクロルフェニラミンにすると抗ヒスタミン薬として用いられるマレイン酸クロルフェニラミン(クロルフェニラミンマレイン酸塩)となる。同じく抗ヒスタミン薬のマレイン酸フェニラミン(フェニラミンマレイン酸塩)やマレイン酸カルビノキサミン(カルビノキサミンマレイン酸塩)なども同様である。さらに、子宮収縮剤のメチルエルゴメトリンマレイン酸塩、Β遮断薬のチモロールマレイン酸塩(マレイン酸チモロール)、腸管などに作用するトリメブチンマレイン酸塩(マレイン酸トリメブチン)、高血圧治療薬のエナラプリルマレイン酸塩(マレイン酸エナラプリル)などのように、医薬品にはマレイン酸との塩の形にしているものが多数存在している。

出典

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  1. ^ Budavari, Susan, ed. (1996), The Merck Index: An Encyclopedia of Chemicals, Drugs, and Biologicals (12th ed.), Merck, ISBN 0911910123 
  2. ^ a b Record 労働安全衛生研究所(IFA)英語版発行のGESTIS物質データベース
  3. ^ CRC Handbook of Chemistry and Physics, 73rd ed.; CRC Press: Boca Raton, Florida., 1993
  4. ^ The Origin of the Names Malic, Maleic, and Malonic Acid Jensen, William B. J. Chem. Educ. 2007, 84, 924. Abstract

関連項目

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