梅花旗
梅花旗(ばいかき)とは、中華民国が1980年代以降「チャイニーズタイペイ」として国際的なスポーツ大会へ参加する際に使用している旗の通称である。中華民国の国花である梅の中に青天白日の紋章[注 1]とオリンピックシンボルを配したデザインとなっている。1981年(民国70年)にチャイニーズタイペイオリンピック委員会(中華オリンピック委員会)の会旗として制定され、後に梅花旗の意匠をベースとした旗も複数制作されている(後述)[3]。
用途及び属性 | ? |
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縦横比 | 2:3 |
制定日 | 1981年3月23日( 43年 + 237日) |
意味合い
編集中華オリンピック委員会は、梅花旗のデザインに込められた意味合いを下記のとおりに解説している[4]。
- 白地に赤と青で描かれた梅花は、中華民国の国旗と中華民国の国花を組み合わせている。
- 中央に描かれた白日の十二条の光芒は、秩序ある輪廻、終わりのない命を表しており、中華民国の国章が持つ意味合いも込められている。
- オリンピックシンボルは、国際オリンピック委員会(IOC)のオリンピック精神に従い、五大陸が友好的で相互に支援し合える社会をより速く、より高いレベルで、より強く、平和的に構築することを示している。
なお、旗に描かれれているオリンピックシンボルは、1981年に締結された「オリンピック・シンボルの保護に関するナイロビ条約」によって、IOCの許諾を得ない商業利用が禁止されている。
歴史
編集1949年(民国38年)の両岸分断以降、中国には台湾の中国オリンピック委員会[注 2]と大陸の中国オリンピック委員会の2つの国内オリンピック委員会(NOC)が並立する状態となった。1954年(民国43年)にギリシャのアテネで行われた国際オリンピック委員会(IOC)年次総会で双方の「中国オリンピック委員会(英: Chinese Olympic Committee)」が承認されたが、「二つの中国」が並立することに反対した大陸側の中国オリンピック委員会は1958年(民国47年)にIOCを脱退した[6]。
中華民国が国連を脱退した後の1979年(民国68年)、日本の名古屋で開かれたIOC執行委員会にて、台湾側の中華オリンピック委員会が対外的に「チャイニースタイペイオリンピック委員会(英: Chinese Taipei Olympic Committee)」の名称、中華民国の国旗・国歌とは異なる、IOCに承認された旗・歌を使用して残留することを条件に、大陸側の中国オリンピック委員会をIOCに復帰させることが議決された(名古屋決議)[6][7]。1980年(民国69年)、中華オリンピック委員会の職員であったバイアスロン選手の翁明義によって新たな委員会旗の複数の案が作成され、総統の蔣経国によって「梅花五環旗」が新会旗に選ばれた[4]。1981年(民国70年)3月23日、スイスのローザンヌのIOC本部にて、中華オリンピック委員会とIOCと間でローザンヌ協定が締結され、名称・旗・歌の変更が合意された[6]。以降、オリンピックやアジア競技大会などの中華オリンピック委員会が主管する総合競技大会では、中華民国は梅花旗と中華オリンピック委員会会歌[注 3]を使用するようになった[8][9]。
梅花旗の制定後、中華民国の団体が国際的な大会に参加する際は、オリンピック委員会が関係しない大会でも梅花旗を使用するようになった。具体的な使用例としては、バレーボール世界選手権、ワールドベースボールクラシック(野球代表)、FIFAワールドカップ・予選(サッカー代表)などが挙げられる。一方で、梅花旗の意匠をベースに独自の代表旗を制作した事例もあり、ユニバーシアード代表団(1991年大会以降)、バラリンピック代表団(1992年大会以降)、デフリンピック代表団(1993年大会以降)、国際技能競技大会代表団(1993年大会以降)、FIRST Robotics Competition代表団がそれぞれ独自の代表旗を使用している[注 4](#派生旗参照)。また、中華民国の一部国内競技連盟は、梅花旗のデザインを基にした団体旗を制定・使用している。
なお過去の資料によると、2010年以前には青天白日の紋章やオリンピックシンボルのデザインが若干異なる梅花旗が使用されていた(後述)。
派生旗
編集現在使用されている旗
編集-
パラリンピックのチャイニーズタイペイ代表団旗
(兼:中華パラリンピック総会会旗) -
デフリンピックのチャイニーズタイペイ代表旗
(兼:中華民国聴障者体育運動協会会旗) -
FIRST Robotics Competitionのチャイニーズタイペイ代表旗
-
国際技能競技大会のチャイニーズタイペイ代表旗
過去に使用されていた旗
編集-
中華オリンピック委員会章
( - 1979) -
過去に使用されていたデザインの梅花旗
(1981 - 1986) -
過去に使用されていたデザインの梅花旗
(1986 - 2010) -
過去に使用されていたパラリンピックのチャイニーズタイペイ代表団旗
(兼:中華パラリンピック総会会旗)
(1994 - 2004) -
過去に使用されていたデフリンピックのチャイニーズタイペイ代表団旗
(兼:中華民国聴障者体育運動協会会旗)
(1997 - 2019) -
中華民国サッカー協会の旧会旗
( - 2006)
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ “中華奧會會旗有黨徽?設計者挺身澄清旗” (中国語). 聯合新聞網 (2016年8月15日). 2016年9月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月13日閲覧。
- ^ “陳婉真說故事》眼花撩亂的奧運會旗” (中国語). 天空傳媒 (2023年10月4日). 2024年8月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月6日閲覧。
- ^ “承認協會”. 中華奧林匹克委員會. 2024年8月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月13日閲覧。
- ^ a b “奧會會旗的故事” (中国語). 中華奧林匹克委員會. 2024年8月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月13日閲覧。
- ^ “中華奧會(五):中華全國體育協進會【臺北時期】”. 中華民國志 (2021年11月15日). 2024年7月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年7月13日閲覧。
- ^ a b c “「中華台北」會籍名稱使用事略” (中国語). 國家政策研究基金會 (2001年11月2日). 2024年7月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年7月13日閲覧。
- ^ “台湾の五輪出場、なぜチャイニーズタイペイの名称なのか”. CNN (2021年7月28日). 2024年7月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年7月13日閲覧。
- ^ a b 富哥 (2018年8月24日). “你也許不知道,中華奧會會歌的歌詞並非國旗歌歌詞!” (中国語). CNN. 2024年7月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年7月13日閲覧。
- ^ “洛桑協議及奧會模式”. 中華奧林匹克委員會. 2024年7月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年7月13日閲覧。