2015年6月10日から12日にかけて千葉県・幕張メッセで開催中の「アプリジャパン2015」にて、弊社代表の岩佐が「アプリ&通信の視点から見たIoTのトレンド」と題して講演を行ないました。
■1チーム4名体制の製品開発
CerevoはIoTに含まれるコネクテッドハードウェア(ネット接続型家電)の企画・開発を自社で手掛けるハードウェアメーカーベンチャーです。「ネットワーク×家電(ハードウェア)」を理念として、パソコンいらずのライブ配信機器「LiveShell PRO」やライブ配信機能搭載画面スイッチャー「LiveWedge」、ネット経由で操作できる電源タップ「OTTO」などを提供しています。
CerevoはIoTに含まれるコネクテッドハードウェア(ネット接続型家電)の企画・開発を自社で手掛けるハードウェアメーカーベンチャーです。「ネットワーク×家電(ハードウェア)」を理念として、パソコンいらずのライブ配信機器「LiveShell PRO」やライブ配信機能搭載画面スイッチャー「LiveWedge」、ネット経由で操作できる電源タップ「OTTO」などを提供しています。
2014年のはじめは10人で開発、プロモーション、マーケティング、営業をまわしていましたが、昨年中頃なからのIoTの盛り上がりをうけ人材募集を行い、現在では65名になりました。
※現在のCerevoの求人情報についてはこちらをご覧ください。
大手メーカーでは、各担当分野に作業をわけて1人ひとりの専門性を高めて大勢で1つの製品を作りますが、Cerevoではそのような形での開発はしていません。1つの製品をつくるのに1つのチームに電気設計・組み込みSW開発・デザイン&メカ・FEE(Smartphone app & Web app)をそれぞれ担当する4名体制で開発を進めています。
現在いる多くのメンバーがそれぞれ平行して12製品ほど開発を進めており、今年度中から来年度頭にかけて皆さんにお伝えできるものが増えていくでしょう。
■Cerevoの世界を見据えたIoT戦略
次にどんな製品をつくるか、それを決めるために掲げているテーマは「Global Niche」です。ごくごく限られた一部のひとにしか需要のないマニアックな製品だとしても、それが国をまたいで世界中に視野を広げれば、そこには多くの需要が見えてきます。
例えばこちらはCerevoの製品、LiveWedgeです。これはビデオスイッチャーという映像スタッフが画面切替を行うのに使っていた機材にIoTという概念をプラスしてできた製品です。
もともと使われていたビデオスイッチャーは、価格が高かったり、専門的な知識が必要であったりと、利用するハードルの高いものでした。
しかし、このLiveWedgeはビデオスイッチャーに搭載されていた画面のMIX機能や、ワイプ機能、小さい小窓で別の映像を流すPinPという機能など、すべてiPadのアプリにいれたことにより誰でも簡単に、そして小さな機材でスイッチングができるようになりました。
さらにこのLiveWedgeを使うことで、手持ちのビデオカメラを使ってすぐにライブ配信を行うことも可能となったのです。今回のこの講演もLiveWedgeを接続して、パソコンの資料画面、ビデオのデモ画面を切り替えています。
これまでそのような使い方をする人は限られていたため、そういった要望を叶えるのはいわゆるスキマ需要と呼ばれるものでした。しかし、あえてそういったマニアックな需要を攻めて世界中に提供することこそが「Global Niche」戦略なのです。
■ビジネスモデルは後からついてくる
日本はIoT分野に取り組むのに向いていると僕は考えています。
例えばCerevoにいる社員のうち8割がエンジニアですが、彼らのもともとの経歴をみると自動車、家電、オーディオといったハードウェアメーカーで働いていた人ばかりです。質のよいハードウェアをつくってきた、質のよいエンジニアがたくさんいる環境、それが日本の強みです。
IoTのトレンドは大きく2つあり、1つはWebにある情報を取得してリアルに何か影響を与えるもの、もう1つはリアルにあったことをWebに飛ばすことで何かしらを得るものです。
今夏発売する「Hackey」という製品を例にあげると、この製品には上に鍵穴、下にLEDがついています。これを使うと、朝起きたときに鍵をまわすとTwitterに「おはよう」とツイートされたり、彼女からFacebookでメッセンジャーがきたときにLEDを赤く光らせたりできます。
IoTにしなくてもハードウェアだけで実現できるものはたくさんあるのに、何故そこでIoTを選ぶのでしょうか。
その1つの理由に原価をおさえるという目的があります。
例えばある製品を開発するなかで、ディスプレイを取り除けば原価がおさえられるのであれば、そのディスプレイの役割をスマートフォンに持たせてしまえばいいのです。
また別の理由に機能性の向上という目的があります。
例えばハードウェアを開発するなかで、防水性をもたせたいと考えたときに、ある機能がネックとなって防水にできないという場合もあります。そんなときにその機能をスマートフォン側に持たせてしまえば、ハードウェアを防水化できるうえに小型化もはかることができます。
さらにユーザーインターフェースの進化させることが可能になります。
例えばLiveWedgeのアプリでは、もともとはハードウェア側にのせられていたボタンなどをはぶくことで本体を軽量化し、さらにタッチパネルを使うことによって感覚的な操作ができるようになりました。ハードウェアにボタンをたくさんつけたり、日本語で説明をいれたりすると機能改善もできず、さらに世界中を視野にいれた販売も難しくなります。
それをアプリと組み合わせることで、フォームアップデートによりユーザーインターフェースを進化させ、あらゆる言語に対応させることが容易になったのです。
IoTを始めようと考えたとき、どういったビジネスモデルにするのか、サーバ連携によるリスクの落としどころをどうするのかといった話からはじまってしまいがちです。
ですが、そこはまずはつくってみてからどういったビジネスモデルを展開できるのか考えてみてください。そうでなければ世界中のIoT需要に追い付くことはできません。
これから先の10年、20年後にIoTといえば日本といわれるようになっていってほしいと考えています。