テーブルには粒々と光るイクラに焼きたての牛肉! 「おかあさん、たべよう!」 親戚の集まりで空いている場所に座り母を呼ぶと、母は駆けてきて小声でわたしに謝った。 「ごめんね、女の子は給仕をしなくちゃ。お腹空いてるだろうけど、男の人が食べ終わるまで我慢してね」 そう言うと、母は忙しそうにキッチンをくるくる動き、呼ばれるとお酒を注ぎに行った。わたしは小鉢をよく知らないおじさんの前に並べた。 どうやら女性の食事は、男性が汚く食い散らかした残骸であるらしかった。イクラが皿の端で潰れて汁を吐いているのを見て泣きそうになった。 さぁやっとだ、と割り箸を割った時だった。 「コーヒーは?」 横柄な声が飛んできた。 「なんだ皆飯食ってんのか、いい身分だなあ。そんなに食うと豚になるぞ」 ーーーああ。 穴から落っこちたような気分だった。 「6人分な」 言い捨てたおじさんに、女性達は愛想笑いをして、ほとんど何も食べ