教養なんかより、生きていくことに精一杯 東大の前期教養学部の授業の必修科目ではなじみのあるクラスメイトが多くいるのだけれど、文理問わず、受講する授業では初めましてのメンバーが多くなる。そのうちの1つが英語の授業だ。 カタカナ英語の域を出ない僕を尻目に、ペラペラと流暢に英語を話す受講生たち。話を聞くと、小さいころ海外に住んでいたとか、何かのプログラムで海外に行っていたとか、そういう人が少なくなかった。 「夏休みどうする?」 「海外行こうと思って!」 「え? 私も! どこ行くの?」 そんな会話が授業の合間やキャンパスで耳に入るたびに、僕は違う世界に迷い込んだ気がしてならなかった。 「せっかくの大学生活、どうして海外経験しないの?」 そう言われている気がした。でも、今の僕には生活費すらない。4年間、親に頼らず生き抜かなくちゃいけない。リベラルアーツ? 勘弁してくれよ、と正直思っていた。僕は教養な