東日本大震災では、障害者や難病患者の救命の難しさが改めて浮き彫りになった。全身の筋肉が萎縮していく筋ジストロフィーを患い、人工呼吸器をつけて車いす生活を送っていた佐藤真亮(まさあき)さん(35)=福島県いわき市=も、救助のさなかに津波の犠牲となった一人。「もう、あきらめましょう」。それが、最期の言葉となった。 佐藤さんはヘルパーの介助を受け、海沿いにある自宅で80代の祖母と暮らしていた。 あの日、週に3日通うNPO法人「いわき自立生活センター」から午後2時半ごろに帰宅し、4時に交代のヘルパーがくるまでの空白の時間帯に地震が起きた。近所の親族が駆けつけ、津波が迫る中で助け出そうとしているとき、佐藤さんが冒頭の言葉をつぶやいたという。 今月28日に葬儀が営まれ、同法人の長谷川秀雄理事長も参列した。「もしヘルパーがいたら、助けられたかも」と悔やむ一方で、「人工呼吸器などをつけた患者さんを避難させ