Googleは最新のAndroid 15 QPR2 Beta 1において、Tensor搭載PixelデバイスのLinuxカーネルバージョンを大幅にアップグレードした。この変更により、Pixel 6シリーズ、Pixel 7シリーズ、Pixel 8シリーズ、Pixel Tablet、Pixel FoldがLinux 6.1を採用。これにより、Pixel 9シリーズを含むTensor搭載Pixel全機種のカーネルバージョンが統一されることとなった。 従来のPixel 6および7シリーズはLinux 5.10、Pixel 8シリーズはLinux 5.15を利用していたが、今回のアップグレードで性能とセキュリティの向上が期待される。なお、この動きは、Androidデバイスの長期更新を実現する「Longevity GRFプログラム」の一環であり、7年間のOS更新を見据えた重要な措置である。 このアップ
Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDLinux」(「PREEMPT_RT」)がついに、ようやくメインラインカーネルに統合された。Linus Torvalds氏は「Open Source Summit Europe」に参加した際に、PREEMPT_RTを賞賛した。なぜこれが重要なのだろうか。まずは、「リアルタイムOS」(RTOS)とは何か、どのような利点があるのかを説明しよう。 RTOSとは RTOSは、処理速度が重視されるタスクを正確かつ確実に処理できるように設計された特殊なOSだ。「Windows」や「macOS」などの汎用OSと異なり、多くの場合、ミリ秒単位やマイクロ秒単位で測定される厳しい時間制約の中で
Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDLinux」カーネル開発の動向を知りたければ、「Linux Kernel Mailing List」を購読するといい。Linuxカーネルの実状を深いレベルで知りたいが、細かな部分まですべて追跡したくはないという場合は、「Linux Weekly News」(LWN)を購読しよう。 だが、Linuxカーネルの現状に関する幅広い概要を手早く知りたいなら、筆者と同じことをするのがいいだろう。それは、Linuxカーネルの開発者でLWNの編集長であるJonathan Corbet氏が、Linuxの大規模カンファレンスで実施したLinuxカーネルの現状に関するプレゼンテーションを見ることだ。 シアトルで開催の「Open Source
「TikTok」などを運営する字節跳動(バイトダンス)のLinuxカーネルエンジニアであるCong Wang氏は、Linuxカーネルのトップ開発者が集まる招待制のカンファレンスであるLinux Plumbers Conferenceで、ワークロードに合わせて最善の結果が得られるように、人工知能(AI)と機械学習を使ってLinuxカーネルをチューニングすることを提案した。 一般的な話で言えば、Linuxカーネルはほぼどのようなタスクにも問題なく使えるが、特定の作業で最大の効果を上げるには、微調整して最善の結果が得られるようなパラメーターを設定する必要がある。ただし、このアプローチには1つだけ小さな問題がある。それは、パラメーターの数が何千にも及ぶことだ。Linuxの専門家であっても、最適なパフォーマンスを得るためのチューニング作業には時間と手間がかかる。しかも、ワークロードが変われば、また別
Cloud Native Kubernetes management and cloud-native solutions
オラクルはLinuxカーネルのパラメータを、ワークロードに合わせて継続的に自動チューニングするツール「bpftune」をオープンソースで公開しました(GitHubのページ)。 bpftuneは「BPF」(Berkeley Packet FiLinuxカーネル内のさまざまな機能をフックして機能拡張が可能な仕組みを利用し、継続的にLinuxカーネルのきめこまなかレベルで監視を行い自動チューニングを実現しています。 オラクルはbpftuneを開発した背景として、クラウドに代表される大規模なサーバ展開が可能なインフラにおいて、以前よりも個々のサーバのチューニングについて注意が払われることがほとんどなくなったこと、チューニングされるとしても静的に適切な設定があると考えられることが一般的であることを挙げています。 bpftuneによる自動チューニング対象の項目 bpftuneは現
Linux Daily Topics Microsoft、オリジナルディストリビューション「Azure Linux」の一般提供を開始 Microsoftは5月23日(米国時間)、開発者向けの年次カンファレンス「Microsoft Build 2023」において、Azure上のコンテナワークロードに最適化されたLinuxディストリビューション「Azure Linux」の一般提供(GA)開始を発表した。Hyper-VをベースにしたAzureクラウドおよびエッジ環境にデプロイし、複数のコンテナを実行するように設計されており、「Azure Kubernetes Service(AKS)」のコンテナホストとして利用される。 Introducing the Azure Linux container host for AKS - Azure Infrastructure Blog Azure
筆者はLinus Torvalds氏を数十年前から知っているが、コロナ禍が始まってからは、対面でインタビューを行う機会が無かった。しかし、世界のLinuxのトップ開発者が集まる年次会合である2022年のLinux Plumbers Conferenceで、とうとう再び対面で話を聞く機会を作ることができた。 Torvalds氏はカンファレンスが始まる直前、オランダ領西インド諸島のボネール島で6日間をスキューバダイビングをして過ごしていたという。もし選べるのであれば、「カンファレンスに出るよりもダイビングをしていたい」と同氏は語った。誰だってそうだろう。 またTorvalds氏は、自分はLinuxカーネルの仕事をたくさんしているが、ワーカホリックではないとも述べた。 これだけの年月が経っても、いまだにこの仕事をしていられる理由は、仕事を離れる時間を取れるからだ。しかしすぐに飽きてしまうので、長
Rustを第二言語として採用してデバイスドライバなどのモジュールをRustで書けるようにする「Rust for Linux」が近々マージされる予定だともLinus氏自身が発言しています。 そんな期待のかかるRust for Linuxですが、提案された当初は期待こそされていたものの、様々な懸念点も指摘されていました。 その1つが標準ライブラリの一部であるallocクレートの設計です。 このクレートはヒープ領域を扱うBox、Vec、StringなどRustではお馴染みの構造体を提供しています。 Rustの標準ライブラリはOSのサポートを前提とした構造体も多くあります。そのため、OSそのものを書くようなベアメタルプログラミングにおいて標準ライブラリをそのまま使うことはできません。 使えるのはcoreと呼ばれる依存関係のない全く無いライブラリがありますが、allocはOSのサポートが必要なヒープ
はじめに Linuxを使っているみなさんは普段からLinux上で様々なコマンドを実行していると思います。それらを識別するときに「コマンド名」という単語を使っていると思いますが、文脈によってこの単語が意味するものは異なります。本記事ではLinuxカーネルがいうところのコマンド名がどういうものかについて書きます。 一番最初に短い結論、その次に具体的な説明、そして最後にこれについて調べようとしたきっかけ、およびその後の調査プロセスについて書きます。 結論 Linuxカーネルから見たコマンド名は実行ファイル名のbasename(ファイル名からディレクトリ部分を除いたもの)の先頭15バイト カーネルのメモリ内のプロセス(正確にはカーネルレベルのスレッド)ごとに存在するtask_structという名前の構造体の中のcommという16バイトのフィールドにNULL終端文字列として格納されている カーネルの
Mary Jo Foley (Special to ZD2022-05-23 06:30 MicrosoftのLinuxグループは以前から、社内で利用するためだけのLinuxディストリビューションを持っていることを公言してきた。「CBL(CoLinux)-Mariner」と呼ばれるこのディストリビューションは、「Windows Subsystem for Linux Kubernetes Service(AKS)on Azure Stack HCI」「Azure Percept」など、Microsoftのさまざまな製品で使われている。しかし実は、Microsoftが社内で利用している自社開発したLinuxディストリビューションには、それとは別に「CBL-Delridge(CBL-D)」と呼ばれるものが存在し
1991年8月25日、当時ヘルシンキ大学の学生だったリーナス・トーバルズが自分で開発したOSカーネルである「Linux」を公開しました。2021年8月25日で「Linuxの誕生日」からちょうど30年を迎えることとなります。 30th Anniversary of Linux - Linux Foundation https://linuxfoundation.org/linux30th/ Linux turns 30: Linus Torvalds on his "em | ZDlinus-torvalds-on-linuxs-30th-birthday/ Happy birthday – 30 Years of Linux | U
Google、Facebook、マイクロソフトらが、OSカーネルをプログラマブルに拡張できる「eBPF」の開発と発展を目指す「eBPF Foundation」を結成 eBPFとは、Linuxカーネルのコードを変更することなく、カーネルの持つさまざまな機能をフックすることでカーネルに対してある種の機能拡張を実現する技術です。 このeBPFの開発促進や発展を目指す「eBPF Foundation」が、Linux Foundation傘下で発足しました。発足メンバーはGoogle、Facebook、マイクロソフト、Netflix、Isovalentの5社。 一般にOSカーネルの機能の変更や拡張を行うには、カーネルのソースコードを書き換え、再コンバイルしなければなりません。そのため、例えばカーネル内のネットワーク関連の機能を拡張してプロトコルやセキュリティを追加したいと思っても、その実現には手間が
この30年間、Linuxの開発にはずっとC言語が使われてきたが、その状況が変わる可能性があるだろうか。 プログラミング言語の「Rust」をLinuxカーネル開発の第2言語にしようとする取り組みが一部で見られるようになっている。Googleは、開発者のMiguel Ojeda氏が中心となって進めている、Linuxカーネルのさまざまな要素の開発にRustを使用することを目指すプロジェクトを支援している。 Googleは、Rustを使えばセキュリティ上の脆弱性を引き起こすメモリーエラーを減らせるはずだと主張している(多くのIT企業やオープンソースプロジェクトがアップデートで修正しているセキュリティホールの多くは、メモリーエラーが原因になっている)。このプロジェクトの目標は、3000万行のCのコードをすべてRustで書き直すことではなく、新しいコードをRustで書くことだ。 しかし、潜在的なメリッ
Amazonが経費削減のためにSunのサーバからHP/Linuxサーバへ切り替えたことがきっかけ。当時の社員が振り返る 1990年代後半に、米Yahoo!などに代表されるインターネット系企業の株が高騰したインターネットバブルが発生しました。 そのバブルが2000年前後にはじけると、ユーザー数の拡大を背景に資金調達をしてきた企業の多くが投資家からの資金を得られなくなり、行き詰まり始めます。 Amazon.comもそうした状況のなかで先行きを不安視された企業の1つでした。2001年4月の週刊東洋経済の記事には、最高値の10分の1程度にまで下がった株価のグラフとともに、「莫大な酸素(キャッシュ)を燃やし続けている」「2000年12月末時点で2000億円を超える債務超過だ」と記されています。 当時Amazon.comのデジタルメディア部門ディレクターであったDan
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