ソーシャルブックマークは、ネットの「みんな」が関心を集めているトピックを探すのに便利なサービスだ。中でもIT系に関心が高いユーザーに人気なのが「はてなブックマーク」になる。登録ユーザーの間で、ある種のコミュニティーを形成するまでに至っており、ここ1、2年では、ネットのネガティブコメントに関する議論の発端にもなった(関連記事1、2)。
一体、はてなブックマークは、何を目指して作られて、今後はどこに行こうとしているのだろう。サービスの生みの親である同社執行役員CTOの伊藤直也氏に、ジャーナリストの津田大介氏が話を聞いた。
純粋に「ツール」を作りたかった
── 2005年にはてなブックマークをリリースしましたが、もともと始めたきっかけを教えていただけますか。
伊藤 はてなブックマークは、純粋に「ツール」的なものを作りたいというところが出発点になってるんですよ。ブックマークをオンラインで共有することで、ネットで今話題になっていることや情報を共有できればいいなと。
今でこそコメントを相互に付け合うようなコミュニティー的要素が強いサービスになっていますけど、正直な話、最初に開発したときはコミュニケーション主体のサービスに発展させようという意図はなかったんですよね。実際、一番最初にβ版をリリースしたときは、ブックマークに対してコメントを付けるという機能がなかったですし。
── 機能追加などを報告する「はてなブックマーク日記」では、ユーザーからの要望が多かったので、コメントを一覧できるようにしたと書かれていましたね。ユーザーの強い要望でコミュニティー的要素が入ってきたと。
伊藤 そうです。最初にリリースしたブックマーク機能はとてもシンプルでしたし、コミュニケーション的要素なしで、もっと機械的に使ってもらえるものだと思ってたんですよ。でもブックマークしたエントリーに対して「メモ書きを残したい」とか、「エントリーへの感想を書きたい」みたいな要望がたくさん来たので、「それでは」という話で実装しました。