事業を停止したのは、東京・新宿区で大学受験予備校の「ニチガク」を運営する「日本学力振興会」です。
予備校のホームページによりますと、少人数制の授業を展開して40年以上の指導実績があり、昨年度に受験した165人の受講生のうち93.9%が第二志望までに合格したとしています。
大学入試前に予備校が突然教室閉鎖 破産へ 受験生「ショック」
東京・新宿区で大学受験予備校を運営する会社が4日、事業を停止し、近く自己破産を申し立てる方針であることが代理人の弁護士への取材でわかりました。大学入学共通テストを目前に控えた時期に突然、教室を閉鎖した形で、受験生の間で戸惑いが広がっています。
運営会社の代理人の弁護士によりますと、ここ数年で受講生の数が減少したうえ、校舎とは別に借りていた自習室の賃料の支払いなどで資金繰りが難しくなったため、4日付けで事業を停止し、今月中旬までに裁判所に自己破産を申し立てる方針だということです。
民間の信用調査会社、帝国データバンクによりますと、4日の時点で在籍していた受講生はおよそ130人で、負債総額は1億円を超える見込みだということです。
予備校の入り口には「関係者の皆様方にはご迷惑をおかけすることになり深くおわび申し上げます」などと書かれた紙が貼られていて、大学入学共通テストを目前に控えた時期の突然の閉鎖に受験生の間で戸惑いが広がっています。
代理人の弁護士はNHKの取材に対し「運営会社では生徒がほかの予備校に受け入れてもらえないか声かけをしているようだが、具体的な対応はまだ決まっていない」と話していました。
受験生「いきなり閉鎖 ショック」
予備校の入り口には「現在、債務の支払いに窮する状態にあるため、破産申立てを視野に入れ、債務を整理する予定です」などと書かれた紙が貼られていました。
また、教室に置いていた私物を持ち帰るよう促す紙も貼られていて、6日は受講生や保護者が次々に訪れていました。
大学入学共通テストを控えている高校3年の男子生徒は「年末に通っていた時は破産という雰囲気は全然なかったし、授業には満足していたのでいきなり閉鎖してしまいショックです。テストを控えているので不安はありますが、仕方がないので気持ちを切り替えて試験日まで自分で勉強を頑張ります」と話していました。
また、高校2年の男子生徒は「通い始めてから成績が伸びてきていたのに急にこういうことになってとても残念です。生徒に対しては貼り紙での通知しかないのでまずは予備校側からきちんと説明してもらいたい。授業料は年間払いで親に負担をかけているのでお金を返してほしい」と話していました。
予備校講師「受験直前 生徒がかわいそうすぎる」
予備校で6年間、世界史の講師を務めていた森川晶雄さんはNHKの取材に対し「今月4日にことし最初の授業があったので予備校を訪れたところ、『破産したので授業はなくなった』と言われた。突然のことで驚いたし、授業を受けに訪れていた生徒たちも動揺した様子だった」と述べました。
去年7月ごろから給与の支払いが遅れるようになり、11月分の給与は支払われていないということで「予備校側からは『給料は払えない』と言われた。経営状態が良くないのかもしれないとは感じていたが、受験直前に全てを投げ出すなんて生徒がかわいそうすぎる。まずは生徒に対してきちんと謝罪と説明をしてほしい」と話していました。
学習塾の倒産 去年53件 最多更新
民間の信用調査会社、東京商工リサーチによりますと、大学受験予備校を含む「学習塾」の倒産は、去年1年間の速報値で53件に達しました。おととしの45件を上回り、統計が確認できる2000年以降で最多を更新したということです。
また、去年の負債総額は117億4400万円で、おととしの12億6600万円の9倍以上となり、同じく最多となったということです。