クラウドサービス提供会社に独禁法違反で排除措置命令 公取委

建設会社向けに労務管理のクラウドサービスを提供している三菱商事の子会社が、他社のサービスへの切り替えを妨害したとして、公正取引委員会はクラウド関連の取り引きでは初めて、独占禁止法違反で排除措置命令を出しました。
一方、会社側は命令の取り消しなどを求める訴えを起こしました。

排除措置命令を受けたのは、東京 渋谷区の三菱商事の子会社「MCデータプラス」です。

「MCデータプラス」は、建設会社向けに作業員の氏名や健康診断の結果など、労務管理に使う情報を管理するクラウドサービスを提供していますが、公正取引委員会によりますと、2019年に顧客企業がクラウドから出力した「帳票」を他社に提供することを禁止したほか、顧客企業がみずからクラウドに登録した情報であるのに作業員の情報提供を拒むなどして、他社のサービスへの切り替えを妨害していたということです。

公正取引委員会は2023年10月に立ち入り検査を行って調査を進めた結果、独占禁止法が禁じる「取引妨害」にあたるとして、違反行為の取りやめや再発防止を求める「排除措置命令」を出しました。

クラウド関連の取り引きで行政処分を行うのは、初めてだということです。

公正取引委員会は「データ囲い込み行為について違反になることを示した前例のない事案だ。引き続きデジタル分野での妨害行為に対し、厳正かつ的確に対処する」としています。

「MCデータプラス」は、見解の相違があることから、排除措置命令の取り消しなどを求める訴えを東京地方裁判所に起こしたことを明らかにしたうえで「今後、各手続きにおいて当社の考え方を丁寧に説明し、司法の公正な判断を求めてまいります」とコメントしています。