Touch IDとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > Touch IDの意味・解説 

タッチ‐アイディー【Touch ID】


Touch ID

読み方タッチアイディー

Touch IDとは、Appleが「iPhone 5s」で初め搭載した指紋認証機能である。

iPhone 5sホームボタンには指紋センサー内蔵されている。あらかじめ指紋登録を行っておけば、ホームボタンに指を触れ動作だけで画面ロック解除を行うことができる。従来パスコード入力方式必要だった数回画面タッチパスコード憶える労力不要となる。

また、アプリケーションストア等で決済する際の本人確認にも指紋認証使用でき、パスワード入力の手間が省ける

Touch IDで登録され使用される指紋データ暗号化されてA7チップセキュア領域記録される指紋データはTouch IDの認証以外には使用されず、バックアップ目的iCloudなどのAppleサーバー側にデータ送られるともないという。

なお、Touch IDには複数指紋データ登録することができる。片手で使う場面両手で使う場面など、複数端末持ち方扱い方想定して登録しておくことが可能である。家族など信頼できる人の指紋登録してその人だけは端末使えるようにする、といった使い方もできる。指紋センサー360度どの角度でも正しく認証できるため、縦横どの方向から触れて構わない

iPhone 5s発売同時に姉妹モデルiPhone 5c」も発表されているが、Touch IDはiPhone 5sにのみ搭載されており、iPone 5cにはTouch IDが搭載されていない


Touch ID

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/05 07:02 UTC 版)

iPhone 6sに搭載のTouch IDモジュール
iPhone 5sに搭載された、特徴的なホームボタン一体型Touch ID

Touch ID(タッチ アイディー)は、Appleが開発しリリースした指紋による生体認証機能である。AppleのiPhoneシリーズ、iPadシリーズ及びMacシリーズに搭載されている。

2013年に発売されたiPhone 5sで初めて搭載し、2015年のiPhone 6sから約2倍速い認証速度を実現した第2世代のTouch IDを導入した[1]

Touch IDにより、ユーザーはデバイスのロックを解除したり、さまざまなAppleのオンラインストア(iTunes StoreApp StoreおよびApple Books)で購入したり、オンラインまたはアプリでApple Payを認証することができる[2]。 この機能の発表時に、指紋情報がApple A7以降のチップ上の安全な領域にローカルに保存され、クラウドには格納されないため外部からのアクセスが非常に困難であるとアナウンスした[3]

歴史

指紋認証を搭載した最初の携帯電話は、2003年に発売された富士通製のNTTドコモ端末F505iだった[4]。Apple製品に指紋読み取り機能が搭載されると本格的に予想されるようになったのは、2012年に指紋読み取りと識別管理ソフトウェアに重点を置くAuthenTec社を3億6,600万ドルで買収してからのことである[5][6]。その後、9月上旬のリークや推測[7][8]を経て、2013年9月10日に初めて第1世代のTouch IDを搭載したiPhone 5sが発表された。指紋認証を特徴とする携帯電話が主な米国通信事業者から登場するのは、Atrix以来のことであった[9]。Appleのマーケティング担当SVPであるフィル・シラーは、AppleのiPhoneメディアイベントで数分を費やしこの機能を発表した。

2014年9月9日のApple Eventで発表されたiPhone 6シリーズ以降では、Touch IDはApp Storeでコンテンツを購入する際などの本人確認のためにも使用されるようになった[2]。続くiPhone 6sでは第2世代のTouch IDセンサーが導入された。これはiPhone 5s、iPhone 6/iPhone 6 Plusに搭載されている第1世代のTouch IDセンサーの最大2倍の速度で動作する[1]

第2世代のTouch IDはあまりにも高速で、スリープ状態のiPhoneのホームボタンに指を置くだけで瞬時にホーム画面が表示されるために、ロック画面で通知を読むことができないという利便性の問題が発生するほどであった。AppleはiOS 10以降、ホームボタンに指を置いた時にはロックが解除され、ホームボタンを押すとホーム画面が表示されるような挙動に変更するオプションを追加することでこの問題に対処した。この挙動を有効にすると、それ以降登場するAndroid端末の一部では指紋認証時にすぐホーム画面が表示されるのに対し、iOSやiPadOSでは指紋認証時にはロック解除のみ行われ、ホーム画面を表示するにはボタンを押したり画面をスワイプしたりするなどの何らかのアクションが必要となる。

搭載製品

世代 モデル
1
iPhone
iPad
2
iPhone
iPad
Mac

ハードウェア

iPhoneにおけるTouch IDは、レーザーカットで構築されたホームボタンに組み込まれており[11] 、サファイアガラスは、傷がつきにくい(傷がついているとTouch IDが機能しない)[12] 。ホームボタンにはiPhone 5まであったような角丸のアイコンはなく、曲線状に凹んでいない。

Touch IDは360°どの角度からもユーザーの指を読み取ることができる。指紋認証センサーの厚みは170μmで、解像度は500ピクセル/インチであり、 静電容量タッチを使用してユーザの皮下表皮層を読み取る。指紋の登録時には、読み取ったユーザの真皮の「指紋マップ」を作成し、Touch ID用のセキュリティアーキテクチャ(Secure Enclave)を介して端末に保存する。1つの端末に最大5つの指紋マップを保存できるほか、Appleによれば、Touch IDは「使用する度に改善される[13]」。

iPad第10世代・iPadmini6・iPad Air (第4世代以降)のTouch IDは、電源ボタンに位置している[14][15]

MacBook ProやMacBook Air、iMacの一部モデルに付属するMagic KeyboardのTouch IDは、キーボードの最上段の列の右隅に位置している[16]

セキュリティとプライバシー

Touch IDの登場によりデバイスのアクセスの利便性が向上した一方で、アクセスの方法がパスコードと指紋認証の2種類となったことで、個々のデバイスの正味のセキュリティは低下したとされる[17][出典無効]。この主張に対し、Appleは、以前はパスコードさえ使用しなかったユーザーもTouch IDを使用し始めたことで、平均的なユーザーセキュリティは向上したと主張している。

指紋データは端末に搭載されるApple A7以降に登場したApple製SoCまたは専用のチップに不可逆的に符号化されて保存され、デバイスに保管される。それらのデータは指紋認証の際にのみSecure Enclaveを介してアクセスされるようになっている。それ以外の目的ではデバイス上のいかなるソフトウェアであっても指紋データにアクセスすることはできず、また指紋データから指紋画像を逆行分析することすらできない。そのため、本来の指紋データの保存場所以外には保管されず、Appleのサーバー、iCloudなどにアップロードされ照合されることもない[18]

セキュリティ上の都合から、一定回数以上指紋データとの照合に失敗した場合や端末が再起動された場合、48時間以上ロック状態が続いた場合などにはTouch IDでロック解除することはできなくなり、パスコードのみでロック解除できるようになる。そのような場合でも一度パスコードでロック解除されれば、再びTouch IDでロック解除できるようになる。

なお、2013年9月、ドイツのカオスコンピュータクラブは、Touch IDセキュリティの突破に成功したと主張している[19][20]。主な手法には、ポバール接着剤を使用して指の形状を模倣する方法(いわゆるグミ指)などがある[21]

影響

iPhone 5sにTouch IDが搭載されて以降は、サムスンがSamsung Galaxy S5に指紋認証機能を導入するなど、他のメーカーもハイエンド端末を中心にスマートフォンに指紋認証機能を導入し始めた[22]。2015年10月にリリースされたAndroid 6.0(Marshmallow)では、指紋認証がオペレーティングシステムに統合され、iOSとTouch IDの関係に対応するようになった。

Touch IDはiPhone 5sと5,5cを区別する数少ない機能の1つである[23]。しかし、2013年時点のニューヨーク・マガジンの意見では、消費者は指紋認証に興味がなく、パスコードの方を好んで使用していたという[24]

ライターのKevin Rooseは、指紋認証などに使用される相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサーは、一般的に消耗して一定期間後には使用できなくなると指摘し、Appleはより寿命の長いセンサーを製造する方法を見つけたかもしれないと推測している。Rooseはまた、指紋認証技術には、ハッキングされる可能性があったり、怪我などの場合には指紋が認識されなかったりするなどの問題が依然として残っていると主張し、国家安全保障局(US National Security Agency)などの監視機関を警戒している人などは、Touch IDを使用しない可能性があると指摘した[24]

US-CERの脆弱性分析者であるBrent Kennedyは、Touch IDがハッキングされる可能性があるとの懸念を表明し、人々はすぐにはTouch IDを使用し始めないだろうと予測した[25]フォーブスもまた、過去に指紋が偽装されたことがあると指摘し、盗まれたiPhoneの指紋が不正なアクセスを得るために使用される可能性があると警告した。 ただし、同記事では、指紋読取装置の偽装テストが実施されて以来、バイオメトリクスの技術は向上したとも主張している。

一方、ZDNetライターのAdrian Kingsley-Hughesは、Touch IDはBYODをもたらすのに役立つと語った。 バイオメトリックによるセキュリティ保護によって、他人にパスコードを盗み読まれる危険性を排除することができるという。また、子供が無断で何千ドルもの浪費をするのを防ぐとも付け加えた。Touch IDが多数のiPhone犯罪に対するAppleの対抗策であり、この新機能はiPhone盗難抑止になると指摘した。Rooseもまた、この機能は盗難を防ぐためのものだと述べている。

フォーブスのコラムニストのAndy Greenbergは、指紋データがローカル・デバイスに保存され、集中データベースに保存されていないという事実は、セキュリティ上の勝利だと語った[26]

ウェルズ・ファーゴのアナリストであるMaynard Umは、2013年9月4日、iPhone 5sの指紋センサーがモバイルコマースに役立ち、「消費者が個人データを処理して保管するためにモバイル機器にますます依存しているため、信頼性の高いデバイス側の認証ソリューションが必要になるかもしれない」と、企業環境での採用を促進すると予測した[27] 。

USAAは、2015年末には100万人を超えるユーザーがAppleのTouch IDを使用しており、指紋認証を利用してiPhoneとiPad上のUSAAモバイルアプリケーションに安全にログオンしていると発表した[19]

脚注

注釈

出典

  1. ^ a b 「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」正式発表”. ITmedia Mobile. 2021年4月24日閲覧。
  2. ^ a b iPhone や iPad で Touch ID を使う”. Apple Support. 2021年4月24日閲覧。
  3. ^ Secure Enclaveの概要”. Apple Support. 2021年4月24日閲覧。
  4. ^ ドコモ、指紋認証機能搭載の「F505i」を11日発売”. ケータイWatch (July 9, 2003). March 25, 2017閲覧。
  5. ^ iPhone 5S comes with Touch ID fingerprint scanner”. CNET (September 10, 2013). September 11, 2013閲覧。
  6. ^ Apple’s Touch ID Is A 500ppi Fingerprint Sensor Built Into The iPhone 5S Home Button”. TechCrunch (September 11, 2013). September 11, 2013閲覧。
  7. ^ iPhone 5S : Une photo du bouton Home avec lecteur d’empreintes digitales ?!”. NowhereElse (September 3, 2013). September 11, 2013閲覧。
  8. ^ iPhone 5S : Le lecteur d’empreintes digitales confirmé ?!”. NowhereElse (September 10, 2013). September 11, 2013閲覧。
  9. ^ Apple's new iPhone will read your fingerprint”. The Verge (September 10, 2013). September 11, 2013閲覧。
  10. ^ M1搭載の薄い「iMac」登場 Touch ID付きMagic Keyboardも”. ITmedia NEWS. 2021年4月24日閲覧。
  11. ^ Apple Announces iPhone 5S - The Most Forward-Thinking Smartphone in the World”. The Wall Street Journal (September 10, 2013). September 11, 2013閲覧。
  12. ^ Apple announces iPhone 5S: Touch ID fingerprint security, 64-bit A7 CPU, new gold option coming Sept. 20”. AppleInsider (September 10, 2013). September 11, 2013閲覧。
  13. ^ iPhone 5s fingerprint sensor called Touch ID, recognizes your thumb on the Home button: here's how it works and what it does”. Engadget (September 10, 2013). September 11, 2013閲覧。
  14. ^ Coldewey, Devin. “新しいiPad AirはTouch IDを上部電源ボタンに内蔵” (英語). TechCrunch Japan. 2021年4月24日閲覧。[リンク切れ]
  15. ^ Cipriani, Jason. “iPad Air: How to set up and use Apple's new Touch ID fingerprint sensor” (英語). CNET. 2021年4月24日閲覧。
  16. ^ MacでTouch IDを使用する”. 2021年4月24日閲覧。 “一部のMacコンピュータで使用できる指紋認証機能です。Touch IDはキーボードの右上隅にあります。Touch Barの横、またはファンクションキー列にあります(Macの機種によって異なります)。”
  17. ^ Apple: New iPhone Not Storing Fingerprints, Doesn’t Like Sweat”. Digital. The Wall Street Journal (September 11, 2013). September 11, 2013閲覧。
  18. ^ Touch ID の先進のセキュリティテクノロジーについて”. Apple. March 23, 2021閲覧。
  19. ^ Chaos Computer Club breaks Apple Touch ID”. Chaos Computer Club (September 21, 2013). September 21, 2013閲覧。
  20. ^ Hackers claim to have defeated Apple's Touch ID print sensor”. CNet. CBS Interactive Inc. (September 22, 2013). September 23, 2013閲覧。
  21. ^ Why I Hacked Apple’s TouchID, And Still Think It Is Awesome”. Lookout (September 23, 2013). September 23, 2013閲覧。
  22. ^ List of All Fingerprint Scanner Enabled Smartphones”. May 10, 2016閲覧。
  23. ^ iPhone 5S with Touch ID is a big win for BYOD security” (September 10, 2013). September 11, 2013閲覧。
  24. ^ a b “Will the New iPhone’s ‘Touch ID’ Feature Finally Make Fingerprint Scanning Happen?”. (September 10, 2013). http://nymag.com/daily/intelligencer/2013/09/will-apples-touch-id-make-fingerprints-happen.html September 11, 2013閲覧。 
  25. ^ Apple's New iPhone 'Touch ID' Makes Fingerprint Scans Easy, But Don't Ditch Passcodes Yet”. Forbes (September 10, 2013). September 11, 2013閲覧。
  26. ^ Your New iPhone Can Put Your Identity At Risk”. Forbes (September 13, 2013). July 5, 2014閲覧。
  27. ^ Fingerprint sensor in Apple's 'iPhone 5S' predicted to boost mobile commerce, enterprise adoption”. AppleInsider (September 4, 2013). September 11, 2013閲覧。

関連項目

外部リンク



「Touch ID」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Touch ID」の関連用語

Touch IDのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Touch IDのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
IT用語辞典バイナリIT用語辞典バイナリ
Copyright © 2005-2025 Weblio 辞書 IT用語辞典バイナリさくいん。 この記事は、IT用語辞典バイナリの【Touch ID】の記事を利用しております。
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのTouch ID (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS