MG Roverとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > MG Roverの意味・解説 

MGローバー

(MG Rover から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/04 16:54 UTC 版)

MG ローバーMG Rover Group)は、2000年に設立されたイギリス自動車会社である。2005年に倒産し、自動車の製造・販売も終了、これにてイギリス資本の自動車メーカー・ブランドは消滅した。

経営破綻後、MGブランドを含む資産の大部分は、中国の自動車会社・南京汽車に売却された。ローバー・ブランドは現在、インドのタタ・モーターズが所有している。

歴史

1994年、ドイツのBMWは、それまで日本の本田技研工業(ホンダ)との提携関係にあったローバー・グループを突如として買収した。

その後ローバー・グループの経営に失敗したBMWは、2000年、グループのうちミニ部門、および商標権としてのトライアンフとライレーを手元に残し、ランドローバー部門をアメリカフォードに売却した。残りの全ては、元ローバー会長のジョン・タワーズ(John Towers)が中心となって設立したイギリスの投資グループ・フェニックス・コンソーシアム(Phoenix Consortium )に対してマネジメント・バイアウト(MBO)により、僅か10ポンド(当時の日本円で約1660円)で売却された。こうして、ブリティッシュ・レイランド時代からの、ローバー、ランドローバー、ミニトライアンフなどのブランドは、それぞれ別個の会社の元に分散することとなった。

ローバー部門等を手にしたフェニックス・コンソーシアムが設立したのが、MGローバーMG Rover Group )である。同社は資本不足から、BBCの報道でも、経営陣の年金不正問題、工場稼働率の問題、資本力の問題などが盛んに報道されるなどしていた。新型車の開発力の低さを補うために、インドタタ・モーターズと技術・資本提携、その後、中国の光輝自動車と資本提携を行った。タタとの提携は実際に新車発売(タタ・インディカを参照)に結びついたが、光輝との提携はうまくいかず、2004年には中国の上海汽車との資本・技術提携を発表した。中国でアジア向けローバー車の生産を委託する可能性もあるといわれていた。資本提携後、上海汽車がMGローバーを買収するとの噂も報道されたが、当事者は否定した。

2005年4月には上海汽車との提携交渉が決裂し、また英国政府の救済措置は実施されなかったため最終的に倒産。破産管財人としてプライスウォーターハウスクーパースPrice Waterhouse Coopers )の管理下に入り経営破綻した。業者も部品供給を停止し、バーミンガム近郊、ロングブリッジの工場も操業停止した。数日後、MGローバー社は解体され、まず5000人の従業員の内の4000人を解雇した。この直後、英国内外から200社余り企業が経営権獲得に名乗りを上げ、前記の上海汽車もその中にあった。一方でイランロシアの企業の動向も取り沙汰されていた。7月になり、ローバー及びローバーの知的財産を含まないMGを最終的に中国の南京汽車が買収総額最高1億ポンド(約200億円)で経営権を獲得した。上海汽車が渋っていたロングブリッジ工場改修や研究開発センター新設、従業員再雇用等の案を提示したことが決め手となった。

MGの意匠権を引き継いだ南京汽車は、Nac MGとして中国でMG5/MG7の名称でMG ZR及びMG ZTをリファインして製造開始し、イギリスのロングブリッジにおいてはNac MG UKとしてMG TFの再生産を行った。ローバーの知的財産権は上海汽車が主張しており、ROEWE750の名でローバー75を生産、販売した。上海汽車は2007年末に南京汽車を買収し傘下に収め[1]、MGとROEWEの設計共通化を進めている。

ローバーブランドそのものはフォード・モーター(PAG)が買取り[2]、2008年にはフォードからインドのタタ・モーターズへ売却され、以後タタが保有している。

キャタピラー社のグループ企業「キャタピラーアンドロジスティクス」が全世界を含めた修理部品供給を行っていたが、2009年3月末でキャタピラー社がローバーのパーツ流通から撤退すると発表した。現在日本国内においては、ローバーの正規輸入パーツは存在しないこととなる。

車種一覧

日本での販売

MGローバー発足以降、同社製乗用車の日本への正規輸入・販売は中止されていた。

2003年7月、オートトレーディングルフトジャパンが日本における正規輸入・販売者となり、ディーラー網「MGローバー・ニッポン」を開業したものの、2005年のMGローバー経営破綻に伴いその事業は終了した。

関連会社

MGローバー社の親会社である持ち株会社フェニックス・ベンチャー・ホールディングス(Phoenix Venture Holdings Limited )では、自動車生産のMGローバーに加え、複数の関連会社を所有し、レースカー制作開発のMGスポーツ・アンド・レーシング(MG Sports&Racing )、エンジン及び変速機製造のパワートレーン(Powertrain Ltd ) があった。

  • MGスポーツ・アンド・レーシングでは、「MG」のサブブランドとして「X-power」を創設し、ル・マン24時間レースを始めイギリスツーリングカー選手権(BTCC)などのレース活動と、イギリスでの地方ラリーへの参戦もおこなった。また、市販車・チューニング部門で "MG X-power" ブランドでの高級スポーツカーの製造、個人向け競技用車両の製作を行った。上記レース活動用の専用車両には、MG伝統の開発コード"EX"が使用されている。(例:EX257) 2005年からはドイツツーリングカー選手権(DTM)へ参戦する予定だったが、MGローバーの経営破綻により中止されている。
  • パワートレーンでは、ケータハムロータスへのエンジン供給などもおこなった。

関連会社製品

関連項目

脚注

外部リンク


「MG Rover」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「MG Rover」の関連用語

MG Roverのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



MG Roverのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのMGローバー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS