ロシアのウクライナ侵攻を受け、米国の核兵器を日本国内に配備し、共同運用する「核共有」導入に関する議論を始めるかどうかについて、各党から意見が出ている。この政策を採用している米欧の軍事同盟・北大西洋条約機構(NATO)に詳しい政策研究大学院大学の岩間陽子教授に仕組みなどを聞いた。(聞き手・川田篤志)
◆米国の核を自国に受け入れ、運搬・使用は自国で
―どのような政策か。
「米国の核兵器を自国の基地に受け入れた上で、平時の管理は米軍、有事になると核を戦闘機に搭載し『運搬・使用』をNATOの作戦内で自国が行う取り決め。核使用にはNATOの決定が必要で、核兵器を管理する米国の同意なしには成り立たない」
―参加しているのは。
「NATO加盟国のうち、現在はドイツ、イタリア、ベルギー、オランダ、トルコが核共有しており、この5カ国には戦闘機に搭載可能なB61核爆弾が約100発あると推定されている」
―導入された経緯は。
「NATOは1950年代、ソ連(当時)と有事になれば米軍が早期に核を投入する防衛戦略を基本とし、多くの核兵器が西ドイツなどに配備されていた。ただ、米軍が米国本土への報復リスクがあるのに核を使うのかという疑念が欧州の加盟国側に高まり、一緒に運用する案が出た。核拡散防止条約(NPT)体制が固まるまでに米国と取り決めを交わし、今も継続しているのが5カ国だ」
―共有された核を使う手続きは。
「NATOの理事会で核使用を決断する必要がある。米国が望まないのに核が使用されるということは事実上ない。一方、米国が使うと決めても、受け入れ国が運搬手段である戦闘機を飛ばさないという選択もあり得るが、それは同盟の機能停止につながるので重い選択になる」
―日本への導入の可否や効果は。
「日本は非核3原則で核を『持ち込ませない』と宣言している。これの変更なしにはあり得ない。核兵器受け入れには国民と地元の同意が必...
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