サッポロ、体質改善でビール会社なのに飲めない!?営業たち
B 不良企業予備軍 (仕事3.0、生活3.0、対価2.8) |
- Digest
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- 「売上函数至上主義」、メタボ体質からの脱却
- 最大株主、ヘッジファンドのプレッシャー
- 対サントリーのみ、バイネームで引っくり返し目標設定
- 30歳年収600万円の内訳
- 社長賞をとるくらいでないと
- 支店長以外の営業は並列的な関係
- 新規開拓が多い
- 酒屋の娘がコネ入社するための推薦シートがある
- 会社発表「平均残業が年150時間」はウソ
- 外食部門の女性は、全国で長浜亜沙1人だけ
- 都市部担当、外食営業の「営業予算35%カット」で飲めない1日
「売上函数至上主義」、メタボ体質からの脱却
ついにサントリーにシェア逆転を許し、最下位に転落した2008年。ただ、それは売上やシェアよりも、体質改善による利益創出を重視した必然的な結果だった。
営業予算が前年比35%もカットされ、一昨年までは営業と称して1日3軒飲みに行ったり、無駄な協賛品(立派な「メニュー立て」など)を提供したりと、ジャブジャブの使い方だったものを、一気に引き締められたのである。今までが生ぬるいメタボ体質だったこともあり、体質改善は急速に進んだ。ある外食担当の営業マンは、予算カットの影響から、週1回しか、飲みをともなう夜の営業をしないという。ビール会社としては異例である。
2008年7月の創立記念日、福永勝社長は社内向けのメッセージで、「企業の目的は利益を出すことであり、利益の創出は私たち自身のためであり、お客様、お得意先、協力会社、株主等すべてのステークホルダーの期待に応えるためにも絶対必要なことです」として、「売上函数至上主義」からの脱却が必要であることを強調している。
そして年が明けた2009年、新年の社員向けメッセージでは下記のように述べ、自画自賛した。
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最大株主、ヘッジファンドのプレッシャー
昨年、最大株主のスティールに「買収防衛策を経営陣の保身を図るために乱用」と批判された福永社長の2009年年頭挨拶 |
確かに、「減収増益」となった決算や、社内で「SU社」と呼ぶサントリーとの関係についても触れてはいる。「本年に残された課題は、体力増強、すなわち売上げを上げることに尽きます。(中略)昨年SU社にシェア逆転を許しました。これは、当社に現在、根本的に不足しているものに対する大きな警告でありメッセージだと思います。」
だが、体質改善&独自の付加価値重視路線に重点が置かれているのは明らかだ。「社長は、独自路線で行く、周りを気にせず、付加価値の高い商品で勝負する、と社内にメッセージを発し続けています」(社員)
その背景に、2007年2月に株式のTOB(公開買い付け)を提案したサッポロの最大株主、ヘッジファンド「スティール・パートナーズ」からのプレッシャーがあることは想像に難くない。スティールは2008年7月、サッポロ経営陣に対し、「国際レベルのビール会社を経営する能力も資格もない」と述べた書簡を送った。
その点で、非上場のオーナー企業であるがゆえに株主のプレッシャーを受けにくいサントリーが4社のなかで唯一、昨年8月まで缶製品の価格を据え置き(つまり利益度外視で)、シェアアップに走って3位を奪取した事実は、資本構成の違いが経営に与える影響を考えるうえで、大いに参考となる出来事であった。
中長期的な視点で経営判断を下しやすいオーナー企業にとっては、シェアの最下位脱出が利益拡大以上の象徴的な意味(社員のモチベーション向上など)を持つかもしれないが、最大株主が米国系のヘッジファンドであるサッポロに、その余裕はない。目に見えないモチベーションなどは二の次で、単年度の税引き後利益と株主への配当こそが重視される。
対サントリーのみ、バイネームで引っくり返し目標設定
利益重視の戦略を進めるうえでも、高付加価値商品で負けるわけにはいかない。社長が2009年の重点テーマとして真っ先に挙げているのは、「エビスブランドの飛躍」だ。具体的には、高価格帯シェアNO1の座を、サントリー(プレミアムモルツ)から奪取することだ、と宣言している。
「ここ数年、byネームで目標があるのはサントリーだけです。年間で
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