司法書士は「サラリーマンドロップアウト」向きな資格――学歴無用、受かれば仕事にあぶれない、収入高め、働きかた自由…
「サラリーマン社会からドロップアウトした人でも、資格さえとれば不利になりません」と語るインタビュイー。これは司法書士会の会員証。 |
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- 「引きこもり」からのスタート
- 試験に通れば就職先は見つかる
- 日本総合地所倒産→司法書士事務所が大リストラ
- 登記業を独占、市場を占有
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- 土日のどちらかは出社
- コンサルの要素で差がつく
「引きこもり」からのスタート
私が大学に入った頃は、ちょうど山一證券や拓銀の破たんがあった時期(90年代後半)で、将来に希望が持てず、うつ状態、そして引きこもりになって、大学にも行けなくなりました。その後、中退です。同学年の人たちは要領よく就活をして社会人になっていきましたが、自分は引きこもっていたので、いわゆるシューカツは一度も経験していません。
同期の就職を横目に、なんとかバイト暮らしができるようにはなりましたが、学歴も職歴もない以上、特殊技能を身に着けるしかない、ということで、資格の取得を考え始めたのが、22~23歳のころです。参考書類を買って情報収集を始めました。
24歳になって、「このままじゃダメだ」と資格予備校「Wセミナー」の司法書士14カ月コースに通うことにしました。なぜ司法書士を目指したのかというと、同じ法律系で一番難しい弁護士資格は、大学卒業の単位がないと不利だったからです(旧司法試験制度)。その次に難易度が高い、司法書士の資格を目指すことにしました。
14カ月で受かるはずもなく、1回目の受験は失敗。その後は、完全に自習体制に移行して、コンビニ店員にしか会わないような生活が続きました。
大卒でもなく、最終学歴が高卒の自分にとっては、後がない状況でした。司法書士の試験は記憶力が重要なので、年齢が若いほうが覚えやすく有利。プラスして、パズルを解くような問題も出ますので、暗記力だけでもありませんが、弁護士に比べると、暗記モノの比率は高いです。だから、5年10年と続けて年齢を重ねても受からないものは受かりません。
結果的に3年弱を費やすことになりましたが、2回目の受験で合格。26歳でした。最後の3カ月間は、完全にバイトも辞めて、朝、図書館が開館する時間に行って、閉館までずっと勉強。8時半~20時まで、毎日勉強でした。
試験に通れば就職先は見つかる
司法書士に受かる前年に、科目で関連のある「宅建」と「行政書士」の試験には合格していました。司法書士になって7~8年目に「社労士」の試験にも、約2年の自習で合格しています。試験に通る難しさは、当時の社労士を1とすると
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司法書士の合格者推移(LECサイトより)
司法書士事務所の売上高、従業員数など。(平成24年経済センサス‐活動調査より)
司法書士業務収入内訳(インタビュイーの2016年見通し)
昨年の決算書(青色申告決算書)と、月別の売上
おそらく一般に最も有名な司法書士法人である「新宿事務所」。ただその業務内容はかなりレアだ。
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“司法書士”
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読者コメント
一点確認。記事の中の「司法書士は、登記についての独占資格だ。独占なので、司法書士の資格者でなければ、登記を代行して対価を得ることができない。弁護士であっても、登記をしてはいけない。」は誤りでは?弁護士も登記業務を行っています。私は弁護士でも司法書士でもなく、普通のサラリーマンですが、弁護士法3条1項の「その他一般の法律事務を行うことを職務とする。」には登記申請代理業務も含まれると理解しています。取材や調査が甘いのでは?
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