アビームコンサルティング 「うちは泥イト」――給料安い事業会社チックなSI系コンサル
B 不良企業予備軍 (仕事4.0、生活2.3、対価2.2) |
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- 「NECの奴らにしゃべらせるな」
- 社名の由来は「趣味がヨットだから」
- うちは「泥イト」だから
- リース業界とNEC系がメイン
- 定年退職者がいるコンサル会社
- 炎上した巨大プロジェクト
- 「バジェットによる」残業代
- ロッカーも1人1個ない
「NECの奴らにしゃべらせるな」
そもそもの両社の提携は、NECの幅広い顧客基盤が欲しかったアビームと、ITコンサルの人材・ノウハウが欲しかったNECの利害が一致した結果だった。だが、ありがちなことに両社は、現場では仲が悪いのだという。
もともと、終身雇用・年功序列の古い日本企業とは対極にあるのがコンサル会社だ。NECのような会社は肌が合わずに飛び出してコンサル会社に転じた人も多い。全く異なるカルチャーで育った両社の社員は、水と油である。
買収した側の親会社の立場なので、NECの人間がプロマネを務め、その下にアビームのコンサルチームが入ることも多い。または、アビームに全部が丸投げされる。
「基本は『NECができないことをやってくれ』というスタンスですが、NECのほうがスキル的には下なのに、立場は上。『NECの奴らにしゃべらせんなよ、バカなんだから』とかプリンシパル(役員)が裏ではよく言ってます。両社の関係が嫌になって辞める人も多いんです」(社員)
社名の由来は「趣味がヨットだから」
アビームコンサルティングは、1つ前の名前をブラクストンといい、その前の名前をデロイトトーマツコンサルティングと言った。もともとは、監査法人トーマツ系のITコンサル会社を源流に持つ。
非常に紛らわしいことに、現在「デロイトトーマツコンサルティング」と名乗っている会社は、かつて監査法人トーマツ系の経営コンサルのほうだった旧トーマツコンサルティングが2008年に改称したもので、こちらはIT系では全くない。
「アビーム」とは聞きなれない言葉であるが、名前の由来は単純で、前社長の西岡一正氏の趣味がヨットだったからに過ぎない。西岡氏は大学時代、慶応クルージングクラブの主将だった。ヨットやウインドサーフィンの専門用語で、風位に対して90度から風を受けて進むことを「アビーム」という。その状態がもっともスピードが出やすい。
そこで、「Asian Beam(アジアの光線)」と強引に引っかけて、アジア発のグローバルコンサル会社にしたい、という願いを込めての社名となった。その西岡前社長の秘書と結婚したのが現在の岩沢俊典社長である。そのため、この社長人事には「政治的なところがある」と感じる社員もいるという。
→アビームの系譜
うちは「泥イト」だから
アビームの主力事業は、SI(システムインテグレーション)、つまり情報システムの導入だ。統合型業務ソフトでシェアトップの「SAP」導入では一番強いコンサル会社と言われ、確かにSAP認定コンサルタント資格の取得数(数値データはSAP社の提供)では、他を圧倒する1123(2012年6月21日時点)。2位の日立(714)、3位のアクセンチュア(692)を大きく引き離している。
→アビームのSAP認定コンサルタント数(グローバル、2012年度)
コンサルと名乗ってはいるが、実際には、最初からSAPを導入する前提で進むプロジェクトも多く、中心を構成するメンバーは、SAPPER、SIerだ。
「ウチはデロイトじゃなくて、ドロイトだから。ドロ臭い仕事をやるのが強みなんだ。ウチらは美しい構想を作るだけじゃないんだ」。ある社員は、デロイト時代からいるベテランコンサルタントがそう言っているのを聞いて納得した。
「実際、SIerがやるような、基本設計書やテーブル定義書を作る仕事もやりますから。アビームは、フューチャーアーキテクトなどに近いSIer的なポジションなんです。自分も、テーブル定義書とか作ってます。客からこんなにカネ貰ってて、これでいいのかな、と思うこともありますけど」(社員)
アビームの得意先(業界/個別企業) |
リース業界とNEC系がメイン
では、アビームは、どのような業界に強いのか
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『NECのほうがスキル的には下なのに、立場は上。『NECの奴らにしゃべらせんなよ、バカなんだから』』ありがちな光景。なぜバカの下に着いてしまったのかを考えた方がいいとは思う。
「アビームは、フューチャーアーキテクトなどに近いSIer的なポジションなんです。自分も、テーブル定義書とか作ってます。客からこんなにカネ貰ってて、これでいいのかな、と思うこともありますけど」
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