エイベックス “任侠経営”と「上場企業らしさ」両立への険しい道
Caa 不良企業 【任侠型】 (仕事2.5、生活1.7、対価2.4) |
- Digest
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- まともな会社にしたい
- 「アーティスト次第」の昇進
- ハワイ旅行に派手なツリー電飾
- 半分はコネ入社
- 恩義を活用した任侠ビジネス
- 新事業の試行錯誤
- 職人気質
- 割に合わないマネージャー業
- マナーやモラルに欠ける
退職金の移行通知書。2011年3月31日に退職した場合の退職金と、新制度における換算額が明記されている。どういうカラクリなのか不明であるが、突然1.74倍になった。 |
まともな会社にしたい
実際、2010年10月に人事評価制度が変わり、今年(2011年)4月からは、退職金制度も変わって、社員1人1人に対して、新制度への移行額が通知された(右記参照)。5年未満に自己都合で辞めると50%減額されるなど終身雇用を前提としているものの、基準額は1.74倍に増額されており、確かに「長く働いた人ほど有利になる日本企業らしい仕組み」という基準から言えば、まともになったようだ。
決裁ルートも明確になり、投資の意思決定も、従来の属人的なものから、より合理的なものに変わったという。これら「第3創業期」(松浦勝人社長)と名付けられた2010年度からの改革を主導しているのが、ソニーグループ出身のCFO・竹内成和氏である。
「2009年秋に竹内さんが入社して、『エイベックスの実態を知って唖然とした』ということでした。そこから急激に変わっていったんです。社長の松浦さんは釣りばっかりやってるし、ナンバー2の千葉(龍平)さんは、既に出世欲は達成された、と公言している。実際の経営実務は竹内-林体制といってよい」(社員)。林氏とは、松浦社長とは貸レコード店「友&愛」時代のアルバイト仲間で、現在は最高業務責任者(CBO)を務める林真司氏である。
社内では、竹内氏がCEO的な立場で改革を先導。「千葉さんがツイッターで『これから経営会議です』とつぶやき、『こういう数字になりました』とか数字まで写真で公開しちゃうので、竹内さんが怒ったりしていました」(社員)
逆にいえば、唖然とするほどに、まともじゃない状態が続いていた、ということだ。上場(1999年)前は、儲かったら儲かっただけ皆で山分けする短期的なハイリスクハイリターン方式で、20ヶ月分のボーナスが現金で支給されていた時代もあった。「若手の内勤女子社員でもボーナス袋が縦に立った」と言われている。
「以前は年3回ボーナスがあり、所属アーティストである倖田來未がレコード大賞をとるなど好調だった2005年度決算を受けた2006年6月の決算賞与は、入社数年目のペーペー社員でも、150~200万円超が実際に出ていた」(元社員)
それが、「3年前から経費が厳しくなった。昔は給料日が2回ある感じで、若手でも経費清算分が毎月10万円以上振り込まれていたんです」(同)。ジャブジャブだった経費は絞られ、「少ない、少ない」と言われてきた退職金のほうは、引き上げられた。人事評価制度改革では、「年俸12分割+業績賞与1回(6月)」というように、部門単位の業績に自動的に連動する方式に変わった。制度は確実に、ベンチャー型から「普通の上場日本企業型」に変わりつつある。
竹内氏主導の体制変更によって大規模な人事異動も断行され、2009年末~2010年にかけて、約100人が辞めたという。全体でも1400人余りの会社にしては多めだ。2011年の5月1日付でも、250人もの人事異動があった。「トンデモ異動と言われるものもあって、営業系だった人が、いきなり畑違いの管理系に出されたりしています。半分は、辞めさせるのが目的だ、と社内では思われています」(社員)。現在、人員に余剰感があるのだという。
エイベックスのキャリアパスと報酬 |
「アーティスト次第」の昇進
実際の新しい報酬水準は、「CG1」から「CG7」までの7段階に分けられ、CG5から上が管理職。CG5に昇格するための管理職試験が新たに設けられた。実際の運用はまだ半年なので、運用次第のところはあるが、概ね以下のとおりだ。
新人は、基準年俸が
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まるで一部上場大企業のようなカッチリした人事評価シート。2010年10月より導入。
業績連動ボーナスの決定方法。所属する事業会社の業績によって原資が変わり、課長級以上は個人査定でも配分が変わる。
評価詳細&根拠
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エイベックスは、2013年度の採用において、「“志”一括採用」と呼ぶ新たな採用方針を打ち出した。29歳未満の人材を対象に、新卒・既卒のみならず学歴や国籍、就労経験などに関係なく、選考試験の応募を受け付ける。
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