ナップスター提訴から20年。
DMCAもひと回りしたってことなのか…。
米ゲーム開発会社の新作発表イベント「BlizzCon 2021」でオープニングセレモニーのラストを飾るメタルバンドの大御所・メタリカ(Metallica)のライブが、途中で保育園の昼寝のような著作権フリー楽曲に切り替わるハプニングが起こり、「なんというブーメラン」と話題です。
こちらが問題のTwitchライブ配信。「For Whom The Bell Tolls(誰がために鐘は鳴る)」の途中でTwitch側が「これメタリカに著作権侵害で訴えられるヤバいやつだ」と識別して、大慌てて著作権フリー楽曲に差し替えているのがわかります。
Twitchストリーマーを襲ったDMCA削除要請の山
Amazon傘下のTwitchではDMCAの締め付けが去年から急に厳しくなっているので、その一環と思われます。ゲーム実況中には効果音や背景音で著作権楽曲が流れることもありますけど、そっちまで著作権侵害だってことで大手レーベルからにらまれるようになって、それまで年間50件だったDMCA(デジタルミレニアム著作権法)の削除要請が週数千件のペースで5月からどっと届くようになってるんです。
それがなかなか大変で、ストリーマーからはこんな悲鳴も上がっています。
昨年10月にはメタルバンド・ドラゴンフォース(DragonForce)のリードギタリストのHerman Liも公式チャンネルが一時利用停止になって、ライブをYouTube配信に変更しなければならなくなって、「DMCAフリーで新曲をTwitchに開放しているアーティストまで狙われるなんて、DMCA行き過ぎじゃない?」とだいぶ騒がれました。
DMCAといえばのメタリカ
DMCAの歴史を過去にさかのぼると、当時19歳の大学生ショーン・ファニングがパソコンに抱えているMP3楽曲をP2Pネットワークでつないで世界中のだれとでもシェアできるようにしたナップスターの登場と、それを著作権侵害で訴えて倒産に追い込み、DRMとDMCA普及を後押ししたメタリカに辿り着きます。
あれだけネット配信に反対したメタリカもコロナはネット配信に頼るほかなくて、自前のヒットナンバーをライブでいくら叫んでも、DMCAの網で弾かれてリスナーに届かない。いやあ、こんな珍場面にお目にかかれるとは…。笑っちゃいけないけど吹くわ…。