これを10分の動画にまとめるとは...脱帽。
原子の振動とエネルギーが底を打つのが絶対零度なら、その逆は? 「絶対無限」? いや低温より幅はあるだろうけど高温にも上限はあるんじゃないの? 疑問にVsauceさんが迫ります!
[動画訳]
どうも~Vsauce(ヴィーソース)です~
いや~このお茶も熱いけど宇宙で一番ってほどじゃないよね。宇宙で一番熱いものって何? 絶対零度があるのはみんなも知ってるけど、「絶対ホット」は? これ以上熱くなれない温度の上限って何なのか? 今回はこの疑問を徹底追求してみよう。
とりあえず人体。みんなの体温は一定じゃない。37℃(華氏98.6度)というのは平均体温で、時間帯によって1日サイクルで変動する。変動幅は0.5℃(華氏1度)。夜寝る人の体温が最低になるのは午前4時半で最高になるのは午後7時。あんまり熱くなり過ぎてもダメで、体温が42℃(華氏108度)になるとほぼ間違いなく死に至る。
次、気温。世界観測史上最高気温は54℃(華氏129度)、記録されたのは4回とも米デス・バレーだ。
コーヒーを淹れるお湯の適正温度は82℃(華氏180度)。
焼き上がりのケーキの適正温度は99℃(華氏210度)。
噴出時の溶岩の温度は1090℃(華氏2000度)。この溶岩は家の庭でもこしらえることができる。GreenPowerScienceが動画で紹介してるみたいにフレネルレンズで太陽光を集めてやると火山ガラスが溶けて溶岩に戻るんよ。地球から149,600,000kmも離れてるのに太陽ってすごいのな。
因みに太陽は表面でも5500℃(華氏10,000度)ある。
太陽の中心核に至っては15,000,000℃(華氏28,000,000度)。つまり15,000,000ケルビンだ。
「ケルビン」は摂氏と目盛り幅は同じだけど、絶対温度を指す単位のことね。絶対零度=0K=-273.15℃。
太陽の中心核ぐらい高熱になると物質からおびただしい量のエネルギーが放射される。例えばピンの平たい頭んとこを太陽の核ぐらい高温に熱すると、もうそれだけで半径1000マイル(1609km)の人間皆殺しにできるほどの凄まじいエネルギー量になるんだよ。
物質から放射されるエネルギーを見れば、その物質の温度もおおよそ見当がつく。絶対零度より高温の物質はどれも皆なんらかのかたちで電磁放射を排出してるからね。君と僕? まあ、目に見える光(可視光)こそ放ってないけど僕らも赤外線は放射してる。人間の目では見えないけど赤外カメラには見えるやつね。この動画の男性もゴミ袋被ると見えなくなるけど、こんな風に(3:18)赤外線の光は放ってるんだ。
こんな風に不可視スペクトルで可視状態になるには、ある一定の温度を超えないといけない、それが「Draper Point」(798K、摂氏525度、華氏976度)。これを超えると、ほぼ全ての物はインディアンレッドな光を放ち始める。
物体の温度と波長は反比例する。熱くなればなるほど、その物体から放射される波長は短くなる。これが世に言う「ウィーンの変位則(Wien's displacement law)」。放射光は波長に応じてラジオ波、マイクロ波、遠赤外線、可視光、X線、ガンマ線まであるが、これ全部太陽の真ん中でできたものだ。
太陽ぐらい高温だと物質は「第四の状態」になる。固体でも液体でも気体でもない。電子が原子核からウロウロ離れていってしてしまう状態、これがプラズマさ。
プラズマは炎をチンすると家でもできる(4:16)。...が、絶対やるなよ! どうせ太陽なんて宇宙で一番ホットでもなんでもないんだし。いやまあ、15,000,000K(1500万ケルビン)あるんだから熱いことは熱い、死ぬほど熱い。でも熱核爆発のピークの温度はなんと350,000,000K(3億5000万ケルビン)もあるのだよ。一瞬なので、影響はほぼないに等しいが。
太陽の8倍大きい星が死ぬ最期の日には、星の核の温度はなんとなんと3,000,000,000K(30億ケルビン)にも達する! クールに3ギガケルビンと呼んでやろうぜ!まだあるよ。1にゼロ12個つけて...
1,000,000,000,000K(1テラケルビン)...ここまでいくと物質も変な具合になってくるんよ。
さっき太陽はプラズマでできてるって話したよね。1テラケルビンになると、原子核からアウェイするのは電子だけじゃなくて、水素そのもの、原子核の陽子も中性子も全部どろどろに溶けてクオークとかグルーオンとかのごった煮スープになっちゃうのさ!
テラケルビンってどんだけ熱いのかって?
......恐ろしく熱い。
地球から約8000光年彼方に「WR104」という星がある。質量は太陽の25倍。この星が死ぬ...つまり(超新星)爆発すると、内部の温度は凄まじい高温になり、太陽が一生かかっても放出できないほどの途方もないエネルギーがガンマ線となって宇宙に放出される。
ガンマ線バーストはとても細いので、たぶん地球は大丈夫。でも万が一、直撃したら、どうなるのか?
WR104が崩壊すると、4702,000,000,000,000マイル(7567,000,000,000,000km)離れてる地球にも悪影響は及ぶ。10秒当たるだけで地球のオゾン層の4分の1は消え、大量絶滅、食物連鎖枯渇、飢饉が発生する。それもこれも8000光年彼方から出たエネルギーでね。
ここ地球のスイスで科学者たちは、陽子(プロトン)を原子核に衝突させて1テラケルビンより大きな温度を生み出すことに成功してるんだよ。2~13エクサケルビンね。
1TeraKelvin=1,000,000,000,000K1ExaKelvin =1,000,000,000,000,000,000K
テラケルビンにゼロ6個足すとエクサケルビンだ。でも大丈夫、僕らには影響ない、超高温と言っても持続するのはほんの一瞬のことだし、実験で使った粒子も超少ないから。
さ、まだまだ行くよ。さっき物質の放射する波長はその物質の温度から計算できるって話をしたよね。もし物体の温度が1.41×10の32乗に達すると...
141,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000K=255,000 billion billion billion F
=141,000 billion billion billion C
輻射される電磁波の波長は...
0.00000000000000000000000001616ナノメートル...になる。これはか~なりちっこい。あまりにもちっこいので特別な呼び名がある。それが...
量子力学によればこれが宇宙に存する最小の長さらしい。
「いや、もっとエネルギーでかくなったら波長もっと短くなるんじゃね?」うーん、ところが問題があって...
141,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000K
=255,000 billion billion billion F
=141,000 billion billion billion C
この「プランク温度(Planck Temperature)」を超えると、我々の理論がもう通用しなくなっちゃうんだよね。物質がそこまで高温になると、もう温度が温度と見なされなくなってしまうのさ。
!?
理論上はシステムには無限にエネルギーが追加できる。でもプランク温度を超える高温になると何が起こるかわかってないのね。
昔から言われてるのは、それだけのエネルギーが一箇所に集まったら、その瞬間にブラックホールができてしまう、ということ。エネルギーから生成されるブラックホールには特別な呼び名がある。それが...
クーゲルブリッツ(Kugelblitz)みんなもホット(美人、セクシー)な女の子、科学で説明できないほどホットな子に会ったら「クーゲルブリッツ(Kugelblitz)」と呼んでみるといいかもね。
おまけ。太陽は今だいたい47億歳、人生の折り返し点というところだ。これまでざっと地球100個分の燃料を燃やしてる。すごい量だけど、太陽の大きさは地球の30万個分もある。無茶苦茶熱いのに無茶苦茶でかい―この矛盾を突くと人体の放射と太陽の放射を比べて、いろいろおもしろい計算が成り立つ。詳しくはBad Astronomyが紹介してる。
飽くまでも計算上の話で、まったく意味ないことだけど、人体1立方cmが放射するエネルギーの方が太陽1立方cmが放射するエネルギーの平均より大きいんだよ。
そう考えると、なんだか体の中がポカポカしてこない?
[YouTube]
satomi(Eric Limer/米版)