マルニ(MARNI)の2023年春夏コレクションが発表された。
今シーズン、マルニが掲げたテーマは「日没」だ。燃えるようなレッドやオレンジ、快活なイエローのパレットからスタートしたショーは、徐々に淡いパープルやブルー、ブラックなどダークな色調へと変化。ダイナミックなグラデーションによって、真っ赤に染まった太陽が地平に沈み、夜が深まっていく様子を表現した。
シルエットは、クロップド丈のトップスやミニ丈のスカートなど、ミニマルなものが基本。そこに、足首まで長さがあるロングコートや、オーバーサイズのジャケットを合わせ、重量感のバランスを絶妙に保っているのが特徴的だ。
中でも長短の感覚が最も良く表されていたのは、程よく光沢を纏ったロングドレス。フロントに大胆なスリットを入れて“短さ”を強調する一方で、袖丈は引きずるほどに“長く”伸ばしているのがユニーク。艶やかな生地感とも相まって、優美で流麗、そして躍動感のあるシルエットを演出している。
今季を象徴する、“太陽”を思わせるモチーフにも注目したい。この円形モチーフは、トップスやドレスのほとんどにあしらわれているもの。クロップド丈のニットトップスは胸元を丸くカッティングし、周りをグラデーションカラーの糸で囲うことで、太陽を彷彿とさせるデザインに仕上げている。
リブニットやローゲージニットなど、柔らかく温かみのある素材が散見された今シーズン。そんな中で目を惹いたのは、しっとりとした光沢のベロア素材や煌めくビーズといった、シャイニングな素材のアイテムだ。歩くたびきらきらと光を反射するジャケットやトップスは、夜空の静かな輝きをそのまま纏っているかのよう。ダークな空気に包まれたランウェイでは、なおさらそのゴージャスさが際立っていた。