GIS― 理 論 と応 用
Theory
and Applications
of GIS, 1994, Vol. 3, No. 1, pp. 33-44.
GISに お け る文 字 の大 き さの統 計 的決 定 手 法
貞広幸雄
A Statistical
Method
for
Determining
the
Size
of Map
Labels
Yukio SADAHIRO
Abstract: This paper proposes a method for determining the size of map labels from a statistical view. Though
larger letters are more readable than smaller ones, they sometimes cause the overlaps of letters, and thus it may
leads the inefficiency of GIS operations. In this paper, we show two indices for evaluating the readability of
map labels: visible letter area and readable letter area. The former is the area of rectangles in computer display
which include letters of map labels. The,latter is also the summed area of rectangles, though it excludes overlapped rectangles. These indices arecalculatedin several cases, and we show the relationship between these
indices and the size of letters. We,can:thuscexpect the area of overlapped letters statistically, and control it by
adopting letters of proper'size. This methodhis applied to the names of stations in Yokohama, and some empirical findings are shown.
Keywords:
1.は
map labels,
size of letters,
name placement,
じめ に
statistical
method
を阻 害 す る こ と に な る。
地 理 情 報 シス テ ム にお け る デー タ表示 機 能 は、 通
この よ う に、 文字 の 大 き さは そ の見 易 さ に多 大 な
常 、 空 間 的 な オ ブ ジ ェ ク トだ けで は な く、各 オ ブ ジ
影 響 を与 え る ため 、文 字 の大 き さを 決定 す る と き に
ェ ク トに付 随 す る属 性 情 報 も対 象 と して い る。 施 設
は、 文 字 情報 の 量 に応 じて文 字 の重 複 や はみ 出 しな
名称 や属 性 の 数値 デ ー タ な どの文 字 情 報 は、 地 理 情
どを慎 重 に考 慮 す る必 要が あ る。 しか し従 来 、文 字
報 シス テ ムが扱 うデ ー タの 中 で も最 も重 要 な情 報 の
一 つ で あ り、 シス テ ム は利 用 者 が そ れ らを正 し くか
の大 き さは経 験 的 に決 定 さ れ る こ とが 多 く、文 字 が
重 複 して 十分 に判 読 で きない とい うこ とが しば しば
つ 素 早 く認 識 で き る よ うに表 示 す る必 要 が あ る。
起 こ っ てい た。
例 え ば 、地 理情 報 シ ス テ ム を用 い て何 らか の空 間
文 字情 報 の見 易 さは様 々 な要 因 に よっ て決 定 さ れ
るが 、 最 も重 要 な もの の 一 つ と して 、文 字 の大 きさ
的解 析 を行 う と きを考 えて み よう。 この よ うな場合 、
が挙 げら れ るで あ ろ う。 文 字 は、一 般 的 に大 きけ れ
利 用 者 は地 図情 報 を何 度 も繰 り返 し見 る必 要 が あ り、
ば大 きい ほ ど判 読 しや す い が 、 文字 を大 き く し過 ぎ
シ ス テム に は情 報 を素 早 く表 示 す る こ とが 求 め られ
る と情報 量 が多 くな っ た とき に文 字 同士 の重 複 や 画
る。 この た め文 字 情 報 は、 シ ス テ ム既 定 の大 きさ で
面 か らの は み 出 しが発 生 し、 か え っ て判 読 が 困 難 に
機 械 的 に配 置 さ れ る こ とが多 い 。 しか しこの場 合 、
な る。文 字 を小 さ くす る と、 重複 や はみ 出 しの 問題
表 示 され る文 字 の大 き さが大 き過 ぎ る と、 文 字情 報
を避 け る こ とは で きる が 、文 字 の小 さ さが 読 み 易 さ
の 数 が 多 くな っ た場合 に文 字 の判 読 が 難 し くな り、
貞 広:〒113東
京 都 文 京 区 本 郷7‑3‑1東
都 市 工 学 科Tel.03‑5800‑6964
解 析 作 業 の効 率 を 低 下 させ る恐 れ が あ る。
京 大学工学部
あ るい は、 地 理情 報 シス テ ム にお い て 地 図 の最 終
Department of Urban Engineering, University of Tokyo
7-3-1 Hongo, Bunkyo, Tokyo 113
E-mail:
[email protected]
的 な出力 図 面 を作 成 す る場 合 を考 え て み よ う。こ の
33
場 合 、 出 力 図 面 に お い て は全 て の 文 字 を判 読 で き る
合 、 文 字 配 置 ア ル ゴ リズ ム に よ って う ま く文 字 が 配
こ とが要 求 され る ため 、 図 面 中 にお け る 同色 文 字 の
置 さ れ た場 合 と比 べ る と文 字 情 報 の損 失 は多 くな
重 複 は 原 則 と し て 許 さ れ な い(Yceli,
る。こ れ は逆 に考 え れ ば 、 機 械 的 配 置 にお け る文 字
1975; Buttenfield and McMaster,
1972; Imhof,
1991)。
の大 き さの 基 準 値 は、 様 々 な ア ル ゴ リズ ム を用 い た
そのため、
文 字 同 士 が 重 複 しな い よ う に配 置 を行 う方 法 と し て、
と きの 安 全 側 の基 準値 とな る と い うこ とであ り、 こ
automated
の 結 果 を利 用 す る こ とで 、 自動 文 字 配 置 にお い て も
name
placement(自
動 文 字 配 置)と
呼 ばれ
る ア ル ゴ リ ズ ム が い くつ か 提 案 さ れ て き た(Hirsch,
1982; Ahn
1987;
and Freeman,
Doerschler
Goulette, 1989)。
and
予想 外 の情 報 損失 とい う事 態 を避 け る こ とが で きる。
以 下 、2節 で は文 字 情 報 が 画面 か らは み 出す こ と
1983; Zoraster and Stephen,
Freeman,
1989; Ebinger
and
に よ る損 失 に着 目 し、 文 字 の大き さ が文 字 情 報 の損
こ れ ら の ア ル ゴ リ ズ ム を用 い る こ
失 量 に与 え る影 響 を分 析 す る。3節 で は はみ 出 しに
と に よ り、 図 面 中 に お け る 文 字 同 士 の 重 複 は か な り
加 え 、 文 字 の 重複 も考 慮 した考 察 を行 う。4節 で は
減 少 す る 。 しか し こ の 場 合 も 、 文 字 の 大 き さ は シ ス
前2節 の 結 果 をふ ま え 、横 浜 市 の地 図 につ い て実 際
テ ム利 用 者 が 経 験 的 に 適 切 で あ る と考 え る大 き さ に
に文 字 の 大 きさ を決 定 し、 配 置 した例 を示 す。5節
設 定 す る た め 、経 験 の 浅 い利 用 者 は 、文 字 の 重複 の
で は本 論 文 か ら得 られ る知 見 と今 後 の課題 につ い て
な い 図 面 が 完 成 す る ま で に何 度 も字 の 大 き さ を 変 え
ま とめ る。
て 表 示 を 試 み た り、 一 部 の 文 字 情 報 を 削 除 す る な ど
の必 要 が 生 じて い た 。 もち ろ ん、 文 字 同 士 が重 複 し
2.画
面 か らの は み 出 しに よ る 文字 情 報 の 損 失
い ま、 地 図 の 出力 対 象 領 域Aを 長 方 形(横X0、
な い と い う条 件 の も と で 、 文 字 の 大 き さ の 最 大 値 を
縦
解 析 的 に 求 め る こ と が で き れ ば 、 こ の よ うな 問 題 は
Y0、 面 積S0)の
解 決 さ れ る 。 しか しFormann
よれ
し、 この 中 にN個 の施 設 が ラ ン ダ ム に配 置 され て い
ば 、 文 字 情 報 領 域 が 全 て 合 同 で あ る とい う極 め て 単
る場 合 を考 え よ う。 な お 、 こ こで は問 題 を単 純化 す
純 な 場 合 で す ら 、 そ の よ う な 計 算 はNP完
全 で ある
る た め に、施 設 は全 て 点 的施 設 で あ る もの とす る。
こ とが 証 明 さ れ て お り 、Nが 大 き い 場 合 に は極 め て
各 施 設 は 、全 て施 設 名 称 な どの属 性 デ ー タ を持 ち、
難 しい 問 題 と な る。
属 性 デ ー タの うち の一 つ を文 字 情 報 と して コン ピ ュ
and Wagner(1991)に
コ ン ピ ュ ー タデ ィ ス プ レ イ と仮 定
論 文 で は文字 情 報 を
ー タ デ ィスプ レイ上 に表 示 す る もの とす る。 これ ら
完 全 に 機 械 的 に 配 置 す る 、 つ ま り、 特 別 な ア ル ゴ リ
点 的 施 設 以 外 の施 設 や、 そ の他 の文 字 情 報 、 デ ィス
ズ ム を 用 い ず に 配 置 す る 場 合 を 取 り上 げ 、 統 計 的 手
プ レイ外 に存 在 す る点 的施 設 の文 字 情 報 は一 切 表 示
法 に よ っ て 、 文 字 の 大 き さが 画 面 か らの は み 出 し や
さ れ な い。 文 字 情 報 の 一部 が デ ィス プ レイ か らは み
文 字 同 士 の 重 複 と い っ た 情 報 損 失 に 与 え る影 響 を 定
出 す 場 合 に は 、 そ の文 字 情 報 は デ ィ ス プ レイ内 に収
量 的 に分 析 す る 。 こ の よ う な研 究 を 行 う 目 的 は 二 つ
ま る 範 囲 だ け 表示 さ れ る。 点 的施 設iに付 随 す る 文
あ る0第
字 情 報 領 域 は、 文 字 情 報 を完 全 に包 含 す る最小 の 長
こ の よ う な 状 況 を ふ ま え1本
一 に は 、空 間解 析 の 途 中段 階 の よ うに、 文
字 の 判 読 し易 さ よ り も 表 示 時 間 の 方 が 重 視 さ れ る 状
方 形 領 域(向
きは水 平 方 向)と
況 にお い て、 文 字 情 報 の損 失 を一 定水 準 以下 に抑 え、
呼 ぶ(横Xi、
縦Yi、 面 積Si)。 通 常 、 文 字 情 報 の大
文 字 の 見 易 さ を 確 保 す る た め の 文 字 の 大 き さの 基 準
き さ は デ ィス プ レイの 大 きさ と比 べ てか な り小 さい
を示 す こ とで あ る。 第 二 の 目的 は、 機械 的 な文 字 配
の で、 本 論 文 で はX0/2>Xi,
置 にお け る文 字 の大 き さの 基 準 を示 す こ とで、 自動
す る。
し、 この領 域 をLiと
Yi/2>Yi(i=1,...,N)と
文 字 配 置 ア ル ゴ リ ズ ム を 用 い た 場 合 に お け る安 全 な
文 字情 報 の 配置 は完全 に機械 的 で あ り、点 的施 設 に
基 準 を 示 唆 す る こ と で あ る 。 機 械 的 な 配 置 を行 う場
対 して 図1の ような位 置 関係 で置 かれ る もの とす る。
34
本 論 文 で は、 これ らの 情 報 量 か ら、 画 面 内情 報率
(画面 内 情報 量 の 、 全 情 報 量 に対 す る比 率)と 有 効
情 報 率(有 効 情 報 量 の、 全 情 報 量 に対 す る比 率)を
算 出 し、 シス テ ム利 用 者 が 入 手 し得 る文 字情 報 量 の
指標 とす る。 画 面 内 情 報 率 と有 効 情 報 率 は 、 どち ら
も判読 可 能 性 の あ る文 字 情報 の割 合 を示 してい るが、
前 者 は判 読 可 能 性 が0で は ない 部 分 を全 て対 象 と し
てい るの に対 し、後 者 は よ り判 読 可 能性 の 高 い部分
の み を対 象 と してい る とい う違 い が あ る。
これ らの情 報 率 の う ち、 本 節 で は画 面 内情 報 率 の
期 待 値 を求 め る こ と に よ っ て、 文 字 の大 き さが画 面
か らの 文 字 の は み 出 しに与 え る影 響 を分 析 す る。 こ
図1文 字 情報 の配置方法
の値 は、各 文 字情 報 につ い て画 面 内 に含 まれ る部分
の面 積 の期 待 値 を計 算 し、 その 総 和 を全 情 報 量 で除
本 論 文 で は、以 上 の条 件 の 下 で 、 文 字 の大 き さが
す る こ と に よ って求 め る こ とが で きる。 そ こで こ こ
文 字 の はみ 出 しや 重複 とい っ た情 報損 失 に与 え る影
で は文 字 情 報 領 域Liに つ い て、 画 面 内 に含 まれ る領
響 を統 計 的 に分 析 す る。 な お 、 点 的施 設 と文 字情 報
域 面積 の期待 値 を計 算 す る。
は異 な る方 法 に よっ て 表示 され る(異 な る色 を用 い
は じめ に、 計 算 の ため に デ ィス プ レイ に 図2の よ
るな ど)も の と し、文 字情 報 と施 設 表 示 の 重複 は こ
うな座 標 系 を と り、 さ ら に この デ ィス プ レイ画 面 を
こで は特 に扱 わ ない 。
図3の よ うな9つ の 領 域 に分 割 す る 。
まず は じめ に、文 字 の情 報 量 を次 の よ う に定 義 し
て お こ う(但 しM={1,2,...,N}と
す る)。
全 情報 量:〓
(2.1)画面内情報量:〓(2.2)
有効情報量:〓(2.3)
図2デ
ィ ス プ レイ 内の 座 標 系
全 情報 量 と は、全 て の 文字 情 報 が持 つ情 報 量 の総
和 で あ り、各 文 字 情 報 領 域 の面 積 の合 計 と して表 さ
次 に 図3の 各 領 域 につ い て 、 点 的 施 設iが図4の
れ る。 画面 内情 報 量 とは 、文 字 情 報 領 域 の うち画 面
よ うな微 小 領 域dAに 含 まれ る確 率及 び そ の時 の 画面
か らの はみ 出 しに よっ て失 わ れ た もの を 除 い た部分
内 情 報 量 を計 算 す る。 この値 を各 領 域 内 で積 分 す る
の面 積 で あ る 。有 効 情 報 量 とは 、 画面 内 に含 ま れ る
こ と に よ っ て、 点 的 施 設iが各 領 域 に含 まれ る と き
文 字 情 報 の う ち、複 数 の 文字 情 報 が重 複 して い な い
の画 面 内情 報 量 の期 待 値 を 求 め る、
こ とが で きる。 な
部 分 の面 積 を表 す。
お、
以 下 の説 明 で は 、点 的 施 設iが領 域jに含 まれ る と
35
きの 画 面 内情 報 量 の期 待 値 の 総 和 をIijと
す る。
きの 画 面 内情報 量 は、
〓(2.5)
で あ る。 従 っ て画 面 内情 報 量 の期 待 値Ii2は
〓(2.6)
と表 さ れ る 。 領 域A3〜A5に
図3画
つ い て も同 じよ う に、
面 内 情 報 率 を計 算 す る た め の9つ の領 域
〓(2.7)
と画 面 内 情報 量 の期 待 値 が計 算 さ れ る 。
(3)点的 施 設 が領 域A6〜A9に 含 まれ る場 合
点 的 施 設iが微 小 領 域dAに 含 まれ る と きの 画 面 内
情 報量 は、
図4微
小 領 域dA
〓(2.8)
で あ る。 従 って 画面 内 情 報 量 の期 待 値Ii6は
(1)点的施 設 が領 域A1に 含 ま れ る場 合
点 的 施 設iが微 小 領 域dAに 含 ま れ る確 率 はdxdy/S0
で あ り、 この と きめ 画 面 内 情 報 量 はSで あ る。 従 っ
て 、画 面 内 情 報 量 の期 待 値Ii1は
〓(2.9)
とな る。 領 域A7〜A9に
〓
(2.4)
と な る。
(2)点的 施 設 が領 域A2〜A5に 含 ま れ る場 合
点 的 施 設iが領 域A2内 の微 小 領 域dAに 含 まれ る と
つ い て も同 様 の考 え方 に よ り、Ii7=(Xi‑
とな る。
称 が つ け られ て お り、 各 文 字 の 縦 横 の 長 さ は 同 じ も
以 上 の 計算 結 果 よ り、画 面 内 情 報 率 の期 待 値 は次
の と す る(こ
の よ う に求 め られ る。
れ は、 各 文字 情 報 領 域 が全 て合 同 で あ
り、 縦 横 比 が1:3と
い う こ と'を意 味 す る)。
文字
情報 領 域 は 常 に点 的 施 設 の 右 上 、 つ ま り、Xi'=Yi'=0
と な る よ う に置 か れ る 。 こ の と き 、 画 面 内 情 報 率 と
文 字 情 報 領 域 の 大 き さ の 関 係 は ど う な る で あ ろ う か。
こ の 計 算 は 、(2.11)式 に お い てYi=Y、Xi=X=3Yを
〓(2.11)
代 入 し、 数 値 計 算 を行 え ば よ い 。 す る と結 果 は 図6
こ こで、 点 的 施 設 と文 字情 報領 域 の位 置 関係 につ
の よ う にな る 。
い て考 え でみ よ う。文 字情 報 が 機 械 的 に配置 され る
場 合 には 、文 字 情 報領 域 は点 的 施 設 に対 して図5の
い ず れ かの 位 置 に置 か れ る こと が普 通 で あ る。Yoeli
(1972)で1は、(a)の4つ の位置 が 最 も望 ま しく、そ れ
が 無理 な場合 には(b)のよ う1に配置 す べきで ある と述
べ られて い る。 しか し、(2.11)式か ら分 か る とお り、
画 面 内情 報率 の 期待 値 は、Xi'=Xi/2、Yi=Yi/2のと き、
つ ま り、 図5(c)の よ うに点 的 施 設 が文 字 情 報領 域 の
重 心 に位 置 す る よ うな 配置 に おい て最大 値 を と り、
(a)の場 合 は最小 値 を とる。 点 的施 設 と文 字 情 報領 域
図6文
の位 置 関係 は、 施 設 と文 字 の 関係 づ けの容 易 さな ど
字 情報領 域 の大 きさと画面内情報 率
の 観 点 も含 め て総 合 的 に決 定 され るべ き問 題 で あ る
が 、機械 的 な配置 にお い て画 面 か らの文 字 の はみ 出
この場 合 、 文 字 情 報 領 域 の 大 き さ と画面 内情 報 率
しを防 ぐとい う観 点 か ら見 れ ば 、(a)ような配 置 よ り
の 間 に は 、 直 線 に 近 い 関係 が あ る こ と が 分 か る 。 こ
も(c)あ るい は(b)の よ う な配 置 の 方 が 望 ま しい こ と
こ で 、 日本 の コ ン ピ ュ ー タ デ ィ ス プ レ イ で よ く用 い
が分 かる。
ら れ る12×12ド
の3つ
ッ ト、16×16ド
ッ ト、24×24ド
ット
の字 体 の大 きさ につ い て、 画 面 内情 報 率 を見
て み よ う。 画 面 内 情 報 率 の 期 待 値 は 、 図6よ
ぞ れ95。7%、94.3%、91.5%で
りそ れ
あ る 。 つ ま り、10%
の は み 出 しが 許 容 で き る な ら ば 、24×24ド
ッ トと い
う比 較 的 良 好 な 大 き さ の 字 体 を用 い る こ と も 可 能 で
あ る が 、 そ う で な け れ ば よ り小 さ な 字 体 を 用 い る 方
図5文
が よい とい う こ と に な る。
字情報領域 と点的施 設 の位置 関係
次 に 、文 字 情 報 領 域 が 点 的 施 設 の 真 下 に 配 置 さ れ
る、 つ ま りXi'=Xi/2、Yi=0と
次 に 、(2.11)式 を 実 際 の デ ィ ス プ レ イ 画 面 に 適 用
仮 定 して み よ う。 す る
し、 文 字の 大 き さ と 画 面 内 情 報 率 の 関 係 を見 て み よ
と 、 画 面 内 情 報 率 は そ れ ぞ れ97.12%、96.1%、943%に
う。 い ま 、 横640、 縦400ド
増 加 す る。 従 っ て この 場 合 、 文 字 の 大 き さが大 きい
ッ トの デ ィ ス プ レ イ が あ
ほ ど、 点 的 施 設 と文 字 情 報 領 域 の 位 置 関 係 が 画 面 か
り、 そ の 中 に複 数 個 の 点 的 施 設 が ラ ン ダ ム に 配 置 さ
れ る もの と す る 。 全 て の 施 設 に は 、 漢 字3文
らの文 字 の はみ 出 しに与 え る影 響 が 大 き くな る こ と
字 の名
37
まず 、 全 て の文 字 情 報 領 域 が合 同 な場 合 を考 え よ
が 分 か る。
う 。 こ の 場 合、Xi=X、Yi=Y、Xi'=X'、Yi'=Y'、Si=S
3.画
と す る 。 次 に 、 画 面 領 域Aを
面 か らの はみ 出 し及 び文 字 の 重複 に よ る
図7の よ う な9つ の領 域
に分 割 し、 各 領 域 の 点(x,y)に 文 字 情 報 領 域 が 一 つ だ
文 字 情 報 の損 失
本 節 で は有 効 情 報 率 の期 待 値 を指 標 と して用 い 、
け 置 か れ る確 率 を 求 め る 。 こ の 確 率 を 領 域 ご と に積
文 字 の大 き さが 文 字 の はみ 出 し及 び文 字同 士 の 重複
分 し、 領 域iに 関 す る 有 効 情 報 量 の 期 待 値 の 総 和 を
に与 え る 影 響 を定 量 的 に分 析 す る。
と る(こ
の 値 をJiと す る)。Jiを
全 領 域 に つ い て合 計
す れ ば 、 有 効 情 報 量Ieff及び 有 効 情 報 率 の 期 待 値 を 求
有 効 情 報 率 の期 待 値 は 、 一 般 的 に は次 の よ う に求
め る こ とが で き る。 図2の 座 標 系 にお いて 、画 面 内
め る こ とが で きる。
の点(x、y)の 上 に文 字 情 報領 域Liが 置 かれ る確 率 は、
〓(3.1)
で あ る。 一 方 、Li以 外 の 文 字 情 報 領 域 が 全 て 点(x,y)
に重 な ら な い確 率 は、
〓(3.2)
図7有
効 情 報 率 を計 算 す る た め の9つ の領 域
で あ る。 有 効 情 報 量Ieffは、文 字 情 報 領 域 が 一 つ だ け
置 か れ る部 分 の 面 積 で あ る か ら 、 式(3.1)と(3.2)の 積
のiに 関 す る 和 を 、 画 面 領 域Aに
(1)領 域B1に 関 す る 期 待 値J1
つ い て積 分 す る こ と
領 域B1内 の 点(x,y)に 文 字 情 報 領 域 が 一 つ だ け置 か
に よ っ て 求 め られ る。 従 っ て有 効 情 報 率 は 、
れ る確 率 は 、
〓(3.4)
と表 さ れ る 。 こ の 確 率 を 領 域B1内 で 積 分 す れ ば 、 領
〓(3.3)
域B1に つ い て 有 効 情 報 量 の 期 待 値J1を 求 め る こ と が
で き る 。 従 っ て 、J1は
とな る。 しか し、(3.3)式を使 っ て文 字 情報 領 域 の大
きさ と有 効 情 報 率 の 関係 を具 体 的 に捉 え るす る こと
は難 しい の で、 以 下 、 い くつ か の限 定 的 な場 合 につ
い て(3.3)式を さ ら に単 純 化 し、 文 字 情 報領 域 の大 き
さ が有 効 情 報 率 に与 え る影 響 を調 べ る。
〓と な る 。
3.1全
て の 文 字 情 報 領 域 が 合 同 な場 合
38
(2)領 域B2〜B5に
Y')を 代 入 し た も の と な る 。 以 上 の 結 果 を 用 い 、 全
関 す る期 待 値J2〜J5
領 域 に お け る有 効 情 報 率 の期 待 値 は 、
領 域B2内 の 点(x,y)に 文 字 情 報 領 域 が 一 つ だ げ 置 か
れ る 確 率 は 、〓
〓(3.11)
と表 さ れ る。
こ こで前 節 と同 じよ う に、 点 的 施 設 と文 字情 報領
(3.6)で あ る。従 っ てJ2は〓
域 の 位 置 関 係 が 有 効 情 報 率 に 与 え る影 響 を 調 べ よ う。
し か し 、(3.11)式 を こ の 形 の ま ま で 扱 う こ と は 難 し
い の で、 来 字 情 報 領 域 の 大 き さ が 地 図 全 体 の 大 き さ
と 比 べ る と か な り小 さ い と い う こ と を 考 慮 し 、
S0>>S
とい う仮 定 を置 い て 近 似 的 に 式 を展 開 し よ う。
す る と(3.11)式 は 次 の よ う た 表 さ れ る 。
(3.7)と表 さ れ る 。以 下 同 様 にJ3〜J5も〓
(3.8)
〓(3.12)
とな る。
(3)領 域B6〜B9に
(3.12)式 に お い て 、 第1項 はX'、Y'に
関 す る 期 待 値J6〜J9
2項 はX'=0あ
領 域B6内 の 点(x,y)に 文 字 情 報 領 域 が 一 つ だ け 置 か
れ る確 率 は、
値 、 第3項
はY'0あ
Y'=Y/2の
〓(3.9)
る い はX'Xで
最 小 値 、X'X/2で
る い はY'=Yの
最大
と き に最 小 値 、
と き に 最 大 値 を と る 。 ま た 第4項 は 、X'=0
あ る い はX'=X、
さ ら にY'=0あ
最 小 値 、X'=X/2か
で あ る 。 従 っ てJ6は
は よ らず 、 第
つY'=Y/2の
る い はY'=Yの
ときに
と き に 最 大 値 を と る。
従 って 、有 効 情 報 率 の期 待 値 も ま た、 文 字 情報 領 域
が 図5(a)の
よ う に置 か れ た 場 合 に 最 小 に な り、 図5
(c)り よ う に 置 か れ た 場 合 に 最 大 に な る こ と が 分 か
る。
次 に 、(3.11)式 を 実 際 の デ ィ ス プ レ イ 画 面 に 適 用
し て み よ う 。 こ こ で も2節 と 同 様 に 、 デ ィ ス プ レ イ
〓(3.10)
の 大 き さ を横640、
と計算
さ れ る。J7〜J9は、(3.10)式
比1:3の
に お い て(X',Y')の
縦400ド
ッ ト と し、 そ の 中 に 縦 横
文 字 情 報 領 域 を 持 つN個
の点的施設が ラ
ン ダ ム に 配 置 さ れ る も の とす る 。 ま た 、 文 字 情 報 領
代 わ り に そ れ ぞれ(X‑X',Y')、(X',Y‑Y')、(X‑X',Y‑
39
と し よ う 。 す る と こ の 場 合 、 有 効 情 報 率80%を
確保
Xi'=Yi'=0
とす る。
す る に は 、 施 設 数N=21以
ット
ま ず 、 点 的 施 設 の 数N=1、10、50、100、200の
の 字 体 を使 う こ と が で き る が 、N=22を
域 は常 に 点 的 施 設 の 右 上 に配 置 さ れ る 、 つ ま り、
ド ッ ト、N=57を
各 場 合 に つ い て 、 文 字 情 報 領 域 の 大 き さ と有 効 情 報
率 の 期 待 値 の 関 係 を 見 て み よ う(図8)。
下 で あ れ ば24×24ド
超 え る と'16
超 え る と12ド ッ トの 字 体 を 使 わ な
け れ ば な ら な い 。 さ ら に 有 効 情 報 率90%を
う と す る 場 合 、N=5以
確 保 しよ
上 で16ド ッ ト、N=17以
上 で12
ドッ トの 字 体 を 使 わ な け れ ば な ら な い とい う こ と が
図9か
ら分 か る 。
地 理 情 報 シス テ ム に組 み 込 まれ てい るデ ー タベ ー
ス ソ フ トウ ェ ア の 中 に は 、 各 属 性 項 目 に つ い て 項 目
長 の 最 大 値 を 予 め 設 定 す る もの が 少 な くな い 。 こ の
よ う な 場 合 に つ い て 有 効 情 報 率 の 期 待 値 を計 算 す る
と き に は 、 実 デ ー タ の 項 目 長 を 用 い て(3.3)式 を 解 く
こ と もで き るが 、 設 定 され て い る 最大 長 を用 い て式
図8文
(3.11)あ る い は(3.12)を 解 く と 、 計 算 を よ り簡 単 に行
字情報領域 の大 きさと有効情 報率 の期待値 の
関係
う こ と が で き る 。 も ち ろ ん こ の 場 合 、 求 め ら れ る有
効 情 報 率 の 期 待 値 は 、 よ り大 き め の 値 と な る 。
図8を 見 る と、 施 設 数 が少 な い と き には有 効 情 報
率 と文 字 情 報領 域 の 関係 は 直線 に近 い が、施 設 数 が
3.2文
多 い場 合 に は、 文 字 情 報 領 域 の大 き さが あ る程度 以
次 に 、 点 的 施 設 と文 字 情 報 領 域 の位 置 関係 の 中 で
上 にな る と有効 情 報 率 は急 激 に小 さ くな る こ とが わ
か る。N=1の
字 情 報領 域 が施 設 の右 上 に配 置 さ れ る場 合
最 も一 般 的 な 場 合 と し て 、 文 字 情 報 領 域 が 常 に施 設
と き には ほ ぼ直 線 で あ るが 、 こ の場
の 右 上 に 配 置 さ れ る(Xi'=Yi'=0)場
合 、有 効 情 報 率 は画 面 内情 報 率 と等 しい。
合 を 考 え よ う。
ま ず 、 こ こ で はi<=jな ら ば 必 ずYi<=Yjと
次 に 、 有 効 情 報 率 の期 待 値 が80、90、95%の3つ
(Xi、Yi)を
の場 合 につ い て 、 点 的 施 設 の 数Nと 文 字情 報 領 域 の
並 べ替 え る。 さ らに 、 デ ィス プ レイ画 面
を 図10の
大 き さの 関係 を見 よ う(図9)。
なる ように
よ う な 多 く の 領 域 に分 割 し、 各 領 域 内 の 点
に文 字 情 報 領 域 が 一 つ だ け 置 か れ る確 率 を 求 め 、 そ
図9点
的施設 の数 と文字情 報領域 の大きさの関係
い ま 、 シス テ ム で は12×12ド
ト・24×24ドッ
ッ ト、16×16ド
ッ
図10.有
トの3種 類 の 字 体 が 利 用 可 能 で あ る
40
効 情 報 率 を計 算 す る た め の領 域 分 割
41
の 総 和 を と る、
こ と に よ っ て有効 情 報 量 の 期待 値 を計
算 す る 。 な お 、 こ こ で は 領 域iに 関 す る 有 効 情 報 量
の 期 待 値 の 総 和 をJiと し、 ま た〓
〓(3.17)
と 定 義 し て お く。
で あ る 。 領 域C3iに 関 す る 有 効 情 報 量 へ の 期 待 値 は 、
(1)領 域C1に 関 す る 期 待 値J1
領 域C,内 の 点(x、y)に
、文字情報領域 が一つ だけ
置 かれ る確 率 は 、
Pil 及 びPi2を領 域 内 で 積 分 す る こ と に よ っ て得 ら れ る。
従 っ て、
〓(3.18)
〓(3.13)
と な る。
で あ る 。 こ の 値 を領 域C1で 積 分 す る と、 有 効 情 報 量
の 期 待 値J1を
(4)領 域C4i関
す る期 待 値J4i
領 域 内C4iの 点(X,Y)に
、 文 字 情 報 領 域L1〜Li‑1の 中
の 一 つ が 重 ね ら れ る 確率Pi1は
〓(3.14)
と 求 め る こ とが で き る 。
(2)領 域C2に 関 す る 期 待 値J2
.
〓(3.19)
領 域C2に つ い て も、 領 域C1の 場 合 と 同 様 の 計 算 に
よ っ て 、 有 効 情 報 量 の 期 待 値J2を 求 め る こ と 炉 で き
で あ る 。 ま た 、 点(x,y)に 文 字 情 報 領 底Li〜LNの
る。
か 一 つ が置 か れ る確 率瑞 は
どれ
〓(3.20)
〓(3.15)
で あ る 。 従 っ て 、 領 域 儀 に 関 す る 有 効 情 報 量J4iの期
待値 は
(3)領 域C3iに 関 す る 期 待 値J3i
領 域 内C3iの 点(x,y)の
上 に、 文 字 情 報 領 域L1〜Li‑1
〓(3.
の 中 の 一 つ が 重 ね て 置 か れ る 場 合 を考 え る と 、 そ の 、
確 率Pi1は
21)
とな る。
以 上 の結 果 を用 い る と、有 効 情 報 率 の期 待 値 は次
の よ う に 表 さ れ る こ と に な る 。〓(3.22)
〓(3.16)
で あ る。 同 様 に 、 点(x,y)の 上 に 文字 情 報 領 域Li〜LN
の ど れ か 一 つ が 置 か れ る 確 率Pi2は
4.横
浜 市の鉄道駅名称 の配置
示 す る と、 画 面 内 情報 率 は これ ほ ど高 くは な らな い
以 上 の よ う に、本 論 文 で は 画面 内情 報 率 と有 効 情
と考 え られ る。
報 率 とい う二 つ の指 標 を用 い て、 文 字 の 大 き さが 文
次 に 図11を 見 て み よ う。 図11の 有 効 情報 率 は88%
字 情報 の損 失 に与 え る影 響 を定 量 化 す る方 法 を提 案
で あ り、 数 字 だ け を見 る と決 して低 い値 で は ない。
した。本 節 で は前2節 の結 果 を用 い 、横 浜 市 に お け
に もか か わ らず 、文 字 同士 の重 複 は か な り多 く感 じ
る鉄 道駅 の 名 称 を地 図 に配 置 した例 を示 す 。
られ る。 この理 由 の一 つ と して は 、 重複 の見 られ る
こ こで は文 字 の大 き さを決 定 す る基 準 と して 、有
文 字 情 報 が 一 部 の地 域 に集 中 して い る こ とが考 え ら
な る場 合 を
れ る。 この例 の よ うに 、文 字 に よっ て 重複 の度 合 い
考 え る。 具体 的 に は、 鉄 道 駅 の名 称 は全 て駅 の右 上
に ば らつ きが あ る と、 全 ての 文 字 が 平 均 的 に重複 し
に表示 され る もの と し、3,2節
に お け る分 析 結 果 を
て い る場 合 と比 べ て、 推 測 に よ っ て判 読 で きる文 字
適 用 す る。 横 浜 市 にお け る鉄 道 駅 の 総 数 は117で あ
の 量 が 減 少 す る ため 、見 た 目以 上 に文 字 同 士 が 重複
効 情 報 率 の期 待 値 が80%、90%、95%と
り、 横 浜 市 全 域 を完 全 に 内 包 す る縦235mm、
172mmの
横
してい る よ うな 印象 を 与 え る もの と思 わ れ る。 この
長 方 形 画 面(縦 置 き のA4サ イ ズ に収 ま る
現 象 も、 や は り先程 と同 じよ う に、 施 設 の 分 布 が ラ
これ らの 駅 を表 示 す る と仮 定 す る と、
ンダ ム で は ない こ と に起 因 してい る。 従 っ て、点 的
文 字 情 報 領 域 の 大 き さ(縦 の 長 さ)は そ れ ぞ れ 、
施 設 の分 布 が集 中型 に 近 い と分 か っ てい る場 合 や、
Y=4.607mm、3.024mm、1.904mmと
な る 。 こ れ ら3
分 布 につ い て何 も情 報 が な い場 合 に は、 文 字 の大 き
つ の場 合 に つ い て、 画 面 内 情 報 率 の期 待 値 、 実 際 に
さ は よ り小 さ め に設 定 す べ きで あ ろ う と考 え られ
そ の大 き さで 文字 を 配 置 した と きの 有効 情 報 率 と画
る。
大 き さ))に
面 内 情 報 率 を計 算 した結 果 が 表1で
Y=3.024mmの
あ る。 ま た 、
場 合 にお け る実 際 の名 称 配 置 例 を図11
5.お
に示 す 。
表1画
わ りに
本 論 文 で は、 画 面 内 情 報 率 と有 効 情 報 率 とい う二
つ の指 標 を用 い、 地 理 情 報 シ ス テ ム にお い て 、文 字
面 配置 時 におけ る鉄 道駅名称 の情報率
の大 き さが 文 字 情 報 の 重複 や はみ 出 しな どの損 失 に
与 え る影 響 を定 量 化 し、 文 字 情 報 の損 失 を一定 の水
準 以下 に抑 え る ため の 文 字 の 大 きさ を統 計 的 に計 算
す る方 法 を示 した。 さ らに、 この 結 果 を横 浜 市 にお
け る鉄 道 駅 名 称 の 配 置 に適 用 し、 実 証 分 析 を行 っ
た。
まず 、表1を 見 て み よ う。 この例 で は 、 実 際 の有
こ こで得 られ た分 析 結 果 を適 用 す る こ とで、 地 理
効 情 報 率 は3つ の 場 合 全 て に つ い て期 待 値 を下 回 っ
情 報 シ ス テ ムが 文 字 情 報 を完 全 に機 械 的 に配 置 す る
て い る。 これ は 図llか ら分 か る とお り、 駅 の分 布 が
場 合 に は、 文 字 情 報 の 損 失 を あ る水 準 に抑 制 す る こ
市 域 の 東 部 に集 中 して お り、必 ず しも ラ ン ダム な分
とが 可 能 とな る。 また 、 自動 文 字 配 置 アル ゴ リズ ム
布 とは言 え な い こ とが原 因 で あ ろ う と思 わ れ る。 ま
に おい て も、 機械 的 配 置 にお け る文 字 の 大 きさの基
た、 画 面 内 情 報 率 を期 待 値 と実 際 の値 とで比 べ てみ
準 を安 全 側 の基 準値 と して用 い る こ とが で き る。
る と、 実 際 の値 は全 て期 待 値 を上 回 って い る。 これ
本 論 文 で提 案 した情 報 率 の 計算 方 法 は、 計 算 が 容
は、 市 域 が 完 全 に内 包 され る よ うな 表示 方法 を用 い
易 で あ る とい う こ とに一 つ の 特 徴 が あ る 。(2.11)式
た ため に、 画 面 境界 付 近 に位 置 す る駅 が ほ とん どな
は極 め て単 純 な四 則 演 算 で あ り、(3.11)式 も画 面 の
い こ と に よ る。従 っ て、 例 え ば市 域 の一 部 を拡 大 表
大 きさ に対 して文 字情 報 が小 さい とい う仮 定 の も と
42
図11横
浜 市 に お け る 鉄 道 駅 の名 称 配 置例(Y=3.024mm)
43
Buttenfield, B. P. and R. B. McMaster (1991): Map Generalization: Making Rules for Knowledge Representation. Longman, London.
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Formann, M. and F. Wagner (1991): "A Packing Problem
with Applications to Lettering of Maps," Proceedings of the Seventh Annual Symposium on Cum-
で は(3.12)式の よ う に簡 単 に表 わ され る。 従 っ て 、
迅 速 な表 示 が 求 め られ る状 況 にお い て は、 これ らの
式 を用 い て情 報 の 損 失 を簡 単 に制御 す る こ とが 可 能
とな る。
文 字 の 大 きさ を決 定 す る基 準 と して、 画面 内情 報
率 と有 効 情 報 率 の どち らを用 い るべ きか 、 また 、文
字 の はみ 出 しや 重 複 を どの程 度 に抑 え るべ きな の か
とい う問 題 につ い て は 、本 論 文 は 直接 研 究対 象 と は
してい ない 。 これ は、 利 用 者 の 要 求 や シス テ ム の能
力 な どに よっ て、 情 報 率 の基 準 や 文 字 の 判読 可 能性
が 大 き く変 化 す る と考 え られ るた め で ある。 例 えば
putational Geometry, 281-288.
Hirsch, S. A. (1982): "An Algorithm for Automatic
Name Placement around Point Data," The American
、画 面 か ら文 字 が はみ 出す こ とが 致命 的 な問題 とな る
場 合 に は、 画 面 内 情 報 率 を基 準 とす べ きで あ り、 文
Cartographer, 9, 1, 5-17.
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American Cartographer, 2,2,128-144.
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Name Selection and Name Placement," Proceedings, Second International Symposium on Spatial
Data Handling, 50-64.
Monmonier, M. S. (1982): Computer-Assisted Cartogra-
字 情 報 の数 が 多 く、 重 複 に よ って 判読 が 困難 に な る
場 合 に は、有効 情 報 率 を用 い るべ きで あ ろ う。 ま た、
利 用 者 が 大 きめ の 字 を好 む場 合 に は、情 報 率 の基 準
は若 干 低 め に設 定 す る必 要 が あ る だ ろ う。従 っ て地
理 情 報シ ス テ ム は、 利 用 者 が希 望 す る情報 率 を指 示
す れ ば、 そ れ に応 じた文 字 の大 き さ を 自動 的 に設 定
す る機 能 を提 供 す る こ とが 望 ま しい。
phy Principles and Prospects. Prentice-Hall,
Englewood Cliffs, New Jersey.
Mower, J. E. (1986): "Name Placement of Point Features
Through Constraint Propagation," Proceedings,
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文 字 の大 きさの 統 計 的決 定 方法 につ い て は、 本 論
文 で取 り上 げ た文 字 同士 の 重複 や は み出 し以外 に も、
文 字 と空 間対 象 物 の重 複 を考 慮 した場 合 、線 的 ・面
的 施 設 に お け る文 字 配 置 、 文 字 配 置 アル ゴ リズ ムを
用 い た場 合 の分 析 な ど、 さ ら に多 くの 場合 につ い て
研 究 を行 う必 要 が あ る。 これ らの 問題 につ い て は 、
今 後 の 課題 と した い 。
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44