マンドラゴラ農家は窮していた。
人の代わりに犬の命を犠牲にする旧来の収穫法が糾弾されつつあったのである。
それを解決しうるのは伝統の技か、イノベーションか
ここに農家兄弟対決の火蓋が切られる――
思えばなぜマンドラゴラは引き抜かれるとき断末魔をあげるのか?
……目から鱗でした。それはそうでしょうね!
人が毒を調理してきたのはなぜか?空を飛びたいと願ったことに合理はあったのか?
必ずしも天才ではない、熱い気持ちこそが人類を歩ませてきたのではないか
「死ぬなよ」
引き継がれてゆく、“心”
男たちの熱いドラマを目の当たりにしました。
よかったねぇ、よかったねぇ!( ;∀;)
Twitterでフォロワーさんがですね、面白いからもっと読まれてほしいって紹介してまして、それで興味を持っていたところそのツイートを見た方が読んだらしくて「超面白かった」と。
おいおいこりゃあ読むっきゃねぇと思い、震える手(誇張)でリンク先へ。
最高でした。
何せ題材がマンドラゴラですから、どっぷりファンタジーか、あるいはコメディ全振りかと思うじゃないですか。違うんですよ。思いっきりシリアス。誰一人ふざけてません。
ともすれば、
「あれ?そういやマンドラゴラって普通に農産物だったっけ?日本だと青森県産のが有名なんだっけ?」
と錯覚を起こすほど、めちゃくちゃ大真面目なトーンでお話が展開します。
さて、この世界、当たり前のようにマンドラゴラが存在するのは説明した通りですが、マンドラゴラといえば、引っこ抜くとそれはそれは恐ろしい悲鳴を上げるやつじゃないですか。その悲鳴を聞くと死んでしまう、っていう、とんでもない植物です。なので、人間は安全なところに避難しつつ、犬に引っこ抜かせて――という収穫方法がそれまでのやり方だったのですが、それだと犬が可哀想、命を何だと思ってるんだ!ということになりまして。
それで、犬を使わずに収穫する方法を考えなくてはならないのですが――。
途中途中、さらっと挟み込まれる「えっとこれ、いま笑うところだったよな?」というワードの数々。私も思わずあたりを見回しました。あれ?これ笑って良いんだよね?と。ですが、終始シリアス。誰一人ふざけていません。全員が大真面目なのです。でも、だからこそ面白い。
これは確かに共有したくなる。
ねぇ、この話題で盛り上がりたいから、あなたも読んで?
読み終わった後に流れを頭の中で整理しようと思ったら、あまりの情報量の多さで、自分が読んだのは本当に短編だったのだろうかと一瞬混乱。
最初から最後まで、とってもシリアスなお話です。
昨今の時世に対する風刺めいた部分や、古い技術を伝える師弟関係のかっこよさ、長く続いた家業への誇り、家族の絆、複雑な兄弟の感情、ハイテクとローテクの対比。
マンドラゴラがある世界観に違和感が生じない、ナチュラルな話の流れに兄弟対決への緊張。感動の人間ドラマがここにある。
のだけど。
終始シリアスなのに、笑ってしまう。作中の登場人物は常に大真面目なのに、読んでると肩が震える……。マンドラゴラ最大の謎がつまびらかになった時、このオチは絶対に知るべきだと、誰彼構わず読む事を勧めたくなります。私はなりました。
ヴィーガンの活動が激化し、マンドラゴラを引き抜くために犬を使えなくなった時代の話です。
如何にして悲鳴を聞くことなくマンドラゴラを収穫するのか——
窮地に陥った実家の家業を救うため、自然薯掘りの技術を身につけた弟と、ドローンという最新技術を駆使しようとする兄。
はたして兄弟は、マンドラゴラ農家を建て直せるのか?
とにかくシリアスなトーンで進んでいく本作。
ファンタジーを織り込んだ設定や展開にはリアリティがあり、見事の一言です。
でもね。でもですよ。
私、最終話で腹筋崩壊しました。
いやストーリー自体はめちゃくちゃ真面目なトーンのままなんですけど。そして胸の熱くなる感動的なラストでしたけど。
めちゃくちゃ笑いました。作者さまのウデを見せつけられた感じです。
短編なのであまりネタバレできません。
ぜひご一読ください。最高でした。