ヴェネツィアのカーニバルにも似た大建国祭のなかを、主人公のリラとアルカンジェロは、禁じられた恋に身をやつしながら、情熱的に駆け抜けます。
文章がとても美しく、読みやすいです!
イタリア・ヴェネツィアをモデルにした、音楽の世界が、運河の町並みが、大祭の躍動が、貴族社会を生きるさまざまな人々の想いが、生き生きと目の前にあふれてきます。
まじめで固い蕾だった少女が、恋にふれて花ひらいてゆく様子が、丁寧な心理描写、情景描写であらわされています。
本格的なのに、軽さがあって、読みやすい。本格的であるからこそ、読みやすい。エンタメとしても文学としても、バランスがよい。……この飛びぬけたバランス感覚こそ、綾森先生ワールドの魅力だと思います。
磨きぬかれた音楽が、磨きぬかれた文章に乗せられた、奇跡的な作品だと思います。作者様が積み重ねてきたであろう、膨大なる音楽の経験、イタリア生活の経験が核となり、ゆるぎのない文章として、結晶の花びらを咲かせてます。大輪のリラの花として、咲き誇っています。
お読みいただければ、最初の数ページで、そのことを実感できるでしょう。
この時、この場所にひらいた奇跡の花を、ぜひ堪能してください!!!
バロック時代の荘厳で華麗な貴族社会の光と影を、美しいチェンバロの調べとカストラートの甘美な歌声が包み込みます。
作者様のバロック音楽や時代背景に対する深い造詣が各所に見られるのも作品の魅力!
そんなバックボーンの上で歌うのが、堅物令嬢と揶揄されるリラ。
政略結婚の駒にされながらも運命を受け入れ、幼い頃の初恋の記憶を胸に、懸命に自分を貫こうと奮闘する彼女の芯の強さには、現代という見えない枷で縛られた時代を生きる読者にも共感するところが多いように思います。
しがらみと責任。情熱と愛。
その狭間で揺れ動く心はやがて、国を揺るがす大きなうねりとなっていく!
人を想う気持ちが巻き起こす奇跡の物語!
物語の美しさ、音楽のすばらしさにただ酔いしれるだけ。
読めばわかります。
過剰な描写で上滑りするような文学的な表現はないのに、重厚で美しく感じられる世界観が本当に心地良い。
人間味のあるキャラクターたちが織り成す悲喜こもごもに目が離せません。
主人公のリラ以外にも人生があり、サブキャラクターと呼ぶには惜しいほど、みんな生き生きと……違いますね、必死に生きている姿が目に浮かぶようです。
読めばわかる。
1話1話最後まで追うのも楽しかったですが、一気に読んだらまた違う没入感があるのだと思います。
完結した後から読まれる方はぜひ、それを体験してみてください。
主人公の令嬢、リラ。ある日、彼女は婚約破棄されてしまう。
幼い日に会ったアルベルト殿下の毒殺事件の真相を追っていたリラにとって、この婚約はアルベルト殿下毒殺の首謀者に近づくチャンスでもあった。
婚約破棄され、毒殺事件の真相にも近づけず、リラは落胆する。
そんなリラだったが婚約破棄された夜会で美貌の男性歌手、アルカンジェロに出会って……
リラとアルカンジェロの仲がじわじわと深まっていく過程にキュンキュンしました!
状況設定や主人公のまわりを取り巻くキャラたちも、すごく魅力的☆
音楽の知識が豊富な作者様の作品だけあって、作中に登場する音楽関連の描写がすばらしいです。造詣のある人でないと描けない描写の数々は、ほんとうに必見。
主人公以外の登場人物たちもステキで、物語が進めば進むほど彼らが愛しくなりました。
リラの恋模様の裏でうごめく陰謀が解き明かされていく過程も面白く、最後までドキドキ、ハラハラしながら読める良作です☆
クロード・ドビュッシーの名言のひとつです。音楽家らしい言葉だと思います。
この物語では、色んな楽器や歌など、様々な形での音楽が奏でられています。その音色の数々が巧みな筆遣いで表現され、まるで言葉の限界の壁を突き破ったかのようです。
イタリアのヴェネツィアを思わせるヒストリカルな世界観で始まる婚約破棄、美しいカストラートとの出会い。蘇る幼い頃の鮮やかで苦い初恋。許されぬ禁断の恋と秘密に燃えて悶えるふたりの歌声。まるでオペラのように優雅に、時に軽快に進んでいきます。
何もかもを捨て去って、誰も知らない場所で貴方とふたり、見つけた愛を糧に生きていられたら……。
そんな決意と甘い希望の矢先に起きた事件。再び引き裂かれそうになるふたり。準備の時は過ぎ去りました。さあ決断の時、檻を破って羽ばたけるでしょうか?
こちらの作品は、ただのロマンスではありません。
堅物令嬢と揶揄されるリラが、心優しい青年アルカンジェロと出会い、禁断の恋に落ちます。しかし、彼にはカストラート(去勢歌手)意外にも大きな秘密が隠されていました。
物語は、二人の愛が試される中で、リラが自らの殻を破り、運命に立ち向かう姿を描き出します。
特に、音楽描写は秀逸で、読者は物語世界に引き込まれるでしょう。
他の方のレビューにもあるように、「まるで一本のミュージカルを観ているよう」な感覚を味わえます。また、恋愛要素だけでなく、ミステリー要素も含まれているため、飽きさせない展開となっています。
「初恋はリラの花のように~」は、ロマンス、ミステリー、成長、そして音楽という要素が絶妙に組み合わさった、エンターテイメント性の高い作品です。
ご一読されることをお勧めします!
この物語は、お約束の婚約破棄から始まります。
この場合、破棄された後に令嬢がどう立ち回り、どう物語が展開していくかが重要で、そこが面白くないと読みたくなくなるものですが、そこは作者様の腕の見せ所!
破棄された瞬間から読者の心を鷲掴み!
主人公は儚く守られるだけの令嬢じゃないのです。
十年前に暗殺された王子への、淡い初恋を胸に秘めた健気な一面を持ちつつも、その謎を解き明かそうとする靭やかな強さを持つリラ。
婚約破棄からその取っ掛かりを失い、失意の中出会うのは、運命の相手アルカンジェロ。
しかし、ヒーローの素質を詰め込んだ麗しの彼は、カストラートと呼ばれる去勢歌手で、普通に結ばれる事はない相手。
禁断の恋!
抑えきれない恋心!
燃え上がる二人の熱い想い!
きゃ〜! ハーレクイン・ロマンス!!
物語を彩るのは、作者様の音楽に対する愛情と深い造詣。
その表現は、物語を読んでいるのにまるで一本のミュージカルを観ているよう。
読めば読むほど、読者は文章から溢れ出す音楽と情緒の波の虜になるでしょう。
さあ、あなたもぜひ観劇を!
お勧め致します!
教科書に載っていないような言葉がたくさん出てくる、って表現したら分かってもらえると思うのですが、そうしたことが出来るのってやっぱり作者様が文化を知っているからなんだと思うんです。
美しい情景描写、ビロードのように流れる音楽、華やかなドレス、心と胃を満たしてくれる料理、そのどれもが「あ、作者さまならではの表現だな」と拝読しながら感じていました。
(文化を書くのってほんとうに難しいのですよ、わたしも苦労した経験があるからまじまじと読んじゃいまして💦)
主人公リラは幼き頃に毒殺された王子の事件にまつわる秘密を解き明かそうと画策しているのですが、彼女の前にイケメンのかっこいいアルカンジェロという歌手があらわれてリラは次第に彼に心惹かれていき……というストーリーです。
映像に訴えかけてくるような文章も魅力なのですが、何より気になるのはストーリーの行方です。
——アルはあのアルなの?(←これわたしの心の声ね笑)
ちょっと他では聞けないようなお洒落なセリフもたくさんあります。
恋の行方はどうなるのか、文化を堪能したいという方にもおすすめです!
堅物令嬢と呼ばれる、けれども自由な心を持つご令嬢と、身分を偽る青年歌手との、秘密と陰謀に彩られたヒストリカル恋愛譚です。実際の歴史的知見を織り交ぜつつも堅苦しくなってはおらず、愛らしいヒロインと優しいヒーローの甘いやりとりには読んでいる側が癒されるほどです。
物語の発端は、ヒロインのリラ嬢が夜会で婚約者から婚約を破棄されたこと。衝撃と居た堪れなさに卒倒する(ふりをした)彼女を助けてくれたのは、その夜会で歌っていた青年歌手・アルカンジェロでした。しかも彼はリラに付き添いながら、自分の幸せを優先して欲しいと説き始めて――?
彼の言動の端々に表れるリラへの想いや、とある情報について非常に詳しいなどの事実から、読者はその正体を容易に想像できるのですが、リラ自身はなかなかその事実へは思い至りません。しかも、当時の貴族や歌手を縛るしきたり、教会の教え、身分など……恋を自覚したからといって現代のようにはいきません。婚約破棄されたからといって自由に生きる、というわけにはいかないのです。
物語の背景には、王族の暗殺という陰謀があります。恋の行方、事件の真相、気になることがたくさんです。
また作者様の体験を下地とした音楽の描写は緻密で美しく、文字として読んでいながら伸びやかな歌声が響いてくるように思えるのも、この物語の魅力です。
ぜひご一読ください。
堅物令嬢と揶揄されるリラは、初恋の王子毒作事件の真相を探るべく、自ら潜入捜査をしようと画策していた矢先、夜会の場で、目的でもある婚家の婚約者から一方的に婚約破棄されてしまう。
そんな彼女の前に現れたのは、麗しい美声(カストラート)の男性。
しかも、彼も10年前の事件を探っている。
偶然居合わせた二人だが、これが偶然なのか、必然なのか。
音楽の深い世界の表面だけでなく、今まで知り得なかったような裏側の世界も堪能でき、さらにミステリー要素と淡い恋心の行方も気になるところ。
あらゆる角度から楽しめる、至極のヒストリカルなラブロマンスです
堅物令嬢・リラは婚約破棄を言い渡される。
ショック(をうけたフリをしとくか)でふらついたリラを支えたのは、美貌の歌手、アルカンジェロ。
アルカンジェロは謎めいた人で、十年前に暗殺されてしまった王子様に心を残すリラを、なぜかドキドキさせる───。
冒頭から華やかな貴族社会の描写で、ヒストリカルファンタジーの雰囲気が濃厚!
読者を別世界へといざなってくれます。
さらに、音楽レッスンのシーンが素敵で、官能的ですらある……。
ただ、レッスンしてるだけなんですけどね。
この作者さまは音楽に造詣が深く、いつも、音楽のシーンは圧巻です。
十年前の王子暗殺の真相を追うミステリーで、話をぐいぐいひっぱってくれます。
いずれ物語は溺愛へと続くそうなので、今から続きが楽しみです!
堅物令嬢と揶揄されるリラは、夜会で婚約破棄されてしまう。元々望まぬ婚姻。すべてはあることを探るためのものだったが····これでは作戦は失敗といえよう。
皆の前で婚約破棄され、居場所を失ったそんな彼女を救ったのは、アルカンジェロという名の美しい青年歌手だった。ふたりの出会いははたして偶然だったのだろうか。それとも?
そんな中、リラはアルカンジェロのコートから落ちてきた手帳を拾い、あるページを目にする。そこに書かれた文字から、リラはアルカンジェロが王族暗殺事件の真相を探っている密偵ではないかと疑うのだった。
序盤は主人公でありヒロインでもあるだろうリラ嬢の、力強さというかおそれ知らずな性格が気持ち良い印象を与え、しかし彼女の過去を知ればその強がりの理由もなんとなくわかってくるのです。十年前の、あの毒殺事件。それが彼女を時折暗くさせた。
いったい誰が、アルベルト殿下含め王族暗殺事件を首謀したのか。謎解き要素もあり、リラの前に現れたアルカンジェロの正体も気になるわけですが、タイトルにその答えが····(*´艸`*)
ふたりの恋は結ばれるのかももちろん気になる部分。あらすじからだいたいの流れは予測できますが、その過程が少しずつ紐解かれていくのが楽しいわけです。
今作はまだまだ序盤。
作者さまが得意とする、音楽に対する愛が伝わってくる物語。令嬢ものですが転生ではありません。王道のファンタジーでありミステリーなのです♪
ぜひ読んでいただきたい、個人的にも推し作品のひとつです!