先に結論を述べると、主人公を含め登場人物全員、過激で自己中心的、決して万人受けする作品じゃ無いと思います。
ただ、この作品の作者さんは描写仕方が絶妙で、とても丁寧で読みやすいです。読みやすいので、わかりやすいです。なのでキャラクターの思考、行動に納得感があります。しかし納得感はありますが、肯定することは正直難しいです。肯定は出来ないけど、否定も出来ない。
本当に考えさせられる。そんな作品です。
この作品の登場人物は、その一瞬一瞬に命が吹き込まれているようで、作品の中で本当に生きているようです。読み始めれば、無二の魅力をこの作品からは感じられます。
インパクトのある主人公に目が行きがちですが、今時の小説には珍しい、とても繊細な作品だと感じました。作者のセンスが光る、近年稀に見る傑作ですね。
現代社会に色々と疲れたときに出会い、拝読すればストレスも閉塞感も吹っ飛びました!
サイコパスと謳われる主人公がこれほど過激なのに、作品にこれほど爽快感がある話は初めてです。
まずこの作品、登場人物の設定が秀逸です。
何より主人公が素晴らしいですね。
ただ単なる狂人は見ていてつまらないですが、この主人公は一味違います。
ある部分では深く共感できるような正常さがあるのに、ある部分では読者が呆気にとられる、でも喝采を叫びたくなるような異常さに溢れています。
私たち一般人が法や倫理観に縛られて抑圧している残虐性を軽々と解放する様は、本当に愉快としか言えません。
これはどう対応するのか?次はどんな手段を取る?と期待が止まらないほど楽しいキャラです。
ヒロインも真面目さと狂気が絶妙なバランスで噛み合っていて、真面目だからこそのギャップは思わず微笑んでしまう可愛らしさがあります。
残酷で歪な方向への成長をこれからも見守りたい…!と願ってしまいますね。
排除される対象たちも、それぞれが個性的で飽きがきません。
しっかりと排除されるキャラだけでなく、スナック感覚で殺されるキャラも納得しかないというか、とにかく読めば楽しいと分かります。
そして、ストーリー展開もとても気持ちよくて最高です。
サイコパスもの、最強ものでは減りがちなリアリティも、本作では完全に維持されています。
主人公の強さは分かりやすいですし、感動の成長!やスッキリするザマア、カッコ良い戦闘まで、読者が好きな要素がふんだんに詰められています。
主人公の行動理念に一本筋が通っているところ。自分の異常性と悪であることを理解しているうえでサイコパス的な行動をするところ。
ヒロインが勝手に強くなったり弱くなったりヤンデレたりせず、丁寧に段階を踏んで成長するところ。
外部サイドの視点もあり、世界観が伝わりやすい(ので、主人公の規格外さが分かりやすい)ところ。
ヒロインだけでなく敵の心情も深く掘り下げられているため、ザマアされるときに満足感と納得感を感じられるところ。
などなど、考えるといくらでも書き出せてしまいます。
その他も、更新日時が予告されていることも安心感があって好感が持てますし、応援コメントへの返信などもとても嬉しい(作者さま無理なさらないでくださいね…)ですね。
長くなりすぎるのでこの辺りで控えますが、とにかく読めば爽快感に満たされること間違いなし!の傑作です。
現実世界に閉塞感やつまらなさを感じている方、ありきたりな美しい英雄譚に飽きた方、とにかくスッキリしたい方。善人の悪役転生に辟易し、残酷だけど楽しい作品が見たい方。
そんな方々に、本作を心からお勧めします。