非常に凝った設定の異世界ファンタジーな本作。
といいうのも、主人公達魔族の思考や考え方と人間との対立と言うのがあります。
これは、中々見る事が出来ない価値観の戦いと言う、異世界のイメージは膨らむのですが、非常に難しいテーマを描いていて、作品の重厚感を感じました。
また、当然ながら上記のテーマを描くにはキャラクターを作り込まなければいけませんが、作者様はしっかりとそれを作られているように感じます。
戦闘描写もスピード感や魔法や武器等多彩な攻撃があり、スリリングでダイナミックな戦いが楽しめました。
重厚で独自性が高い異世界ファンタジーを読みたい方におススメです!
「バジリスク」という言葉で「おや?」と思いましたが、その種族的特徴や魔族全体の価値観、他に登場する種族などからほぼ確信しました。
これ、某TRPGシステムの設定がベースだ!
そう分かれば随所に見られる世界観を構成するものに、思わず全力で頷き、そしてニヤッとなります。
とはいえ、一般的には人族サイドのお話が多く描かれるであろうところに、多くの場合エネミー側として登場するバジリスクを主人公にし、なおかつダークサイドの側から世界を描こうというのはなかなか面白い試みです。
そんな「魔族」の価値観の中で生きる少女の強かな生き様は、実に味わい深いです。
元ネタとなっている作品を知らずとも楽しめますが、知っているとより楽しめること間違いなしの秀逸な作品だといえるでしょう。
人類の敵対種族へと転生した主人公が、大義のために敵も味方も巻き込んでいく異世界ファンタジー作品です。
主人公は生前の知識以外のほぼ全てを失った死者。
本来なら安寧の眠りにつくはずであった魂は、とある邪神の手で異世界へと転生を果たします。
生まれた先は魔族。望まれたのは生き足掻くこと。
世界は人族と魔族の対立が決定的であり、その戦火を啜り外なる神が顕現しようとしています。
その事実を知るのはごくわずか。世界を喰らう邪神に挑むためには、自身も悪鬼羅刹と叫ばれる必要すらもある。
果たして主人公は、世界の終焉を防げるのか。そして、全てが終わった先で、自由に生きることはできるのか。
ぜひ読んでみてください。
第十四話までのレビューとなります。
何度目かと分からない死を遂げ、再び転生を果たす主人公アビゲイル・セイラムには前世の記憶があった。前世といっても名前も顔も思い出せず、あるのは前世の知識とスペースマンとの邂逅の記憶。スペースマンは首より上が存在しない化物。主である魔皇の従う盲目白痴の魔王のメッセンジャーであり、百の貌を持つ無貌の者、その化身の一人とされ、視覚的な異形感がなんとも恐ろしい。
転生を果たした少女は魔族バジリスク。極端な実力至上主義である魔族社会で種族が支配階級に位置するのは僅か三種族しか存在せず、その実力は並みの魔族よりずっと強い。そして始まった蠱毒に近い魔族の訓練。コレが臨場感みなぎるバトルシーンで武器と魔法が激しくぶつかり合うので、特にファンタジーの戦闘シーン好きには読み応えたっぷりの物語ではないでしょうか。