無宿人別帳
無宿人別帳 | ||
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著者 | 松本清張 | |
発行日 | 1958年7月25日 | |
発行元 | 新潮社 | |
ジャンル | 短編集 | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
形態 | 上製本 | |
ページ数 | 219 | |
ウィキポータル 文学 | ||
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『無宿人別帳』(むしゅくにんべつちょう)は、松本清張が1958年7月に出版した短編集。および当該短編集に収録された短編小説「逃亡」などを原作とする映画。
短編集『無宿人別帳』
[編集]- 松本清張による時代小説短編集。無宿者(江戸時代において戸籍帳簿に名前の記載されなかった者)を各話の主人公としている。同タイトルで『オール讀物』1957年9月号から1958年8月号まで連載され、1958年7月、新潮社より単行本が刊行された。
- 収録作品は以下の通り。
- 『町の島帰り』(オール讀物・1957年9月号)
- 『海嘯』(オール讀物・1957年10月号)
- 『おのれの顔』(オール讀物・1957年11月号)
- 『逃亡』(オール讀物・1957年12月号) ※同じ著者による長編『逃亡』とは別作品
- 『俺は知らない』(オール讀物・1958年1月号)
- 『夜の足音』(オール讀物・1958年2月号)
- 『流人騒ぎ』(オール讀物・1958年3・4月号) ※4月号掲載分の題は『抜け舟』、単行本化時に『流人騒ぎ』と併合
- 『赤猫』(オール讀物・1958年5月号)
- 『左の腕』(オール讀物・1958年6月号)
- 『雨と川の音』(オール讀物・1958年7・8月号) ※7月号掲載分の題は『なかま』、単行本化時に『雨と川の音』と併合
- 収録作品中、『町の島帰り』『俺は知らない』『流人騒ぎ』『赤猫』『左の腕』『雨と川の音』がテレビドラマ化されている。
エピソード
[編集]- 評論家・庶民文化研究家の加太こうじは「無宿人別帳という帳簿はない。松本清張が作家になって数年後に書いた『無宿人別帳』は、戸籍簿から除外された無宿者に対して、温かい眼をもって、かれらのうしなわれた戸籍をふたたび作るようなつもりで書いたと思える無宿者銘々伝のような短編集の総称であり、清張の造語である。戸籍のないかれらに戸籍を復活してやろうという気持からそう題したと思われる」と述べている[1]。
- 小説家の阿刀田高は「(『無宿人別帳』の)連載が始まる年の一月号の『オール讀物』に『佐渡流人行』を書いています。きっと、これなら連作にできそうだと思ったのでしょう」と述べている[2]。
- 作品の内の『左の腕』は落語家の三代目桂三木助が同名の題名で[3]、また二代目橘家文蔵が松本清張の許可を得たうえで、『飴売り卯助』と改作したうえで落語の演目としている。二代目文蔵の没後、弟子である三代目橘家文蔵が二代目が遺したノートや録音を再構成のうえで、2019年にネタ下ろしし、自身の持ちネタとしている。また、二代目文蔵の弟子(三代目文蔵の兄弟子)である林家正雀も同様に『左の腕』として演じている[4]。
映画
[編集]無宿人別帳 | |
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Escape from Hell | |
監督 | 井上和男 |
脚本 | 小国英雄 |
原作 | 松本清張 |
製作 | 白井昌夫 |
出演者 |
佐田啓二 岡田茉莉子 田村高廣 |
音楽 | 池田正義 |
撮影 | 堂脇博 |
編集 | 太田和夫 |
製作会社 | 松竹京都撮影所 |
配給 | 松竹 |
公開 | 1963年1月27日 |
上映時間 | 118分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
この節の加筆が望まれています。 |
清張の短編『佐渡流人行』のストーリーをベースに、『無宿人別帳』中に収録された「逃亡」の設定をまじえ、脚色した作品。弥十郎・くみ・喜助・小十郎などは「佐渡流人行」に基づき(ただし、特に横内のキャラクター設定など小説から大幅に変更されている)、新平・おみよなどは「逃亡」に基づいている。DVD化されている。
キャスト
[編集]- 佐田啓二(宗像弥十郎)
- 岡田茉莉子(くみ)
- 田村高廣(横内主膳)
- 二本柳寛(黒塚喜助)
- 長門裕之(占部小十郎)
- 三國連太郎(新平)
- 津川雅彦(仙太)
- 宮口精二(卯助)
- 中村翫右衛門(清兵衛)
- 伴淳三郎(長次郎)
- 岩本美代(おみよ)
- 左幸子(おりん)
- 富田仲次郎(定五郎)
- 渥美清(市兵衛)
- 三上真一郎(吉助)
- 辰巳八郎(権次郎)
- 川辺久造(彦兵衛)
- 天王寺虎之助(八蔵)
- 小堀明男(加賀谷庄右衛門)
- 安住譲(加賀谷庄吉)
- 須賀不二男(北村惣兵衛)
- 永田光男(大久保左内)
- 西村晃(柏木平六)
- 山路義人(広沢文之丞)
- 河原崎次郎(片岡求馬)
- 高野真二(荒川隼人)
他
スタッフ
[編集]テレビドラマ
[編集]流人騒ぎ
[編集]1958年版
[編集]1958年8月7日に日本テレビ系列「新劇アワー」枠(木曜19:30 - 20:00)にて放送。
- キャスト
- スタッフ
2015年版
[編集]2015年4月7日に「BSジャパン開局15周年特別企画・松本清張ミステリー時代劇」(火曜21:00 - 21:54)の第1話として放送。
- キャスト
- スタッフ
- プロデューサー:山本和夫(ドラマデザイン社)、瀧川治水(BSジャパン)
- 脚本:李正姫
- 音楽:佐藤和郎(鎌倉街道)
- 監督:皆川智之
- 製作:ドラマデザイン社、BSジャパン
- 主題歌:スターダスト☆レビュー「おぼろづき」
左の腕
[編集]1959年版
[編集]1959年3月7日にフジテレビ系列「東芝土曜劇場」(土曜20:00 - 21:00)の第1回作品として放送。
- キャスト
- スタッフ
フジテレビ系列 東芝土曜劇場 | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
(なし)
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左の腕
(1959年版) |
驟雨
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フジテレビ系列 土曜20時枠 | ||
(開局前)
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左の腕
(1959年版) |
驟雨
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1961年版
[編集]1961年11月14日にTBS系列「日立ファミリーステージ」(火曜20:30 - 21:15)枠にて放送。
- キャスト
1966年版
[編集]1966年1月25日、関西テレビ制作・フジテレビ系列(FNS)の「松本清張シリーズ」枠(21:00-21:30)にて放映。
- キャスト
- スタッフ
2015年版
[編集]2015年5月12日にBSジャパン「松本清張ミステリー時代劇」の第4話として放送。
- キャスト
- スタッフ
- 脚本:水谷龍二(それ以外の主要スタッフ・水先案内人・主題歌は「流人騒ぎ」に同じ)
俺は知らない
[編集]1961年版
[編集]1961年2月4日にTBS系列「グリーン劇場」(土曜20:00 - 20:45)の第18回として放送。
- キャスト
1962年版
[編集]1962年12月13日と14日にNHK「黒の組曲」(木・金22:15 - 22:45)枠にて前後編で放送。
- キャスト
1966年版
[編集]1966年2月8日、関西テレビ制作・フジテレビ系列(FNS)の「松本清張シリーズ」枠(21:00-21:30)にて放映。
- キャスト
- スタッフ
町の島帰り
[編集]1962年版
[編集]1962年3月13日にTBS系列「日立ファミリーステージ」枠にて放送。
- キャスト
- スタッフ
- 脚本:木村重夫
2015年版
[編集]2015年9月15日にBSジャパン「松本清張ミステリー時代劇」の第12話として放送。
- キャスト
- スタッフ
- 監督:副島宏司(それ以外の主要スタッフ・水先案内人・主題歌は「流人騒ぎ」に同じ)
赤猫
[編集]1962年版
[編集]1962年12月27日と28日にNHK「黒の組曲」(木・金22:15 - 22:45)枠にて前後編で放送。
- キャスト
2015年版
[編集]2015年9月8日にBSジャパン「松本清張ミステリー時代劇」の第11話として放送。
- キャスト
- スタッフ
雨と川の音
[編集]1963年版
[編集]1963年2月21日と22日にNHK「黒の組曲」(木・金22:15 - 22:45)枠にて前後編で放送。
- キャスト
2015年版
[編集]2015年8月11日にBSジャパン「松本清張ミステリー時代劇」の第10話として放送。
- キャスト
- スタッフ
- 監督:永江二朗(それ以外の主要スタッフ・水先案内人・主題歌は「流人騒ぎ」に同じ)
逃亡
[編集]2015年7月7日にBSジャパン「松本清張ミステリー時代劇」の第7話として放送。
- キャスト
- スタッフ
- 脚本:篠原高志
- 監督:永江二朗(それ以外の主要スタッフ・水先案内人・主題歌は「流人騒ぎ」に同じ)
脚注・出典
[編集]- ^ 『松本清張全集 第24巻』(1972年、文藝春秋)巻末の加太こうじによる解説参照。
- ^ 阿刀田高と山本一力による対談「清張さんの横顔」(『松本清張研究 第7号』(2006年、北九州市立松本清張記念館)収録)参照。
- ^ 第362話 落語「左の腕」(ひだりのうで) - 落語ばなし
- ^ 橘家文蔵 師匠の作品をドスの利いた演技で磨き上げた心意気 - NEWSポストセブン 2021年8月24日
外部リンク
[編集]- 無宿人別帳 - allcinema
- 無宿人別帳 - KINENOTE
- Escape from Hell - IMDb
- 火曜スペシャル BSジャパン開局15周年特別企画 松本清張ミステリー時代劇 - 本短編集収録の原作を含む2015年放送のテレビドラマ。