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井上友一郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
井上 友一郎
1955年
誕生 井上 友一
1909年3月15日
大阪府西成郡中津町
死没 (1997-07-01) 1997年7月1日(88歳没)
職業 小説家
新聞記者
言語 日本語
国籍 日本の旗 日本
最終学歴 早稲田大学仏文科卒業
ジャンル 小説
代表作 『残夢』
デビュー作 『森林公園』
ウィキポータル 文学
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井上 友一郎(いのうえ ともいちろう、1909年3月15日[1] - 1997年7月1日[1])は、大阪府出身の小説家

経歴

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大阪府西成郡中津町(後の大阪市東淀川区。その後大淀区を経て現・北区)生まれ[1]。本名は友一[1]

商業学校在学中、野球と小説乱読で学業を怠け、そのために中退し、その後各中学を転々とする[1]。1929年、関西大学第二商業学校を卒業し[2]、1930年に早稲田大学専門部法科入学。1931年『森林公園』を発表して川端康成に認められる[1]。また坂口安吾田村泰次郎らとの同人誌『桜』で活動し、1934年「道化者」を発表[1]

1936年、早稲田大学仏文科卒業[1]。同年「人民文庫」に参加[1]

都新聞」記者となり、1938年特派員として中国戦線に従軍した[1]。1939年「文学者」に『残夢』を発表、1940年『波の上』を刊行して作家生活に入る[1]

戦後は風俗小説作家として活躍し、雑誌『風雪』に参加した。『絶壁』が宇野千代北原武夫夫妻をモデルとしていると言われ、抗議を受けた[1]日本文藝家協会理事などを経て、1970年にゴルフ場の霞台カントリークラブを創立、自ら社長となる[1]

1997年に死去。

著書

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  • 『眠られぬ人々』赤塚書房 1939
  • 『従軍日記』竹村書房 1939
  • 『波の上』砂子屋書房 1939
  • 『胸の中の歌』通文閣 1940
  • 『残夢』青木書店 1940
  • 『青丹よし』桃蹊書房 1941
  • 『故郷なき人』昭和書房 1941
  • 『南京の胡弓』東宝書店 1942
  • 千利休』大観堂 1942
  • 『満洲旅日記 文学紀行』豊田三郎新田潤共著 明石書房 1942
  • 『雁の宿』今日の問題社(新鋭文学選集)1943
  • 清河八郎』大觀堂出版 1944
  • 『竹夫人』文明社 1946
  • 『ハイネの月』風雪社 1947
  • 『菜の花』世界社(文芸叢書)1947
  • 『寂しからずや』三島書房 1947
  • 『夢去りぬ』講談社 1947
  • 『今宵逢ふ人』和敬書店 1948
  • 『美貌と白痴』全国書房 1948
  • 『かの海に真珠ありや』四季書房 1948
  • 『虚栄と含羞』大日本雄弁会講談社 1948
  • 『寝室の思想』生活文化社 1948
  • 『歯車』生活社 1948
  • 『絶壁』改造社 1949 のち新潮文庫
  • 『望郷歌』石狩書房 1949
  • 『断腸花』改造社 1949
  • 『蝶になるまで』全国書房 1949
  • 『悪 小説集』実業之日本社 1949
  • 唐人お吉』改造社 1950
  • 『理想の戀人』京橋書院 1950
  • 『幸福な寝室』六興出版社 1951
  • 『映画女優』湊書房 1951
  • 『銀座川』文芸春秋新社 1951
  • 『小説家』河出書房 1951
  • 『恋人よ我に還れ』湊書房 1951
  • 『真実は誰も知らない』小説朝日社 1952
  • 『我を愛せよ』小説朝日社 1952
  • 桃中軒雲右衛門』大日本雄弁会講談社 1953
  • 近藤勇』新潮社 1953
  • 『旅愁の都』小説朝日社 1953
  • 『午前零時』新潮社 1953
  • 『寝巻』北辰堂 1953
  • 『愛の飛魚』山田書店 1954
  • 『妻の図』東方社 1954
  • 『片道切符』大日本雄弁会講談社 1954
  • 『下界の人 白波庵物語』文芸春秋社 1954
  • 『銀座の空の下』鱒書房(コバルト新書)1955
  • 『銀座二十四帖』新潮社 1955
  • 『幕末刺客伝』鱒書房(歴史新書)1955
  • 『しぐれ日記』新潮社(小説文庫)1955
  • 『火の山』新潮社 1955
  • 『女給夕子の一生』角川小説新書 1956
  • 『私の太陽』北辰堂 1956
  • 『受胎』角川文庫 1956
  • 『横断歩道』新潮社 1956
  • 『一四七〇哩』住吉書店 1956
  • 『をんな』雲井書店 1956
  • 武田観柳斎』河出新書 1956
  • 『枯葉の美しさ』宝文館 1957
  • 『季節列車』東方社 1957
  • 『瀕死の青春』角川書店 1957
  • 『津の国屋小染』新潮社 1957
  • 『湘南夫人』新潮社 1957
  • 『豹夫人』東方社 1957
  • 『純な女』現代社 1957
  • 『心と肉体の旅』光風社 1957
  • 『強い星・弱い星』光風社 1958
  • 『未婚』小壷天書房 1958
  • 『上と下』新潮社 1958
  • 『完全な恋人』小壷天書房 1958
  • 『いのち短かし』講談社 1958
  • 『たそがれ令嬢』和同出版社 1959
  • 『東京の孤独』毎日新聞社 1959
  • 『女性失格』講談社 1959
  • 『銀座更紗』光風社 1959-1961
  • 『夢去りぬ』和同出版社 1959
  • 『若き日の断崖』新潮社 1960
  • 『青春の報酬』新潮社 1961
  • 『三人天一坊』東方社 1961
  • 『野心』光風社 1962
  • 『百万人の孤独』東方社 1962
  • 『絹女年代記』講談社 1962
  • 『銀座学校』双葉小説新書 1964
  • 『我流ゴルフ修業』文芸春秋新社 1965
  • 『夜の武士道』一水社(かもめ新書)1965
  • 『黒船抄』人物往来社(歴史小説選書)1967
  • 『あかんたれ一代 春団治無法録』新国民出版社 1976
  • 『泥絵の自画像』エポナ出版 1977
  • 『幕末長恨歌』光風社出版 1985

復刊

  • 『満洲旅日記』ゆまに書房 2002 (文化人の見た近代アジア)
  • 『従軍日記』ゆまに書房 2004 (「帝国」戦争と文学)

映画化作品

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脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 日外アソシエーツ現代人物情報
  2. ^ 関西大学を彩る人々 関西大学新聞 1956年12月15日