国際意識科学会
国際意識科学会(こくさいいしきかがくかい、Association for the Scientific Study of Consciousness、略称:ASSC)は意識研究に関する国際的な学会。アリゾナ大学意識研究センターの主催するツーソン会議と並ぶ、現代の意識研究分野における中心的な集まりのひとつ。略して一般にASSCと呼ばれている。意識について、その性質、機能、そしてその基盤となるメカニズムへの理解を深めるため、認知科学、神経科学、哲学、その他関連する様々な分野で行われている研究をサポートすることを目的とする。
学会は1994年、アメリカのカリフォルニア州バークレーで設立された。設立が行われたのは意識に関する国際会議、第一回ツーソン会議の終了したすぐあと。立ち上げをおこなったのは学術雑誌Cellの編集者である Patrick Wilken である。設立当初のメンバーには次のような人物がいた。バーナード・バース、William Banks, デイヴィッド・チャーマーズ、Stanley Klein、 George Buckner、David Rosenthal、 Thomas Metzinger、 Patrick Wilken。
活動
編集カンファレンス
編集1997年から年一回、研究者の情報交流のためのカンファレンスを開催している。各カンファレンスの名前は、学会の略称である ASSC のあとに開催次をつけたものとなっている。
タイトル | 開催年と開催時期 | 開催された国 | 開催地 | 会場 | 副題 | リンク |
---|---|---|---|---|---|---|
ASSC 1 | 1997年 7月13日-16日 | アメリカ合衆国 | クレアモント | クレアモント・カレッジズ | 潜在的認知は意識について何を語るのか? | [1] |
ASSC 2 | 1998年 7月19日-22日 | ドイツ | ブレーメン | Hanse Institute for Advanced Study | 意識の神経相関 - 実証的および概念的な問題 | [2] |
ASSC 3 | 1999年 7月4日-7日 | カナダ | ロンドン (オンタリオ州) | ウェスタンオンタリオ大学 | 意識と自己-神経的、認知的、哲学的問題 | [3] |
ASSC 4 | 2000年 6月29日-7月2日 | ベルギー | ブリュッセル | ベルギー自由大学 | 意識の統一性-結びつけ、統合、分離 | [4] |
ASSC 5 | 2001年 5月27日-30日 | アメリカ合衆国 | ダーラム | デューク大学 | 意識の内容-知覚、注意、現象学 | [5] |
ASSC 6 | 2002年 5月31日-6月3日 | スペイン | バルセロナ | バルセロナ大学 | 意識と言語-報告可能性と表象、人間と動物について | [6] |
ASSC 7 | 2003年 5月31日-6月2日 | アメリカ合衆国 | メンフィス (テネシー州) | メンフィス大学 | 意識のモデルとメカニズム | [7] |
ASSC 8 | 2004年 6月26日-28日 | ベルギー | アントワープ | アントワープ大学 | - | [8] |
ASSC 9 | 2005年 6月24日-27日 | アメリカ合衆国 | パサデナ | カリフォルニア工科大学 | - | [9] |
ASSC 10 | 2006年 6月23日-26日 | イギリス | オックスフォード | オックスフォード大学 セント・アンズ・カレッジ | - | [10] |
ASSC 11 | 2007年 6月22日-25日 | アメリカ合衆国 | ラスベガス | インペリアル・パレス・ホテル | - | [11] |
ASSC 12 | 2008年 6月19日-22日 | 台湾 | 台北 | 国立台湾大学 | - | [12] |
ASSC 13 | 2009年 6月5日-8日 | ドイツ | ベルリン | ベルリン・ブランデンブルク学術アカデミー | - | [13] |
ASSC 14 | 2010年 6月24日-27日 | カナダ | トロント | 89 チェスナット・レジデンス (トロント大学寄宿舎) | - | [14] |
ASSC 15 | 2011年 6月9日-12日 | 日本 | 京都 | 京都大学 吉田キャンパス 時計台記念館 | - | [15] |
ASSC 16 | 2012年 7月3日-6日 | イギリス | ブライトン | サセックス大学 サックラー意識科学センター | - | [16] |
ASSC 17 | 2013年 7月12日-15日 | アメリカ合衆国 | サンディエゴ | 神経科学研究所 | - | [17] |
ASSC 18 | 2014年 7月16日-19日 | オーストラリア | ブリズベン | クイーンズランド大学 Queensland Brain Institute | - | [18] |
ASSC 19 | 2015年 7月7日-10日 | フランス | パリ | 高等師範学校 (フランス)Institute of Cognitive Studies | - | [19] |
ASSC 20 | 2016年 6月14日-18日 | アルゼンチン | ブエノス・アイレス | Centro Cultural de la Ciencia | - | [20] |
ASSC 21 | 2017年 6月13日-16日 | 中国 | 北京 | Beijing International Conference Centre | - | [21] |
ASSC 22 | 2018年 6月26日-29日 | ポーランド | クラクフ | ヤギェウォ大学 | - | [22] |
ASSC 23 | 2019年 6月25日-28日 | カナダ | ロンドン (オンタリオ州) | ウェスタンオンタリオ大学 | - | [23] |
出版
編集学会誌としてPsycheという名前の雑誌を発行している。 雑誌は無料で読めるオープンアクセスの形態で発行されている。
また色々なテーマの本を、不定期に出版している。
- Metzinger, T., ed., (2000). Neural Correlates of Consciousness - Empirical and Conceptual Questions. Cambridge, MA: MIT Press ISBN 0-262-13370-9
- Axel Cleeremans (Ed.), ed (2003). The Unity of Consciousness: Binding, Integration, and Dissociation. Oxford University Press. ISBN 0-19-850857-3
- Steven Laureys, ed (2005). Progress in Brain Research, The boundaries of consciousness: neurobiology and neuropathology. Elsevier. ISBN 0-444-51851-7
ウィリアム・ジェイムズ賞
編集2004年からウィリアム・ジェイムズの名をとった賞 William James Prize が毎年一人(一グループ)の研究者に贈られている。受賞の対象となるのは若い研究者(大学院生または博士号を受けてから5年以内のポスドク)が行った研究で、ノミネートされた研究の中からひとつの研究に対して賞が贈られる。受賞者には賞金1000米ドルが贈られる[24]。2010年度の審査委員はダニエル・デネット、Chris Frith、 Axel Cleeremans、ジュリオ・トノーニの四人。
年度 | 受賞者 | 研究の内容 | リンク |
---|---|---|---|
2004年 | Steven Laureys ら | 植物状態における脳の機能 | 論文PDF |
2005年 | Hakwan Lau ら | 注意と意図 | 論文PDF |
2006年 | Sang-Hun Lee ら | 両眼視野闘争時に観測される一次視覚野での進行波 | 論文PDF |
2007年 | Sid Kouider | Cerebral bases of subliminal and supraliminal priming during reading | 論文PDF |
2008年 | Naotsugu Tsuchiya | Continuous flash suppression reduces negative afterimages | 論文PDF |
2009年 | Joel Pearson | The functional impact of mental imagery on conscious perception | 論文PDF |
関連項目
編集外部リンク
編集- ASSC ホームページ
- 2001, 2002, 2004 - 各年の会場の様子を映したフォトギャラリー
- e-print archive containing work by members of the ASSC