銃声
銃声(じゅうせい)とは、銃を発射した際に生じる爆発音のこと[1]。発射する銃によって銃声は異なる。大砲の場合、砲声(ほうせい)と呼ぶ場合もある[2]。
詳細
編集爆発音の理由
編集現代の銃で弾丸を発射するには、まず、銃身の根元の薬室と呼ばれる部分に、弾薬(カートリッジ)を装填し、遊底と呼ばれる部品で蓋をする。だいたいの場合、遊底には穴が開いており、撃針という針のような部品が通っている。 次に、撃鉄と呼ばれる部品を起こす[3]。 撃鉄は、ばねによって常に撃針に向かって倒れようとしているが、撃鉄を完全に起こすと、シアという部品によって倒れないように保持される。 銃の引き金を引くと、シアを動かして撃鉄を開放し、撃鉄がばねの力で撃針を打つ。撃針は、弾薬の底部の雷管を打って発火させ、これをきっかけに火薬(発射薬/ガンパウダー)が燃焼して、高温高圧の燃焼ガスが発生する。
発生した高圧のガスは急激に膨張して、カートリッジ先端の弾丸を銃口から高速で押し出すと同時に、外部に放出される。このときに、非常に大きな破裂音が発生する。 ほかにも、たとえばリボルバー形式の銃の場合は、薬室と銃身の間に「シリンダーギャップ」と呼ばれる隙間があり、ここからも高圧のガスが噴出する。 自動火器の場合は、弾丸の発射後、自動的に遊底が解放され、薬室から薬莢が抜き出され、排莢口(エジェクションポート)から排出されるが、このときにも圧力の低下したガスの一部が放出される。
このように、火薬の燃焼によって発生した高圧のガスが、ほとんどは銃口から、一部はそのほかの場所から放出されることによって、破裂音が発生するのである。
一方、銃口から押し出された弾丸は、目標(あるいはそれ以外)に向かって飛行する。弾丸の速度が音速を超えていると、衝撃波が発生し、これが原因となって非常に大きな音が発生する。これも「銃声」の一部となっている。
サプレッサーは、火薬の破裂音を抑制するためのものであり、衝撃波による破裂音は抑制できない。そのため、サプレッサーに対応した亜音速弾[4]を使用することがある。
騒音レベル
編集人間が音を感知したときに耳の痛みを感じるしきい値は130dBであるのに対して一般的な拳銃の発する銃声が140-170dBであるため、耳栓などを装着する事によって115dB以下に下げられる。
合図としての利用
編集水泳や徒競走などといった複数の人がタイムを競い合う競技では、スタートの合図として実弾を使用しないスターターピストルなどが用いられる。
参考文献
編集- 床井雅美『軍用銃辞典』並木書房、2005年、ISBN 4-89063-187-9、p.47. PSSサイレンサーピストル, p.126. モデルAS消音アサルトライフル, p.233. モデルVSSサイレンサースナイパーライフル