荒野のストレンジャー
『荒野のストレンジャー』(こうやのストレンジャー、High Plains Drifter)は、1973年に公開されたアメリカの西部劇である。監督・主演はクリント・イーストウッド。イーストウッドは町の護衛を依頼される西部のガンマンを演じた。また、イーストウッドの師でもあるセルジオ・レオーネとドン・シーゲルからの影響を受けている作品でもある[3]。
荒野のストレンジャー | |
---|---|
High Plains Drifter | |
監督 | クリント・イーストウッド |
脚本 |
アーネスト・タイディマン ディーン・レイスナー (クレジットなし) |
製作 | ロバート・デイリー |
製作総指揮 | ジェニングス・ラング |
出演者 |
クリント・イーストウッド ヴァーナ・ブルーム マリアンナ・ヒル |
音楽 | ディー・バートン |
撮影 | ブルース・サーティース |
編集 | フェリス・ウェブスター |
配給 |
ユニバーサル・ピクチャーズ CIC |
公開 |
1973年8月22日 1973年6月2日 |
上映時間 | 105分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $5,500,000[1] |
興行収入 | $15,700,000[2] |
この映画の撮影はカリフォルニア州、モノ・レイクの岸辺で行われた。脚本はアーネスト・タイディマンとディーン・レイスナー[4]。タイディマンは小説版も執筆した。音楽はディー・バートンが作曲した。また、本作は超自然の要素を含んでいる。
概要
編集この映画はマルパソとユニバーサルの共同製作である。脚本は『フレンチ・コネクション』でアカデミー脚色賞を受賞したアーネスト・タイディマン[5]。作品の中に見られるブラックユーモアはセルジオ・レオーネの影響である[5]。
イーストウッドは撮影場所を探すため、オレゴン州、ネヴァダ州、カリフォルニア州を回り[6]、最終的にモノ・レイクでの撮影が決まった。舞台となる町のオープンセットは、40人以上の技術者と10人以上の建設関係者によって18日かけて建設された。また、ネヴァダ州、リノのウィネマツカ・レイクとカリフォルニア州、イニョー・ナショナル・フォレストで追加撮影も行われた[7]。最終的にイーストウッドは、本作をわずか6週間で撮り終えた。
ストーリー
編集この節にあるあらすじは作品内容に比して不十分です。 |
鉱山によって成り立っている小さな町(ラーゴ)に、ある日正体不明の流れ者(ストレンジャー)がふらりと立ち寄る。彼は、からんできた3人のならず者をまたたく間に撃ち殺してしまうが、臆病な町の住人たちは、流れ者を咎めもせず、ただただ困惑してしまう。実は殺された3人は、1年前に町で捕まえて刑務所に送っていた3人の無法者の復讐に備えて、住人たちが雇っていたのだった。
時間も当てもない町にとって残された手段は、この流れ者を雇って3人の無法者に備えることしかない。彼は当初は渋っていたが、「何でも言う事をきく」との申し出に、この何やらいわくありげな町の護衛を引き受けることにする。
一安心した住人たちだったが、彼の出し始めた命令は、住人たちの当惑するとんでもないものばかりであった…。
流れ者は、正義を、貫こうとして非業の死を遂げた元保安官の墓標が建ったことを見届けながら、町を去って行く。
キャスト
編集役名 | 俳優 | 日本語吹替 | |
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NET版 | 日本テレビ版 | ||
流れ者 | クリント・イーストウッド | 山田康雄 | |
サラ・ベルディング | ヴァーナ・ブルーム | 浅井淑子 | 宗形智子 |
キャリー・トラヴァーズ | マリアンナ・ヒル | 平井道子 | 弥永和子 |
デイヴ・ドレイク | ミッチェル・ライアン | 上田敏也 | 小林勝彦 |
モーガン・アレン | ジャック・ギング | 仁内達之 | 麦草平 |
ジェイソン・ホバート町長 | ステファン・ギーラシュ | 宮内幸平 | 阪脩 |
ルイス・ベルディング | テッド・ハートリー | 寺島幹夫 | 仁内建之 |
モルデカイ | ビリー・カーティス | 熊倉一雄 | 矢田稔 |
ステイシー・ブリッジス | ジェフリー・ルイス | 加藤精三 | 飯塚昭三 |
牧師 | ロバート・ドナー | 清川元夢 | |
コール・カーリン | アンソニー・ジェームズ | 郷里大輔 | |
ダン・カーリン | ダン・ヴァディス | 幹本雄之 | |
サム・ショウ | ウォルター・バーンズ | 増岡弘 | 富田耕生 |
その他 | 伊井篤史 広瀬正志 仲木隆司 島香裕 | ||
日本語版スタッフ | |||
演出 | |||
翻訳 | 川名完次(DVD、Blu-ray)(字幕翻訳)[8] 高橋澄(BSプレミアム/プレミアムシネマ[9]) |
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効果 | |||
調整 | |||
制作 | |||
解説 | 児玉清 | 水野晴郎 | |
初回放送 | 1976年1月24日 『土曜映画劇場』 |
1985年8月21日 『水曜ロードショー』 |
評価
編集レビュー・アグリゲーターのRotten Tomatoesでは30件のレビューで支持率は93%、平均点は7.70/10となった[10]。Metacriticでは10件のレビューを基に加重平均値が69/100となった[11]。
アメリカでは1973年8月に公開され、当時800万ドルの興行収入を得た。これは1970年代に制作された西部劇で11番目に多くの興行収入を得た作品である[12]。当初、出演のオファーを受け、脚本も受け取っていたジョン・ウェインは映画公開後、イーストウッドに本作を評価した手紙を送っている。ただし、その内容は「映画の町民たちは、実際のアメリカ先駆者達の精神を持っていない。アメリカの偉大なる精神をだ」というもので、本作に難色を示している[13]。評論家からは賛否両論の評価を受け、『サタデー・レヴュー』のアーサー・ナイトはイーストウッドについて「シーゲルとレオーネの作り方を吸収し、レオーネと彼の独特の社会観が融合している」と述べた。
脚注
編集- ^ Box Office Information for High Plains Drifter. The Wrap. Retrieved April 4, 2013.
- ^ Box Office Information for High Plains Drifter. Box Office Mojo. Retrieved April 4, 2013.
- ^ Kaminsky, Stuart. Clint Eastwood, Signet Books, 1975. ISBN 978-0-451-06159-1
- ^ クレジットなし
- ^ a b McGilligan (1999), p. 221
- ^ Gentry, p. 63
- ^ Hughes, p. 28
- ^ “川名完次の映画作品”. 2021年11月1日閲覧。
- ^ 2020年7月17日放送分
- ^ “High Plains Drifter”. Rotten Tomatoes. Fandango Media. 2022年9月26日閲覧。
- ^ “High Plains Drifter Reviews”. Metacritic. CBS Interactive. 2022年9月26日閲覧。
- ^ Hughes, pp. 30–31
- ^ Schickel, p. 291