稲荷駅
稲荷駅(いなりえき)は、京都府京都市伏見区深草稲荷御前町にある、西日本旅客鉄道(JR西日本)奈良線の駅である[2]。駅番号はJR-D03[1]。
稲荷駅 | |
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駅舎(2018年5月) | |
いなり Inari | |
◄JR-D02 東福寺 (1.6 km) (2.3 km) JR藤森 JR-D04► | |
所在地 | 京都市伏見区深草稲荷御前町 |
駅番号 | JR-D03[1] |
所属事業者 | 西日本旅客鉄道(JR西日本) |
所属路線 | ■奈良線 |
キロ程 |
32.0 km(木津起点) 奈良から39.0 km |
電報略号 | イナ |
駅構造 | 地上駅 |
ホーム | 2面2線[2] |
乗車人員 -統計年度- |
6,978人/日(降車客含まず) -2022年- |
開業年月日 | 1879年(明治12年)8月18日[3][4] |
備考 |
業務委託駅 みどりの券売機プラス設置駅 京都市内駅 |
稲荷駅 | |
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いなり Inari | |
◄山科 (4.8 km) (2.9 km) 京都► | |
所属事業者 | 日本国有鉄道 |
所属路線 | 東海道本線(旧線) |
キロ程 |
515.3 km(東京起点) 大津から13.4 km |
廃止年月日 | 1921年(大正10年)8月1日[5][6] |
備考 | 線路切替により廃止 |
歴史
編集1879年、後に東海道本線となる京都駅 - 大谷駅間の鉄道が開業した際に開設された[4][6]。翌年には大谷から大津まで延伸、1889年には新橋駅 - 神戸駅間が全通し、東海道本線の駅となった。
1921年に東海道本線の馬場駅(現・膳所駅) - 京都駅間が新逢坂山トンネル・東山トンネル経由の現在線に切り替えられ、同時に残る京都駅 - 稲荷駅間が桃山駅からの奈良線の新線と接続され同線に編入(詳細は路線記事を参照のこと)されたため[5]、当駅は奈良線の駅となった。
年表
編集- 1879年(明治12年)8月18日:官設鉄道の京都駅 - 大谷駅間の延伸開業に伴い[4][7]、駅開業[3][8]。
- 1895年(明治28年)4月1日:線路名称制定。東海道線(1909年より東海道本線)の所属となる[7]。
- 1921年(大正10年)8月1日:鉄道省東海道本線馬場駅(→膳所駅)- 京都駅間新線開業により、東海道本線馬場駅(→膳所駅) - 当駅間廃止。当駅 - 京都駅間は奈良線に移管。当駅 - 桃山駅間の奈良線の新線を開業。当駅も奈良線の所属となる[9]。
- 1935年(昭和10年)3月:駅舎改築[10]。
- 1961年(昭和36年)1月15日:貨物の取り扱いを廃止[11]。
- 1972年(昭和47年)8月15日:跨線橋完成[12]。
- 1984年(昭和59年)10月20日:荷物扱い廃止[11]。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化に伴い、西日本旅客鉄道(JR西日本)の駅となる[5][8]。
- 1992年(平成4年)1月1日:前年の快速運転開始に伴い、当駅への正月臨時停車を開始する(2002年以降はみやこ路快速に振り替え)。
- 1998年(平成10年)9月3日:自動改札機を設置し、供用開始[13]。
- 2003年(平成15年)11月1日:「ICOCA」の利用が可能となる[14]。
- 2009年(平成21年)2月16日:みどりの窓口が設置される。
- 2018年(平成30年)3月17日:駅ナンバリングが導入され、使用を開始[15]。
- 2020年(令和2年)
駅構造
編集相対式ホーム2面2線[17][18]を持つ地上駅で、分岐器や絶対信号機を持たないため、停留所に分類されていたが、2018年4月ごろに配線変更を行わず駅前後の信号機が絶対信号機に変更されたため、停留所ではなくなった。曲線部にあるためホームがカーブしている[17]。駅舎は2番のりば(下り)側にあり、反対側の1番のりば(上り)へは跨線橋で連絡している[3]。2008年12月にエレベーターと非常ボタンの使用が開始され、バリアフリー化された。
1935年(昭和10年)に竣工したコンクリート造りの駅舎を有する。伏見稲荷大社の最寄り駅ということもあり、駅の柱が一部朱色に塗られている[3]。また、当駅の構内には東海道本線の駅であった名残の国鉄最古のランプ小屋(準鉄道記念物)が現存している[19][20][21]。内部には当駅や奈良線に関する備品類が収蔵されている。
宇治駅が管理し、JR西日本交通サービスが駅業務を受託している業務委託駅である。ICカード乗車券「ICOCA」を利用できる(相互利用可能ICカードはICOCAの項を参照)。JRの特定都区市内制度における「京都市内」の駅で、第1回近畿の駅百選に選定されている。
のりば
編集のりば | 路線 | 方向 | 行先 |
---|---|---|---|
1 | 奈良線 | 上り | 京都方面[22] |
2 | 下り | 宇治・奈良方面[22] |
-
改札口(2020年4月)
-
ホーム(2020年4月)
-
ランプ小屋(2012年10月)
利用状況
編集京都府統計書によると、1日の平均乗車人員は以下の通りである。奈良線の普通のみの停車駅では最多であり、京都駅・東福寺駅・奈良駅を除く快速停車駅を上回っている[23]。
年度 | 一日平均 乗車人員 |
---|---|
1999年 | 4,203 |
2000年 | 4,266 |
2001年 | 4,471 |
2002年 | 4,567 |
2003年 | 4,759 |
2004年 | 4,951 |
2005年 | 5,055 |
2006年 | 5,233 |
2007年 | 5,406 |
2008年 | 5,452 |
2009年 | 5,375 |
2010年 | 5,608 |
2011年 | 5,896 |
2012年 | 6,492 |
2013年 | 7,016 |
2014年 | 7,285 |
2015年 | 8,683 |
2016年 | 9,041 |
2017年 | 9,523 |
2018年 | 9,318 |
2019年 | 8,877 |
2020年 | 3,679 |
2021年 | 4,860 |
2022年 | 6,978 |
年度別1日平均乗車人員(旧データ)
編集1930年代から1940年代にかけて各年度の1日平均乗車人員は下表の通り[24]。
年度 | 1日平均 乗車人員 |
---|---|
1931年(昭和 | 6年)173 |
1932年(昭和 | 7年)184 |
1933年(昭和 | 8年)226 |
1934年(昭和 | 9年)231 |
1935年(昭和10年) | 272 |
1936年(昭和11年) | 256 |
1937年(昭和12年) | 265 |
1938年(昭和13年) | 348 |
1939年(昭和14年) | 364 |
1940年(昭和15年) | 320 |
1941年(昭和16年) | 435 |
駅周辺
編集駅を出るとすぐ、伏見稲荷大社への参道が続く。伊藤若冲の五百羅漢と墓のある石峯寺 (京都市)は、南東へ徒歩8分ほど。
- 伏見稲荷駅(京阪本線)
- 龍谷大前深草駅(京阪本線)
- 龍谷大学深草キャンパス
- 京都市立京都奏和高等学校 ( 京都市立伏見工業高等学校跡地)
- 京都市立京都工学院高等学校(立命館中学校・高等学校跡地)
-
伏見稲荷大社(外拝殿)
-
伏見稲荷大社(千本鳥居)
-
京都市立伏見工業高等学校
バス路線
編集駅前にバス停は設けられていない。最寄りとなるバス停は駅西側に設けられている。
- 稲荷大社前
- 駅から350m西方の師団街道沿いにある。
- 勧進橋
- 駅から1km西方の国道24号沿いにある。
隣の駅
編集かつて存在した路線
編集脚注
編集- ^ a b 双葉社 2021, p. 132.
- ^ a b 『週刊 JR全駅・全車両基地』 16号 奈良駅・新今宮駅・王寺駅ほか70駅、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2012年11月25日、26頁。
- ^ a b c d 川島 2009, p. 50.
- ^ a b c 朝日 2009, p. 24.
- ^ a b c 朝日 2009, p. 25.
- ^ a b 結解 2020, p. 100.
- ^ a b 結解 2020, p. 132.
- ^ a b 双葉社 2021, p. 138.
- ^ 「鐵道省告示第九十九號」『官報 1921年07月28日』 - 国立国会図書館デジタルコレクション
- ^ 天王寺鉄道管理局 1981, p. 274.
- ^ a b 石野哲 編『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 II』(初版)JTB、1998年10月1日、351頁。ISBN 978-4-533-02980-6。
- ^ 天王寺鉄道管理局 1981, p. 229.
- ^ 「JR年表」『JR気動車客車編成表 '99年版』ジェー・アール・アール、1999年7月1日、185頁。ISBN 4-88283-120-1。
- ^ 『「ICOCA」いよいよデビュー! 〜 平成15年11月1日(土)よりサービス開始いたします 〜』(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2003年8月30日。オリジナルの2004年8月3日時点におけるアーカイブ 。
- ^ 『近畿エリアの12路線 のべ300駅に「駅ナンバー」を導入します!』(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2016年7月20日 。
- ^ a b “稲荷駅 駅情報:JRおでかけネット”. 西日本旅客鉄道. 2020年1月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月28日閲覧。
- ^ a b 川島 2009, p. 6.
- ^ 双葉社 2021, p. 129.
- ^ 朝日 2009, p. 22.
- ^ 結解 2020, p. 101.
- ^ 「伏見で戦前の鉄道史セミナー 『名神高速は旧東海道本線の廃線跡活用』など歴史語る」『伏見経済新聞』シャノワ、2017年7月16日。
- ^ a b “稲荷駅|構内図:JRおでかけネット”. 西日本旅客鉄道. 2023年1月17日閲覧。
- ^ 『京都府統計書』鉄道乗車人員より、記載された数値を当該年度の日数で除して算出。
- ^ 京都市統計書より、記載された数値を当該年度の日数で除して算出。
- ^ 『令和4年3月実施の市バス・地下鉄新ダイヤについて』(PDF)(プレスリリース)京都市交通局、2022年1月21日。オリジナルの2022年7月9日時点におけるアーカイブ 。2022年9月21日閲覧。
参考文献
編集- 『天王寺鉄道管理局三十年写真史』天王寺鉄道管理局、1981年3月。
- 川島令三『【図説】日本の鉄道 東海道ライン 全線・全駅・全配線 第6巻 米原駅 - 大阪エリア』講談社、2009年8月20日。ISBN 978-4-06-270016-0。
- 『週刊歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR 08 関西本線・草津線・奈良線・おおさか東線』朝日新聞出版、2009年8月30日。
- 結解善幸『DJ鉄ぶらブックス』 031 路線百科 東海道本線、交通新聞社、2020年10月30日。ISBN 978-4-330-08020-8。
- 『都市鉄道完全ガイド 関西JR編 2021-2022年版』双葉社、2021年6月22日。ISBN 978-4-575-45881-7。
関連項目
編集外部リンク
編集- 稲荷駅|駅情報:JRおでかけネット - 西日本旅客鉄道
- JR稲荷駅ランプ小屋 - 京都観光Navi