松浦市(まつうらし)は、長崎県北部、北松浦半島に位置する。離島部も市域に含む。松浦党発祥の地。「アジ」水揚げ日本一を誇る都市であり、「アジフライの聖地」として知られている[1][2]

まつうらし ウィキデータを編集
松浦市
調川道路公園にある松浦水軍の兜像
地図
市庁舎位置
松浦市旗 松浦市章
松浦市旗 松浦市章
2006年1月1日制定
日本の旗 日本
地方 九州地方
都道府県 長崎県
市町村コード 42208-8
法人番号 3000020422088 ウィキデータを編集
面積 130.55km2
総人口 19,606[編集]
推計人口、2024年10月1日)
人口密度 150人/km2
隣接自治体 佐世保市平戸市
佐賀県伊万里市唐津市
市の木 マキ
市の花 ツバキ
松浦市役所
市長 友田吉泰
所在地 859-4598
長崎県松浦市志佐町里免365番地
北緯33度20分27秒 東経129度42分33秒 / 北緯33.34097度 東経129.70911度 / 33.34097; 129.70911座標: 北緯33度20分27秒 東経129度42分33秒 / 北緯33.34097度 東経129.70911度 / 33.34097; 129.70911
松浦市役所
外部リンク 公式ウェブサイト

松浦市位置図

― 市 / ― 町・村

ウィキプロジェクト

地理

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志佐川
 
松浦市中心部周辺の空中写真。
2012年8月3日撮影の10枚を合成作成。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。

長崎県の北松浦半島北部に位置し、北は玄界灘から伊万里湾に面し、西は平戸市、南は佐世保市、東は佐賀県伊万里市に接している[3]。市域南側の内陸部は溶岩台地の丘陵地で、平地は少ない。川は坂瀬川・竜尾川・志佐川・調川川・今福川などが流れ、河口には「ぎぎが浜」に代表される鳴き砂がある。

有人離島では、伊万里湾の沖合いに浮かぶ福島鷹島黒島飛島青島の各島を行政区域とする。この中で、平成の大合併前まで単独で町制を施行していた2島(黒島は旧鷹島町に含まれる)のうち、福島は1967年(昭和42年)に隣の佐賀県伊万里市との間に福島大橋が架橋され、鷹島も2009年(平成21年)4月18日唐津市との間に鷹島肥前大橋が架橋された。このように2島では経済的、地理的には松浦市本土だけでなく佐賀県とのつながりも強い(旧福島町では2003年に住民団体が伊万里市との法定合併協議会設置を求める請求書を提出している)。

気候

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松浦(2011年 - 2020年)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C°F 20.0
(68)
21.8
(71.2)
24.3
(75.7)
26.3
(79.3)
31.3
(88.3)
32.8
(91)
36.2
(97.2)
37.0
(98.6)
34.1
(93.4)
31.3
(88.3)
28.8
(83.8)
23.7
(74.7)
37.0
(98.6)
平均最高気温 °C°F 10.3
(50.5)
10.9
(51.6)
14.8
(58.6)
18.9
(66)
23.3
(73.9)
25.3
(77.5)
29.6
(85.3)
31.1
(88)
26.9
(80.4)
22.5
(72.5)
17.8
(64)
12.0
(53.6)
20.3
(68.5)
日平均気温 °C°F 7.0
(44.6)
7.4
(45.3)
10.8
(51.4)
14.6
(58.3)
19.0
(66.2)
22.0
(71.6)
26.4
(79.5)
27.4
(81.3)
23.4
(74.1)
18.9
(66)
13.9
(57)
8.7
(47.7)
16.6
(61.9)
平均最低気温 °C°F 3.7
(38.7)
3.6
(38.5)
6.8
(44.2)
10.4
(50.7)
14.9
(58.8)
19.4
(66.9)
23.9
(75)
24.4
(75.9)
20.4
(68.7)
15.4
(59.7)
10.0
(50)
5.2
(41.4)
13.2
(55.8)
最低気温記録 °C°F −4.1
(24.6)
−3.4
(25.9)
−0.7
(30.7)
2.9
(37.2)
6.3
(43.3)
13.2
(55.8)
17.4
(63.3)
17.8
(64)
12.5
(54.5)
8.0
(46.4)
2.5
(36.5)
−0.5
(31.1)
−4.1
(24.6)
降水量 mm (inch) 86.0
(3.386)
99.9
(3.933)
135.7
(5.343)
167.6
(6.598)
147.7
(5.815)
309.2
(12.173)
337.0
(13.268)
364.7
(14.358)
214.4
(8.441)
142.0
(5.591)
108.3
(4.264)
89.8
(3.535)
2,195.2
(86.425)
平均降水日数 (≥1.0 mm) 8.4 9.7 8.7 8.8 7.7 13.0 12.2 10.3 11.9 8.0 8.8 8.4 116.6
平均月間日照時間 102.9 108.8 173.0 192.9 213.0 122.8 172.4 212.4 146.6 168.4 131.8 88.9 1,831.8
出典1:Japan Meteorological Agency
出典2:気象庁[4]

隣接する自治体

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地域

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人口

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松浦市と全国の年齢別人口分布(2005年) 松浦市の年齢・男女別人口分布(2005年)
紫色 ― 松浦市
緑色 ― 日本全国
青色 ― 男性
赤色 ― 女性
松浦市(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年) 36,598人
1975年(昭和50年) 33,042人
1980年(昭和55年) 32,478人
1985年(昭和60年) 32,312人
1990年(平成2年) 31,254人
1995年(平成7年) 30,470人
2000年(平成12年) 28,370人
2005年(平成17年) 26,993人
2010年(平成22年) 25,145人
2015年(平成27年) 23,309人
2020年(令和2年) 21,271人
総務省統計局 国勢調査より


地名

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松浦市の地名を参照。

歴史

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律令制下では肥前国松浦郡の区域とされた。平安時代後期の延久元年(1069年)、源氏(嵯峨源氏)の流れを汲む源久が松浦郡宇野御厨の検校となり、現在の市域にあたる梶谷に住み松浦久と名乗り、太夫判官と称して松浦郡・彼杵郡の一部及び壱岐郡を治めた。この松浦久のもとで松浦党と呼ばれる武士団が結成された。松浦党は水軍として有名で、元寇でも活躍している。

江戸時代には藩庁は置かれなかった。その後は当地を含む北松浦半島一帯(離島部を含む)で石炭の存在が発見され、明治時代から戦後にかけて石炭産業北松炭田)で栄え、最盛期にあたる1955年(昭和30年)の国勢調査では人口44,057人を数えた。 そうした中で炭鉱事故も発生し、1958年(昭和33年)5月7日、中興鉱業江口鉱業所では地下200m地点で出水、作業員29人が死亡する事例もあった[5]。 1960年代以降のエネルギー革命で炭鉱はすべて閉山し、それ以降は戦前から続く漁業のほか火力発電所の建設で産業基盤の維持を図っているが、依然として人口減少が続いている。

年表

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まつうらし
松浦市
   
松浦市旗 松浦市章
1955年12月26日制定
廃止日 2006年(平成18年)1月1日
廃止理由 新設合併
松浦市(旧)、北松浦郡福島町鷹島町 →松浦市(新)
現在の自治体 松浦市(新)
廃止時点のデータ
  日本
地方 九州地方
都道府県 長崎県
市町村コード 42208-8
面積 95.79km2.
総人口 21,360
推計人口、2005年12月1日)
隣接自治体 佐世保市平戸市、北松浦郡江迎町、(海上で隣接)福島町、鷹島町
佐賀県伊万里市
松浦市役所
所在地 859-4598
長崎県松浦市志佐町里免365番地
ウィキプロジェクト
  • 1889年4月1日 町村制施行により、 北松浦郡のうち現在の市域にあたる以下の村が発足。()は合併を行った村。それ以外は単独村制。
  • 1922年11月1日 志佐村が町制を施行し、志佐町となる。
  • 1929年4月1日 今福村が町制を施行し、今福町(いまくまち)となる。
  • 1941年1月1日 御厨村と星鹿村が新設合併、同時に町制を施行し、新御厨町となる。
  • 1949年1月1日 調川村が町制を施行し、調川町となる。
  • 1951年1月21日 福島村が町制を施行し、福島町となる。
  • 1954年4月1日 志佐町と上志佐村が新設合併により改めて志佐町となる。
  • 1955年3月31日 北松浦郡志佐町・新御厨町・調川町が新設合併、同時に市制を施行し、松浦市(旧)となる。
  • 1955年4月15日 今福町が松浦市に編入される。今福町の読みは「いまくちょう」。
  • 1975年1月1日 鷹島村が町制を施行し、鷹島町となる。
  • 1976年8月4日 集中豪雨で市内が冠水、約70戸が床上浸水した。今福町では民家の裏山が崩れ1人が負傷[6]
  • 2006年1月1日 松浦市・福島町・鷹島町が新設合併により松浦市(現行)となる。
  • 2019年4月27日 「アジフライの聖地」を宣言。

行政

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市の行政機関

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県の行政機関

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議会

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市議会

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松浦市議会の議席定数は、17議席である[7]

県議会

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松浦市から選出される長崎県議会議員の定数は1議席である。現在は石本まさひろが務める。

衆議院

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当落 候補者名 年齢 所属党派 新旧別 得票数
金子容三 40 自由民主党 53,915票
末次精一 60 立憲民主党 46,899票

司法

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産業

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水産業

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市内には漁港が12か所にある[3]

産地市場として1979年(昭和54年)に松浦市が開設した地方卸売市場である松浦魚市場がある[3]松浦魚市場における総水揚げ量72,374トン(日本第9位 2019年)アジの漁獲量は約25,000トン(2017年)3年連続全国一の水揚げ(PDF5枚目)サバの漁獲量は約4万トンで日本有数。当地産のアジサバは「旬あじ」「旬さば」のブランド名を名乗る。「アジフライの聖地」を宣言して町おこしを行っている[8][9]とらふぐの養殖収穫量は2014年度に全国1位となった[10]

製造業

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石炭火力発電所

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電源開発松浦火力発電所

九州電力電源開発の石炭火力発電所が立地している[3]。低炭素化のため、九州電力の火力発電所では下水汚泥バイオマスやアンモニアの混焼、電源開発の火力発電所では木質バイオマスの混焼が行われている[3]

金融

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※かつては佐賀銀行も今福支店を置いていたが、2015年(平成27年)2月に伊万里支店に統合され、出張所としてATMが設置されているのみである。

姉妹都市・友好都市

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国内

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国外

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市内の九州電力・電源開発の火力発電所ではオーストラリア等の海外炭を燃料としており、産炭地であるマッカイ市と姉妹都市となった

教育

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高等学校

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廃止された高等学校に関しては長崎県高等学校の廃校一覧#松浦市を参照。

中学校

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公立のみ7校

廃止された中学校に関しては長崎県中学校の廃校一覧#松浦市を参照。

小学校

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公立のみ9校(2016年(平成28年)4月時点)

廃止された小学校に関しては長崎県小学校の廃校一覧#松浦市を参照。

松浦市では、「松濤奨学基金条例」に基づく奨学金制度があり高等学校専修学校大学進学者を対象としている。なお、奨学金は返還義務がともなう。

交通

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鉄道

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松浦駅

バス路線

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松浦バスセンター
西肥自動車(西肥バス)
北松浦半島一帯を営業エリアとするバス事業者で、松浦駅前をターミナルとして、主に松浦市と周辺部を結ぶ路線を運行している。
佐世保駅前(佐世保市)- 佐々バスセンター(佐々町)- 吉井町 - 福井 -(草の尾入口 - )松浦市
世知原(佐世保市)- 長坂 - 笛吹- 松浦市
平戸桟橋 (平戸市)- 平戸口桟橋 - 御厨 - 松浦市
伊万里駅前 (伊万里市)- 浦ノ崎駅前 - 今福 - 松浦市
伊万里駅前 - 波多津 - 福島(旧福島町
松浦市乗合バス
西肥自動車が路線を廃止した地区を運行する廃止代替バス。松浦観光バスが運行する。
昭和自動車(昭和バス)
東松浦半島一帯を営業エリアとするバス事業者で、鷹島肥前大橋の開通にあわせ、唐津市(旧肥前町)中心部の入野と鷹島を結ぶ路線を運行開始している。
鷹島乗合タクシー
鷹島で運行していた松浦市営バス(旧鷹島町営バス)の休止に伴い、同島内で運行開始している。鷹島タクシーが運行する。
さつき観光
高速バス。松浦市と唐津市・福岡市を結ぶ。

道路

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高速道路

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一般国道

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県道

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主要地方道
一般県道

道の駅

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2つの道の駅には「アジフライの聖地」を記念するモニュメントが建てられている[13]

船舶

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市内航路

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市外航路

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名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事

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土谷棚田
 
龍王の滝
 
鷹島モンゴル村
 
いろは島

観光名所など

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  • 不老山総合公園
  • 四季の森石倉
  • 龍王の滝
  • 松浦水軍の郷 海のふるさと館
  • 夕日の見える棚田(福島)
  • 蛙鼻公園フルーツフラワーパーク(福島)
  • いろは島(福島)
  • モンゴル村(鷹島)
  • 松浦市立鷹島歴史民俗資料館

催事

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  • 精霊流し、花火大会 : 8月15日
  • 土谷棚田の火祭り : 9月
  • 松浦水軍まつり:10月

著名な出身者

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★は故人

松浦市に縁のある作品

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小説

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脚注

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注釈

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  1. ^ 社名に「松浦」と冠しているが本社所在地は佐世保市である。
  2. ^ 1987年までは国鉄1988年3月まではJR九州の松浦線であり、同年4月からの同線の第三セクター化により改称した。

出典

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  1. ^ 「アジフライの聖地 松浦」とは”. 松浦市. 2021年4月6日閲覧。
  2. ^ アジフライ「聖地」にモニュメント 松浦、道の駅2カ所に”. 長崎新聞社 (2021年3月21日). 2021年4月10日閲覧。
  3. ^ a b c d e 第2章 松浦市の特徴”. 松浦市. 2024年9月18日閲覧。
  4. ^ 松浦 過去の気象データ検索”. 気象庁. 2024年3月24日閲覧。
  5. ^ 日外アソシエーツ編集部編 編『日本災害史事典 1868-2009』日外アソシエーツ、2010年、129頁。ISBN 9784816922749 
  6. ^ 豪雨で五千戸浸水 四人が生き埋め騒ぎ『朝日新聞』1976年(昭和51年)8月4日夕刊、3版、7面
  7. ^ 長崎県松浦(まつうら)市議選(定数17)”. 2018年12月22日閲覧。
  8. ^ 「アジフライの聖地 松浦」とは”. 松浦市. 2021年4月6日閲覧。
  9. ^ アジフライ「聖地」にモニュメント 松浦、道の駅2カ所に”. 長崎新聞社 (2021年3月21日). 2021年4月10日閲覧。
  10. ^ 具志堅直 (2016年12月2日). “九十九島とらふぐ、地元でPR 佐世保・鹿町で出荷式”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 朝刊 長崎版 
  11. ^ 日本財団図書館(電子図書館)過疎地域活性化のための交流施策のあり方に関する調査研究:事例40 長崎県・福島町~三福島町友好交流事業~
  12. ^ 長崎県の交流自治体
  13. ^ アジフライ「聖地」にモニュメント 松浦、道の駅2カ所に”. 長崎新聞社 (2021年3月21日). 2021年4月10日閲覧。

外部リンク

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