松江 豊寿(まつえ とよひさ、1872年7月11日明治5年6月6日[2])- 1956年昭和31年)5月21日[2])は、日本の陸軍軍人政治家。最終階級は陸軍少将。第9代若松市長

松江 豊寿
生誕 1872年7月11日
福島県若松市
死没 (1956-05-21) 1956年5月21日(83歳没)
東京都狛江市
所属組織  大日本帝国陸軍
軍歴 1894 - 1922
最終階級 陸軍少将
除隊後 若松市長
稚松会評議員[1]
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第一次世界大戦中に板東俘虜収容所所長を務め、在任中にドイツ人俘虜を人道的に扱い地元の住民とドイツ人俘虜を交流させた。この時、ドイツ人俘虜によって日本で初めてベートーベン交響曲第9番が演奏された。映画『バルトの楽園』の主人公としても知られる。

経歴

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1872年6月に現在の会津若松市会津藩士警察官・松江久平の長男として生まれる。1889年(明治22年)16歳の時に仙台陸軍地方幼年学校に入校し、1892年(明治25年)には陸軍士官学校(5期)に進んだ。1894年(明治27年)、22歳で陸軍歩兵少尉に任官。日清戦争日露戦争に出征。

1904年(明治37年)、韓国駐剳軍司令官長谷川好道大将副官を務めた。1907年(明治40年)、陸軍歩兵少佐に進級して歩兵第67連隊(浜松)附。1908年(明治41年)、歩兵第67連隊大隊長。1911年(明治44年)、第7師団副官。1914年大正3年)1月、陸軍歩兵中佐に進級して歩兵第62連隊(徳島)附となる。

俘虜収容所長時代

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同年7月に第一次世界大戦が勃発。青島の戦いで日本軍に降伏したドイツ軍俘虜は、徳島や大阪など全国12ヶ所の収容所へ振り分けられた。それと同時に松江は同年12月徳島俘虜収容所長に任命される。1917年には12ヶ所の収容所が板東など6ヶ所にまとめられ、同年4月に板東俘虜収容所長となる。ここにおいて松江はドイツ人の俘虜達に人道に基づいた待遇で彼らに接し、可能な限り自由な様々な活動を許した。賊軍としての悲哀を味わった会津藩士の子弟に生まれた体験が、大きく彼の良心的な人格形成に影響したといわれる。

また、付近の人達と俘虜との交流や技術指導も盛んに行われ養鶏・養豚・野菜栽培から建築・設計まで広い分野で交流が行われたと言う。

1920年4月、第一次大戦終了に伴い板東俘虜収容所は閉鎖された。だが、俘虜たちは解放された後もここで受けた温かい扱いを忘れず「世界のどこに松江のような(素晴しい)俘虜収容所長がいただろうか」と語るほどだったと言う。

その後

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1922年2月、陸軍少将に進級すると同時に待命となり、予備役に編入された松江は、同年12月に第9代若松市長となる。若松市長を退任後、三六倶楽部常務理事を務めた。稚松会評議員。1947年(昭和22年)11月28日、公職追放仮指定を受けた[3]

1956年5月に東京都狛江市の自宅で死去。

板東俘虜収容所でのベートーヴェン交響曲第9番初演から100周年となる2018年6月に、鳴門市ドイツ館前に松江の銅像が建立された[4][5]

2018年秋、福島県会津若松市の會津風雅堂前に記念碑が建立された[6]。2023年11月には記念碑で開催された献花祭に元ドイツ大統領のクリスティアン・ヴルフが来賓として招待され花を手向けた[6]

年譜

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栄典

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親族

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出典

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  1. ^ 『稚松会名簿』1937年12月
  2. ^ a b 『全国歴代知事・市長総覧』日外アソシエーツ、2022年、59頁。
  3. ^ 総理庁官房監査課編『公職追放に関する覚書該当者名簿』日比谷政経会、1949年、「昭和二十二年十一月二十八日 仮指定者」84頁。
  4. ^ “日独結ぶ、友愛の絆 収容所史実、次世代につなぐ 鳴門で記念式典”. 毎日新聞. (2018年6月2日). https://mainichi.jp/articles/20180602/ddl/k36/040/473000c 2018年6月5日閲覧。 
  5. ^ “捕虜収容所長の銅像除幕=第1次大戦で人道的措置-徳島”. 時事通信. (2018年6月1日). https://web.archive.org/web/20180612141803/https://www.jiji.com/jc/article?k=2018060101289&g=soc 
  6. ^ a b 松江豊寿の記念碑に花を手向ける ドイツのクリスチャン・ウルフ元大統領”. 福島民報 (2023年11月15日). 2023年11月15日閲覧。
  7. ^ 『官報』第703号、大正3年12月4日。
  8. ^ 『官報』第1405号、大正6年4月11日。
  9. ^ 『官報』第3401号「叙任及辞令」1894年10月27日。

参考文献

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  • 横田新『板東俘虜収容所長松江豊寿』歴史春秋出版、1993年。
  • 秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。

関連項目

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