放送持株会社
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概要
編集これまで放送局においては同一企業による複数の放送局の支配を防ぐため、総務省が「マスメディア集中排除原則」を定めていた。しかし、地上デジタル放送の開始に伴い多額な設備投資が迫られたことなどから、特に地方局では資金調達に苦しむことが常態化しつつあった。こうした経営基盤強化のために集中排除原則を緩和し放送事業者にも資金調達能力の高い持株会社制度を認めるというものである。
具体的には
- 純粋持株会社の下に傘下となる放送局がぶら下がる形となり、キー局及び同一ネットワーク系列局が傘下企業となる。
- 純粋持株会社の下に傘下となる放送局がぶら下がり、さらに、それまでいち放送局の子会社並びに関連会社・団体として扱っていた(関連)会社等が、(新たに設置する)放送事業専業の新子会社と同列に傘下企業となる。
の2通りがある。
また、放送局という公共的にも影響を持つメディア企業であることから、特定の株主からの影響をできる限り排除し言論の多様性を確保するために株主の株式保有比率を20%未満に制限することが検討されている。これにより単独の企業や投資家による経営支配や言論の制限を排除できるのみならず放送局の外部からの買収をも阻止できることになる。
放送法の改正
編集総務省では、2006年10月に行政法学者の塩野宏(東京大学名誉教授)を中心に取りまとめられたデジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会の最終報告[1] を受け、2007年度に放送持株会社を解禁する方針で2007年4月6日に放送法改正案が閣議決定された。当初は2007年の通常国会での改正案成立を目指すことにしていたが会期の関係上、通常国会での成立は見送られ、継続審議の結果2007年12月21日に臨時国会で成立、2008年4月1日に施行された。
この改正放送法では放送持株会社について「認定放送持株会社」としての設立を認め、また持株会社に対する一株主の出資比率を10%以上3分の1未満規定(ただし実際の出資比率は総務省令によって定められる)する条項が盛り込まれている(放送法第164条第2項)。
また、総務省令の中で持株会社の傘下に入る地上波放送局の数は放送の多様性や地域性を尊重するため最大12局に限定する。ただし、極端な一極集中を防ぐため、原則エリア1都道府県につき1局としてカウントする。このため広域局については、在京キー局は7局相当、在阪準キー局は6局相当、在名局は3局相当となる。放送エリアが重複する放送局を複数持つことはできない。また、地上波とは別に、BS放送局を1局まで、CS放送局をトランスポンダ2個分(SDで12ch相当)まで持つことができる。
各民放の動向
編集放送法が改正・施行され放送持株会社が解禁された後、まず在京の民放キー局が持株会社制導入に向けて動いた。以下、一覧として表すと共に、実施された順に述べる。
フジテレビジョン(フジ・メディア・ホールディングス)
編集在京局の中で最初に具体化し、実現したのがフジテレビである。既にフジサンケイグループの事業持株会社になっており、放送持株会社の解禁を視野に入れ、グループ企業の再編や子会社資本の同局本体への集約などを行っていた。
2007年6月8日には、同年中に持株会社制への移行を検討し、移行後は持株会社の傘下に事業会社として新たに分社設立する新生フジテレビをはじめ、産経新聞社やニッポン放送などフジサンケイグループの企業を置く体制を作るため、グループ各社と調整を行っていることが報じられた[注 7]。
2008年3月13日には、同年10月1日付で当時の株式会社フジテレビジョンを「株式会社フジ・メディア・ホールディングス」に商号変更、地上波テレビジョン放送事業をはじめとする現業一切を新設会社たる完全子会社「(新)フジテレビジョン[注 8]」に放送免許共々承継し、持株会社傘下に納める形で放送持株会社制への移行を行うことが発表された。6月27日に行われた株主総会で移行が承認され、9月3日に総務大臣から放送持株会社の認定を受け、10月1日に認定放送持株会社に移行した。
その後、フジ・メディア・ホールディングスは2011年4月に株式交換により関連会社であったBSフジを完全子会社化したほか、2016年12月には持分法適用関連会社であった系列局の仙台放送を連結子会社にしており、在京キー局から転換した放送持株会社が系列地方局を子会社化した初の事例となった[2]。
東京放送(東京放送ホールディングス→TBSホールディングス)
編集実施ではフジテレビに先を越されたものの、最初に具体化の検討をしていたのは東京放送だった。
2006年8月の時点で持株会社制への2007年秋での移行を検討していると報じられていた。これは、以下の考えがあるからとみられている。
- 東京放送がTBSテレビ(テレビ制作部門。法人格としてはTBSライブ・TBSスポーツを合併した元TBSエンタテインメント)・TBSラジオ(ラジオ放送部門。設立・移行時はTBSラジオ&コミュニケーションズ、2001年に中波放送の免許を東京放送から承継してラジオ番組製作会社からラジオ放送事業者に転換済み、2016年現商号に変更)を2000年に分社化し、2004年にはテレビ放送事業をTBSテレビに業務委託した事から、後は東京放送に残っているテレビ放送免許をTBSテレビに承継させ放送事業者に転換させることで容易に持株会社制へと移行できる。
- JNN系列局を傘下にする事で地方局のデジタル化負担を軽減するとともに、系列局との連携の緊密化や効率的なグループ経営を可能にできる。
認定放送持株会社になれば、放送法の規定により株式保有比率の制限も適用されるため、当時東京放送の発行済株式19%超を保有していた楽天に対しても、追加の株保有を阻止する事が可能となり、強力な牽制が可能となることも要因と見られていた。
2007年12月31日にはその方針案を固めており、2008年11月5日に取締役会で移行を決議、同年12月16日に開催された臨時株主総会で賛成多数にて承認、2009年3月12日に総務大臣の認定を受け、同年4月1日に地上波テレビ放送免許をTBSテレビに承継しTBSテレビはテレビ番組製作会社からテレビ放送事業者に転換[注 9]、東京放送は商号を「株式会社東京放送ホールディングス」に変更し放送持株会社制に移行した。なお移行に反対した筆頭株主である楽天は、2009年3月31日、会社法第785条に基づいて「反対株主の株式買取請求権」を行使、東京放送に対して同社が保有する全ての東京放送株の買取を請求した。
その後、東京放送ホールディングスは2015年4月に連結子会社であったBS-TBSを株式交換により完全子会社化している。
2020年10月1日をもって、商号を「株式会社東京放送ホールディングス」から、これまで通称として用いてきた「株式会社TBSホールディングス」に変更した[3]。これにより、「東京放送」の名がTBSテレビの英文社名「TOKYO BROADCASTING SYSTEM TELEVISION, INC.」と自社の健康保険組合「東京放送健康保険組合」等を残し消滅した。
テレビ東京(テレビ東京ホールディングス)
編集テレビ東京は、現時点で系列局が6局しかないこと、主要局で株持ち合いを実施していること、系列局のうち筆頭株主に地元紙である山陽新聞の資本が入っているテレビせとうちを除く4局全てが日本経済新聞グループ本体の持分法適用会社であることなどから、長い間この制度について特に言及してこなかった。
しかし、2010年3月26日にテレビ東京、BSジャパン(現:BSテレビ東京)、テレビ東京ブロードバンド(現:テレビ東京コミュニケーションズ)と経営統合し持株会社制へと移行すると発表、同年10月1日に共同持株会社「株式会社テレビ東京ホールディングス」を設立した[4]。既存法人の商号を変更し、放送事業を分割して持株会社とした他局と異なり、株式移転により持株会社の法人を新設する形は初の事例であり、かつ2019年10月時点では唯一の事例でもある。したがってテレビ東京ホールディングス自体には後にも先にも特定地上基幹放送事業者や日本民間放送連盟会員だった時期が無く、同時にテレビ東京自体も日経の持分法が適用されなくなった。
さらに持株会社制移行後に日経新聞系CS放送局の日経CNBCもテレビ東京ホールディングス傘下に加える事を検討[5]、2011年1月12日付で、日本経済新聞社から株式の一部を取得するとともにテレビ東京より株式の現物配当を受けることにより、持分法適用関連会社とした[6]。2021年8月31日にはアニメ専門チャンネル「アニメシアターX(AT-X)」を運営する連結子会社のエー・ティー・エックスの株式のうち、グループ外企業保有分をテレビ東京が追加取得したことで、テレビ東京メディアネット保有分と合わせてテレビ東京グループが全保有し、これによりテレビ東京ホールディングスの完全子会社となった[7]。
なお、首都圏の一部を放送対象地域とした外国語放送局であるエフエムインターウェーブ(現:InterFM897)を一時期テレビ東京の子会社としていたが、2012年6月20日に木下グループに全株式を売却しグループから外れている(2020年よりジャパンエフエムネットワーク等が出資し、エフエム東京の関連会社となっている)。
日本テレビ放送網(日本テレビホールディングス)
編集日本初の民放テレビ局である日本テレビ放送網(日本テレビ)は在京キー局の中で最も消極的で、2008年3月に行われた定例会見で久保伸太郎社長(当時)が「現時点で必要ない」と消極的な姿勢を表明していた。しかし、2012年3月29日、同年10月1日をもって、BS日本とCS日本を株式交換で経営統合を行い、同時に4月設立する100%子会社の分割準備会社[注 10] を設立した上で、分割準備会社に放送事業を引き継ぐことを取締役会で決議した[8]。4月26日に現業を引き継ぐための分割準備会社を設立し[9]、6月28日に行われた株主総会にて賛成多数にて承認された[10]。9月12日に認定放送持株会社の認定を受けたことにより[11]、10月1日に、BS日本とシーエス日本は株式交換により完全子会社化され、分割準備会社は「(新)日本テレビ放送網」に商号変更し、日本テレビ放送網は「日本テレビホールディングス株式会社」に商号変更、認定放送持株会社に移行した[12]。
中部日本放送
編集日本最古の民放である中部日本放送は、2013年4月1日に免許を含めたラジオ事業を子会社のCBCラジオ(旧テクノビジョン。承継時にTBSラジオと同様ラジオ番組製作会社からラジオ放送事業者に転換)に移したが[13]、同年5月10日に在京民放以外で初となる認定放送持株会社に2014年4月1日から移行することを発表した[14]。2014年3月17日に総務大臣から認定を受けたことにより、同年4月1日に地方局では初の放送持株会社が誕生した。これにより中京広域圏のラテ兼営民放局が岐阜放送(ぎふチャン)[注 11] のみとなった。なお、持株会社への移行に際してはテレビ事業を分割準備会社へ吸収分割(同時に「CBCテレビ」に商号変更)する形を取ったが、持株会社の商号は「ホールディングス」などの呼称を付けず「中部日本放送株式会社」の名称を維持し続けている。
テレビ朝日(テレビ朝日ホールディングス)
編集テレビ朝日に限らずテレビ朝日系列局は朝日新聞社の傘下にあり、他の系列に比べ新聞資本による結束が特に強い。これに加え、放送法令における出資制限の規定のため、33.85%のテレ朝株を持つ朝日新聞社の影響力が削がれてしまう関係上、踏み切れない状況であった[15]。
2008年6月6日、テレビ朝日が朝日新聞社の株式11.8%を取得、朝日新聞社も持ち合いによる議決権の相殺を防ぐため保有株式を25%未満に下げることが発表された[注 12]。当初は情報通信メディアとの提携も視野においているものの、放送持株会社については発表されていなかった[16]。
しかし、2013年7月31日にテレビ朝日とBS朝日の両社が、2014年4月1日を以って、テレビ朝日の吸収分割とテレビ朝日とBS朝日との間での株式交換を同時に行い、テレビ朝日を認定放送持株会社に移行することについて基本的合意に達し、テレビ朝日とBS朝日の両社の取締役会で決議の上、両社との間で「基本合意書」を締結したことを発表した[17]。
2014年4月1日、分割準備会社に放送事業を引き継ぎ(同日付で分割準備会社は「(新)テレビ朝日」に商号変更)、テレビ朝日は、商号を「株式会社テレビ朝日ホールディングス」に変更し、認定放送持株会社に移行した。テレビ朝日の持株会社体制への移行により在京キー局5社が全て持株会社体制へ移行することとなった。
その後、テレビ朝日ホールディングスは2017年3月に静岡朝日テレビ、東日本放送、福島放送の3社、同年10月に青森朝日放送、山形テレビ、長野朝日放送の3社、2018年3月に秋田朝日放送、新潟テレビ21の2社、2019年3月に岩手朝日テレビと、系列局を続けて持分法適用関連会社にしている[18][19][20][21]。
RKB毎日放送(RKB毎日ホールディングス)
編集九州及び福岡県最古の民放局であるRKB毎日放送(RKB)は、2015年9月29日に2016年4月1日を以って商号を「株式会社RKB毎日ホールディングス」に変更、会社分割により全国で7番目、系列局では3番目、西日本かつ県域放送では初となる認定放送持株会社体制に移行すると発表した[22][23][24]。放送事業は分割準備会社であるRKB毎日分割準備が改称する「(新)RKB毎日放送」が継承、RKB映画社などの子会社と共に持株会社の傘下になったが、テレビ・ラジオを分社化したTBSホールディングス・中部日本放送、2021年4月に分社化を実現したMBSメディアホールディングスとは異なり、テレビ放送事業とラジオ放送事業は分離せず引き続きラテ兼営を継続している。
毎日放送(MBSメディアホールディングス)
編集中部日本放送(CBC)同様最古の民放局である毎日放送(MBS)は、2016年7月28日に2017年4月1日を以って商号を「株式会社MBSメディアホールディングス」に変更、全国で8番目、系列局では4番目、在阪局かつ未上場の放送局では初となる認定放送持株会社体制に移行すると発表した[25]。2017年2月8日に総務省から認定の答申を受け[26][27]、放送事業は分割準備会社である毎日放送分割準備が改称する「(新)毎日放送」が継承した。
放送持株会社体制移行後も「ラテ兼営によるシナジーを生み出すことが大事である」と、放送事業はRKB毎日放送・RSK山陽放送と同様にラテ兼営を継続していた。だが、発足後3年経ち、「ラジオが存続するためには迅速な経営判断と機動的な業務執行が必要で、自主独立することで新たなビジネスも行える」「会社が別でもグループ内なら(事実上の兼営によって)シナジーは生み出せる」と判断、2020年5月28日にラジオ事業の分社を発表するとともにMBSメディアホールディングス100%出資でラジオ部門の分割準備会社を設立。2021年4月1日[注 13]に毎日放送から吸収分割でラジオ事業を分社し商号を「MBSラジオ」にして事業を開始、毎日放送は商号を維持したままテレビ単営局に移行した[28][29][30]。これによりJNN系列ではTBSホールディングス・中部日本放送、在阪局では朝日放送グループホールディングスに続く形でテレビ・ラジオ分社体制に移行することになり、近畿広域圏のラテ兼営民放局は京都放送(KBS京都)[注 14]のみとなった(在阪の兼営局は消滅)。
朝日放送(朝日放送グループホールディングス)
編集中部日本放送(CBC)や毎日放送(MBS)に次いで3番目に古い民放局かつ、西日本では最初に開局した民間テレビ局である大阪テレビ放送を源流の一つに持つ、在阪準キー局の朝日放送(ABC)は、2017年2月8日に商号を「朝日放送グループホールディングス株式会社」に変更、全国で9番目、系列局では2番目、在阪準キー局では2番目、上場民放局では8番目となる認定放送持株会社体制に移行すると発表[31][32][33][34]、2018年2月7日に総務省から認定の答申を受け、2018年4月1日に認定放送持株会社に移行した。
同時にテレビ放送を「朝日放送テレビ(ABCテレビ)」、ラジオ放送を「朝日放送ラジオ(ABCラジオ)」に、それぞれ分割(ラテ兼営だったのをそれぞれの事業ごとに会社分割。TBSホールディングスや中部日本放送と同等の方法)し準備会社が商号変更した上で承継した。テレビとラジオの放送事業をそれぞれの“準備会社”が“同時”に承継するスキームは初(前述の通り、TBSラジオ・テレビとCBCラジオは既存子会社の事業転換のうえ、ラジオ分社化とテレビ分社化に時間差がある)となる。また、テレビ・ラジオ事業会社の商号は略称(ABC)を使用せずに正式名称の「朝日放送」を使用している。朝日放送の認定放送持株会社移行に伴い、ラテ兼営のテレビ朝日系列局は九州朝日放送のみ(クロスネット局を含めても福井放送との2局のみ)になった。
山陽放送(RSKホールディングス)
編集岡山県・香川県でテレビ放送を、岡山県でラジオ放送をそれぞれ行う山陽放送(RSK)は2018年5月25日、2019年4月1日に商号を「RSKホールディングス株式会社」に変更、全国で10番目、JNN系列局では5番目、未上場民放局では2番目、東京・名古屋・大阪・福岡・北海道の基幹局以外の放送局では初となる、認定放送持株会社体制に移行すると発表した[35]。放送事業は分割準備会社である山陽放送分割準備が改称する「RSK山陽放送」(略称を冠する社名はJNN系列局ではRKB毎日放送・IBC岩手放送に次いで3局目)が継承し、両子会社のRSKプロビジョン・RSKサービス[注 15]と共に持株会社の傘下になるが、テレビ・ラジオを分社化したTBSホールディングス・中部日本放送、2021年4月に分社化を実現したMBSメディアホールディングスとは異なり、RKB毎日ホールディングスと同様にラテ兼営を継続する。
その後、香川県高松市一帯を放送エリアとするエフエム高松コミュニティ放送を子会社化した[36]。これまでコミュニティ放送事業者を関連会社とする事例は見られたが、子会社化は初めての事例となる。
九州朝日放送(KBCグループホールディングス)
編集RKB毎日放送に続く福岡県で2番目の民放局である九州朝日放送(KBC)は、2022年3月25日に2023年4月1日を以って商号を「KBCグループホールディングス株式会社」に変更、会社分割により全国で11番目、系列局ならびに未上場民放局では3番目、福岡県では2番目となる認定放送持株会社体制に移行すると発表した[37]。
放送事業は2022年4月1日に発足する九州朝日放送分割準備会社株式会社が改称する「(新)九州朝日放送」が継承、KBC UNIEやKBC MoooV[注 16]などの子会社と共に持株会社の傘下となる。テレビ・ラジオを分社化した朝日放送グループホールディングスとは異なり、同じ福岡県内のRKB毎日放送と同様にテレビ放送事業とラジオ放送事業は分離せずラテ兼営を継続する。また、持株会社移行と同時にステーションロゴ(キャラクター含む)を変更しており、こうした事案は初の事例となる。
新潟放送(BSNメディアホールディングス)
編集新潟県初の民放局である新潟放送(BSN)は、2022年7月29日に商号を「株式会社BSNメディアホールディングス」に変更した上で、会社分割により全国で12番目、JNN系列局では6番目、東京・名古屋・大阪・福岡・北海道の基幹局以外の放送局では2番目、上場企業では9番目、新潟県および民放4局県では初となる認定放送持株会社体制に移行すると発表した[38]。新潟放送の持株会社化により、株式市場に上場していた特定地上基幹放送事業者は全て放送持株会社体制に移行することになる。当初は2023年4月1日をもって商号変更と体制移行を予定していたが、総務省からの許認可が同年3月時点で得られていないため、移行日を6月1日に変更[39]、同日付で移行した。
放送事業は2022年9月5日に発足の株式会社新潟放送分割準備会社が改称する「(新)新潟放送」が継承し、BSNアイネットやBSNウェーブなどの子会社と共に持株会社の傘下となる。テレビ・ラジオを分社化したTBSホールディングス・中部日本放送・朝日放送グループホールディングス・MBSメディアホールディングスとは異なり、RKB毎日ホールディングス・RSKホールディングス・KBCグループホールディングスと同様にラテ兼営を継続する。
札幌テレビ放送・中京テレビ放送・讀賣テレビ放送・福岡放送(読売中京FSホールディングス)
編集日本テレビ系列の基幹局である札幌テレビ放送・中京テレビ放送・讀賣テレビ放送・福岡放送の4局は2024年11月29日に経営統合を発表、共同株式移転方式で持株会社「読売中京FSホールディングス株式会社(FYCS〈フィックス〉ホールディングス)」を2025年4月1日付で設立する予定となっている。株式移転方式での持株会社設立はテレビ東京ホールディングスについで2例目で、同一系列の基幹局同士、かつ広域圏の局を複数傘下に収めての経営統合は初の事例となる。FYCSホールディングス設立後は日本テレビホールディングスの持分法適用会社となり、FYCSホールディングスが地域や放送局の枠組みを超えた連携を担い、傘下4局はそれぞれ地域情報を発信する中核企業として地方創生に取り組むとしている[40][41]。
脚注
編集注釈
編集- ^ a b 発足当時の商号は「東京放送ホールディングス」。2020年10月1日付で現商号に変更。
- ^ a b 他の放送会社と異なり、株式移転による新設。
- ^ 2012年6月12日まではエフエムインターウェーブ(現InterFM897)が傘下にあった。
- ^ 日本テレビホールディングスが株式を96.4%保有しているが、非連結子会社扱いとなっている。
- ^ 持株会社体制発足時は毎日放送によるラテ兼営。2021年4月1日にラジオ事業会社として分割設立。
- ^ RSKホールディングスが55.3%の議決権を有しているが、非連結子会社扱いとなっている。
- ^ 一部系列局を除く。
- ^ 後発5局と違い、移行のための分割準備会社は設立しなかった。
- ^ 東京放送が使用していた「TBS」の略称もTBSテレビが承継した。
- ^ 移行の前提となる分割準備会社の設立は初めて。
- ^ テレビ・ラジオ共に岐阜県を放送エリアとする独立局。
- ^ なお、同局の主要株主である朝日新聞社および東映の持分法適用会社(会社法等における「その他関係会社」)に該当することに変わりはないものとみている。
- ^ 当初は開局70周年に当たる同年10月1日に予定していたのを前倒ししている。
- ^ 放送エリア・ネットワークは、テレビは京都府を対象とした独立局、ラジオは京都府・滋賀県を対象としたNRN系列局となっている。
- ^ 旧・山陽放送サービス。RSKホールディングスの傘下となった2019年4月1日に商号変更。
- ^ それぞれ旧ケービーシーメディアとケイ・ビー・シー映像。KBCグループホールディングスの傘下となった2023年4月1日に商号変更。あわせて旧ケービーシーメディアのラジオ番組制作事業をKBC MoooVに移管した
出典
編集- ^ 「デジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会」最終報告の公表,総務省,2006年10月6日
- ^ 株式会社仙台放送の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ,株式会社フジ・メディア・ホールディングス,2016年11月30日
- ^ 商号の変更及び定款の一部変更に関するお知らせ 東京放送ホールディングス 2020年5月14日
- ^ “テレビ東京グループも認定放送持株会社体制に移行へ、10月に新会社設立”. IT pro (日経BP社). (2010年3月26日) 2011年11月5日閲覧。
- ^ “島田社長4月定例会見”. 株式会社テレビ東京(2010年4月23日作成). 2019年12月25日閲覧。
- ^ 株式会社日経シー・エヌ・ビー・シーの株式取得(持分法適用関連会社化)に関するお知らせ - テレビ東京ホールディングス 2010年12月22日
- ^ テレビ東京グループ、AT-Xを完全子会社化,AV Watch,2021年8月31日
- ^ 日本テレビ放送網株式会社、株式会社BS日本及び株式会社シーエス日本などの認定放送持株会社への移行(会社分割、簡易株式交換及び商号変更)による経営統合に関する基本合意書の締結並びに日本テレビ放送網株式会社の子会社(分割準備会社)の設立についてのお知らせ
- ^ 日本テレビ放送網株式会社、株式会社BS日本及び株式会社シーエス日本の 認定放送持株会社体制への移行に関する統合契約、吸収分割契約及び株式交換契約の締結についてのお知らせ 日本テレビ放送網・BS日本・シーエス日本共同ニュースリリース(2012年5月10日)2019年2月16日閲覧
- ^ 第79期定期株主総会についてのご報告 日テレ企業・IR情報プレスリリース(2012年6月28日)2019年2月16日閲覧
- ^ 認定放送持株会社の認定 総務省・報道資料(平成24年9月12日)2019年2月16日閲覧
- ^ 認定放送持株会社「日本テレビホールディングス」への移行についてのお知らせ 日本テレビホールディングスごあいさつ(平成24年10月1日)2019年2月16日閲覧
- ^ 『簡易吸収分割によるラジオ事業再編に関するお知らせ』(PDF)(プレスリリース)中部日本放送、2013年1月17日 。2013年1月18日閲覧。
- ^ 『認定放送持株会社体制への移行並びに吸収分割契約の締結及び分割準備子会社の設立に関するお知らせ』(PDF)(プレスリリース)中部日本放送、2013年5月10日 。2013年5月11日閲覧。
- ^ 「持株会社へ踏み切るフジ・TBS、踏み切れないテレ朝」 - ダイヤモンド・オンライン 2008年3月21日[リンク切れ]
- ^ テレ朝が朝日新聞の大株主に - MSN産経ニュース 2008年6月6日
- ^ “認定放送持株会社体制への移行に向けた、会社分割および簡易株式交換に係る基本合意書の締結、子会社の設立並びに商号変更に関するお知らせ” (PDF). テレビ朝日・BS朝日 (2013年7月31日). 2013年10月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年7月31日閲覧。
- ^ 株式の取得(持分法適用関連会社化)に関するお知らせ,2017年10月6日,テレビ朝日ホールディングス
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- ^ 認定放送持株会社体制への移行並びに吸収分割契約の締結および子会社(分割準備会社)の設立に関するお知らせ,RKB毎日放送,2015年9月29日
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- ^ 認定放送持株会社の認定等,総務省,2017年2月8日
- ^ 認定放送持株会社の認定の取得に関するお知らせ,毎日放送,2017年2月8日
- ^ 毎日放送が2021年10月にラジオを分社化,日経クロステック/日経ニューメディア,2020年5月28日
- ^ 社長記者会見を書面で開催しました,毎日放送,2020年8月26日
- ^ 『社長記者会見をオンラインで開催しました』(PDF)(プレスリリース)株式会社MBSメディアホールディングス、2021年1月20日 。2021年1月20日閲覧。
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- ^ 朝日放送、持株会社に移行へ テレビとラジオを分割,朝日新聞デジタル,2017年2月8日
- ^ 毎日放送に続き…朝日放送、来年4月から持株会社に 在阪2局目、全国9番目,産経WEST,2017年2月8日
- ^ 朝日放送、持株会社に,日本経済新聞,2017年2月9日
- ^ “山陽放送 吸収分割の決定(臨時報告書)”. IR BANK (2018年5月25日). 2018年5月26日閲覧。
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- ^ 新潟放送(BSN)、持株会社移行を6月1日に変更,新潟日報デジタルプラス,2023年3月19日
- ^ 日テレ系列4社が経営統合、持ち株会社「読売中京FSホールディングス」設立へ,読売新聞,2024年11月29日
- ^ 日本テレビ系列4社が経営統合 持株会社「FYCSホールディングス」設立へ,日テレNEWS NNN,2024年11月29日
関連項目
編集- メディア・コングロマリット
- 放送利権
- 県域放送
- 広域放送
- 情報格差
- 関連する総務省令
- 放送局に係る表現の自由享有基準の認定放送持株会社の子会社に関する特例を定める省令(2008年制定・施行、2011年廃止)
- 基幹放送の業務に係る表現の自由享有基準に関する省令の認定放送持株会社の子会社に関する特例を定める省令(2011年制定・施行、2015年廃止)
- 基幹放送の業務に係る特定役員及び支配関係の定義並びに表現の自由享有基準の特例に関する省令(2015年制定・施行)