夏 夕介(なつ ゆうすけ、1950年10月30日[1][2][3] - 2010年1月27日[4])は、日本俳優。本名、田浦 久幸(たうら ひさゆき)[1][2]身長175cm、体重76kg[5]血液型はO型[6]。妻は元女優の伊藤めぐみ[7]。長女は元宝塚歌劇団宙組娘役・愛花ちさき[8]

なつ ゆうすけ
夏 夕介
本名 田浦 久幸(たうら ひさゆき)
別名義 田浦 幸(旧芸名)
生年月日 (1950-10-30) 1950年10月30日
没年月日 (2010-01-27) 2010年1月27日(59歳没)
出生地 日本の旗 日本熊本県荒尾市
死没地 日本の旗 日本東京都
身長 175 cm
血液型 O型
職業 俳優歌手ミュージシャン
活動期間 1969年 - 2009年
活動内容 1969年オックス
1970年:俳優デビュー
2000年:劇団シアタージャパン旗揚げ
配偶者 伊藤めぐみ
著名な家族 愛花ちさき(長女)
主な作品
映画
『愛のなぎさ』
野性の証明
極道の妻たちII
花の降る午後
テレビドラマ
突撃! ヒューマン!!
純愛山河 愛と誠
宇宙鉄人キョーダイン
人はそれをスキャンダルという
河原町東入ル
特捜最前線
舞台
『Blue Plate Special カルテの裏側』
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大阪府出身[9]。出生地は熊本県[3]荒尾市[1][2]。千葉市立松ヶ丘小学校、高石市立高石中学校を経て、大阪府立泉大津高等学校卒業[1][2]

来歴

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大阪のバンド「グランプリーズ」でオルガンを担当していた[10]1969年春に高校卒業後は、グランプリーズのヴォーカルとして活動していた和田アキ子のプロデビューをきっかけに上京[1]。和田の所属事務所であるホリプロよりルックスの良さを買われ、同年5月に脱退した赤松愛の後を引き継ぐ形で、当時人気絶頂だったグループ・サウンズオックス」に「田浦 幸(たうら ゆき)」の芸名で参加[2]。加入した直後は、赤松愛のファンから「愛ちゃん返せ」の野次が飛び、彼は精神的にきつい時期を過ごした。

1970年「オックス」在籍中に芸名を「夏夕介」に改め、ソロ歌手として「涙が燃えて」でデビュー、同時に俳優業に進出し『野良猫ロック・ワイルド・ジャンボ』で映画デビュー。1971年、5月末をもってオックスが解散。テレビドラマ美人はいかが?』などに出演する傍ら、劇団NLTの研修生となる[10][11]。1972年、10月から12月にわたり放送されたステージショー形式の異色のヒーロー番組『突撃! ヒューマン!!』(日本テレビ系)で主役・岩城淳一郎役に抜擢ばってきされた。

1974年、『ラブラブライバル』(TBS系)では、脇に回り、コミカルな演技をこなした。ドラマの代表作は、梶原一騎原作の人気コミックのドラマ化作品『純愛山河・愛と誠』(東京12チャンネル - 現・テレビ東京)で、主役・太賀誠役として本作がデビュー作の池上季実子と共演した[12]

1976年、『愛のなぎさ』(監督:根本順善、東宝)で映画初主演を果たす。同年『宇宙鉄人キョーダイン』(毎日放送 - TBS系)では再びヒーロー役を演じた。『赤い絆』(TBS)、『人はそれをスキャンダルという』(TBS)などのテレビドラマ出演を経て、1980年より『特捜最前線』(テレビ朝日)に、叶旬一刑事役で出演。1987年まで7年間レギュラー出演した[3][2]

その後、ラムゼイ・ハント症候群を発病。顔面神経麻痺などの症状から、しばらく表舞台から姿を消していたものの、これを克服し「劇団シアタージャパン」の俳優代表として活躍した[7]

2010年1月27日、胃がんのため東京都内の病院で死去[4]。59歳没。

人物・エピソード

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『宇宙鉄人キョーダイン』では、当初は回想シーンと顔だけの出演だった。特に顔だけの演技をする際、どうやって演じたらいいか非常に迷ったという[13]。途中からはスカイゼルの中から出られるようになりアクションシーンが増えたが、学生のころに器械体操をやっていたため難なくこなすことができた[13]

妻の伊藤めぐみとは、『特捜最前線』での共演がきっかけで結婚。長女の愛花ちさきは、『特捜最前線』第414話「少年はなぜ母を殺したか!」の撮影中に生まれたが、撮影が夜まで長引いたため、撮影後に病院まで直行している[3]

『特捜最前線』にはレギュラー入りする以前に数回ゲスト出演している。犯人役で出演した第133話「六法全書を抱えた狼!」は、別な俳優が辞退したため回ってきた役で、台本を読んで面白いと感じたと述べている[14]。『特捜最前線』出演中は、基本的に掛け持ちができなかったため、集中できてよかったという。また、出演中に本職の警察官から、指紋の取り方や調書の書き方を教えてもらったことがある[7]。133話は「レイプ魔の弁護士」の役でオファーされた俳優が「こんな酷い役は嫌だ」と断ったが、夏には「なんでこんな良い役を拒否するのか?(犯人役)」と役者として理解出来なかったらしい。実はこの回が夏の『特捜』へのレギュラー刑事のテストだったのは後日知らされた。

夏の訃報は芸能関係者に衝撃を与えた。オックスのヴォーカルだった真木ひでとは自らのブログで「田浦(夏の本名)のことは書けない……」とショックを隠さず、『特捜最前線』で長く共演した横光克彦は「彼(夏)は『もう一回、同じメンバーで(特捜最前線を)やりたいね』って言ってたのに…… ショックです」とスポーツニッポンの取材に応えて故人をしのんだ[15]。特捜最前線のDVD発売のインタビューシーンで初めて夏の役者以外の生のインタビューでの声で「私は『特捜最前線』のファンでレギュラー刑事になるのが夢でしたが、(参列してくれてる)荒木しげるさん(夏と同じく『仮面ライダーストロンガー』や『超神ビビューン』の主演の特撮ではお馴染みの俳優)が降板してくれたお陰でレギュラーとなれました」と荒木本人の前で語っている。

趣味は、アクアラング[16]。特技は、射撃空手[17][10]。『特捜最前線』出演中にアマチュア無線の免許を取得している[7]

出演

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テレビドラマ

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映画

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オリジナルビデオ

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舞台

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  • 第3回百恵ちゃんまつり / 第一部・ミュージカル 『蜘蛛の里』(1977年、ホリプロ=コマスタジアム) - 光
  • 第4回百恵ちゃんまつり / 第一部・ミュージカル 『愛の鐘は鳴らない』(1978年、ホリプロ=コマスタジアム) - 健
  • カラミティー・ジェーン(1991年、博品館劇場) - ワイルド・ビル・ヒコック
  • I Do! I Do!(1996年、三生社) - マイケル
  • 友情 〜秋桜のバラード〜(2004年、TBS=劇団絵生)
  • シアタージャパン公演
    • Blue Plate Special カルテの裏側(2000年・2001年・2004年)
    • オーカッサンとニコレット(2000年)
    • HAND in HAND 〜心と心の回想録〜(2001年)
    • ミヌース(2002年)
    • HAND in HAND 〜心と心の回想録〜(2002年・2003年)
    • ホルストメール〜ある馬の物語(2006年)
    • 涙のオークション(2007年)
    • アメリカンドリーム(2007年)
    • Heart 〜思い出してあの時を〜(2008年)
    • 夏夕介クリスマスショー2008(2008年)

音楽

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シングル

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  • 涙が燃えて / あこがれの人(1970年、ビクター音楽産業
  • 愛と栄光の日々 / いつまでもいつまでも(1971年、日本コロムビア
  • 君がそばにいるから / 絵里加(1973年、日本コロムビア)

脚注

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  1. ^ a b c d e 『日本映画人名事典』 男優篇 下巻、キネマ旬報社、1996年、339頁。ISBN 978-4873761893 
  2. ^ a b c d e f 『福島民報』1980年3月26日付朝刊、13面。
  3. ^ a b c d 刑事マガジン 2003, p. 81.
  4. ^ a b “「特捜最前線」夏夕介さん胃がんで死去”. 朝日新聞. (2010年1月28日). オリジナルの2013年6月21日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130621033430/http://www.asahi.com/showbiz/nikkan/NIK201001280018.html 2012年4月23日閲覧。 
  5. ^ 日本タレント名鑑2003』VIPタイムズ社、2003年、277頁。ISBN 978-4-9901242-1-2 
  6. ^ 『芸能手帳 タレント名簿録』 VOL.30、連合通信社、1995年、158頁。 
  7. ^ a b c d 刑事マガジン 2003, p. 83.
  8. ^ 高エリ花さんら熱演 宝塚音楽学校第89期生文化祭そして卒業式 - ウェイバックマシン(2004年11月25日アーカイブ分)
  9. ^ 「決定!保存版 '76 ALLスタアLIST 夏 夕介」『スタア』1976年2月号、平凡出版、103頁。 
  10. ^ a b c 『読売新聞』1971年10月7日付朝刊、23面。
  11. ^ 『福島民報』1971年11月13日付夕刊。
  12. ^ http://www.tvdrama-db.com/drama_info/p/id-14519
  13. ^ a b 「スーパーヒーロー作品 STAFF・CASTインタビュー」『テレビマガジン特別編集 テレビマガジンヒーロー大全集』(増補改訂版)講談社、1992年、236頁。ISBN 978-4061784147 
  14. ^ 刑事マガジン 2003, p. 82.
  15. ^ スポーツニッポン 2010年1月28日付紙面
  16. ^ 『TVスター名鑑2003』東京ニュース通信社、2002年、261頁。ISBN 978-4924566187 
  17. ^ 『日本タレント名鑑'94』VIPタイムズ社、1994年、261頁。 

関連項目

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参考文献

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  • 「70年代刑事ドラマ・スペシャル」『刑事マガジン Vol.1』辰巳出版〈タツミムック〉、2003年9月1日。ISBN 4-88641-908-9 

外部リンク

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