地下銀行
地下銀行(ちかぎんこう)とは、銀行法等に基づく免許を持たず、不正に海外に送金する業者のこと。本人確認が必要でないため、主に不法滞在の外国人が不法就労や犯罪で入手した資金を母国に送金するのに利用される。
定義
編集銀行法等に基づく免許を得ずに送金依頼された金を不正に海外に送金するもの[1]。
概要
編集日本では送金や銀行振り込みなどの為替取引は銀行にのみ認められている[2]。しかし、正規の銀行を利用して海外送金するにはパスポートなどの本人確認が必要となり不法就労者が利用することが難しい。そのため、不法滞在の外国人が不法就労や犯罪で入手した資金を母国に送金するのに利用される。
しかし、正規の銀行よりも手数料が安く、送金が迅速[3]、休日夜間でも送金を行ってくれるなど[4]、利用しやすさから正規の外国人就労者が利用する場合もある[3]。
中国にも同様の組織があるが[5][6]、送金業務に特化した日本の地下銀行と違い、高利貸しなど貸金業務も行っている[7]。
無免許による為替取引は銀行法違反(銀行法第4条・第61条第1項)により3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金が課せられる。
手数料
編集日本の大手銀行では海外送金の手数料が最低でも5000円程度かかるのに対し[8]、地下銀行では送金額の1%前後[4][9][10][11]や1回1000円[12]など正規の銀行に比べて安い場合が多い。また、為替差益を手数料として受け取る場合もあった[13]。
送金方法
編集受け取ったお金を個別に送金して渡す方法だと手間や時間がかかるため、電話などで現地組織に連絡を取り、現地にプールさせていた資金を振り込むという方法がとられる[3]。なお、この仕組みは合法的な銀行で行われているコルレス契約と基本的には同じである。
脚注・出典
編集- ^ “来日外国人犯罪の現状(平成13年中) 検挙事例から見る特徴 34ページ”. 警察庁. 2009年2月26日閲覧。
- ^ “送金サービス開放で合意 金融審 1ページ目”. 産経新聞. (2008年8月19日) 2009年2月26日閲覧。
- ^ a b c “活発化する地下銀行 円高で増える母国送金 犯罪助長を警戒する警察”. 統一日報. (2008年11月5日) 2009年2月26日閲覧。
- ^ a b “日本語学校費用も…地下銀行で日中間で19億円送金”. 産経新聞. (2008年12月18日) 2009年2月26日閲覧。
- ^ “06年は総額2100億円 中国の資金洗浄摘発”. 共同通信. (2006年12月19日) 2009年2月27日閲覧。
- ^ “大規模「地下銀行」摘発、85億元集める―江蘇・揚州”. サーチナ. (2009年2月26日) 2009年2月27日閲覧。
- ^ “中国、中小企業の資金繰り支援 債務返済前でも新規融資”. 日経新聞. (2009年2月20日) 2009年2月27日閲覧。
- ^ “送金サービス開放で合意 金融審 2ページ目”. 産経新聞. (2008年8月19日) 2009年2月26日閲覧。
- ^ “地下銀行摘発、15億送金か/中国人の男逮捕”. 四国新聞. (2007年7月21日) 2009年2月26日閲覧。
- ^ “「地下銀行」容疑で逮捕 中国に5億円送金か”. 産経新聞. (2008年2月26日) 2009年2月26日閲覧。
- ^ “中国へ24億円不正送金か/「地下銀行」で15人逮捕”. 四国新聞. (2008年1月28日) 2009年2月26日閲覧。
- ^ “インドネシアに20億送金か/地下銀行運営の疑いで逮捕”. 四国新聞. (2008年3月27日) 2009年2月26日閲覧。
- ^ “ネットバンクで地下銀行 5億円送金か、男を逮捕”. 共同通信. (2006年6月21日) 2009年2月27日閲覧。
関連項目
編集- 資金洗浄(マネーロンダリング)
- 犯罪による収益の移転防止に関する法律
- 本人確認法
- ハワラ(Hawala)