八風バス
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八風バス株式会社(はっぷうバス)は、三重県桑名市を中心に乗合バス事業と貸切バス事業を運営する運輸事業者であり、三重交通の関連会社である。2007年(平成19年)12月1日に貸切事業所を四日市市へ移転している。
本社外観(2021年7月) | |
種類 | 株式会社 |
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市場情報 | 非上場 |
本社所在地 |
日本 〒511-0841 三重県桑名市大字小貝須字新堀北1604 北緯35度3分13.5秒 東経136度41分56.9秒 / 北緯35.053750度 東経136.699139度座標: 北緯35度3分13.5秒 東経136度41分56.9秒 / 北緯35.053750度 東経136.699139度 |
設立 | 1952年(昭和27年)3月7日 |
業種 | 陸運業 |
法人番号 | 8190001012489 |
事業内容 | 乗合・貸切バス事業 |
代表者 | 代表取締役 神谷昭彦 |
資本金 | 2,400万円 |
売上高 | 2億6,637万円(2015年3月期) |
従業員数 | 45名(2016年4月現在) |
主要株主 | 三重交通グループホールディングス株式会社 |
外部リンク | http://happubus.sanco.co.jp/ |
沿革
編集1950年代、員弁川南岸のうち、員弁郡および桑名郡桑部村は農村地帯であり、梅戸井村大字梅戸、大字金井、および大長村大字南大社は商工業が発達しつつあり、それら地域は、桑名市、名古屋市との経済、文化的結びつきが強く、同方面へ通勤、通学者が多い状況であった[1]。しかしながら、員弁川南岸は公共交通機関に乏しく、道路も昭和初期に桑名梅戸井線(県道)が開通したが、久米村中上より大長村役場に至る区間では、道路有効幅員が3 m半という状況であった。同社が最初に開設した路線である梅戸線沿線の大部分では、徒歩または自転車により2 - 4 km程度移動し、員弁川北岸に位置する北勢線を利用しなければならないという状況であった。また、員弁川は3.2 - 3.9 kmに1箇所しかなく交通不便であった。沿線のうち梅戸井地区では、三岐線を利用している状況であった。三岐線では、富田駅(当時)を経由するため、桑名や名古屋に至るには時間を要するという状況であった[1][2]。
そのような背景のもと、八風バス株式会社設立発起人会(代表者:小林慶蔵)は、1950年(昭和25年)12月13日に、梅戸線の一般乗合旅客自動車運送事業免許の申請を行った[3]。発起人代表には沿線にて醤油醸造業を営む小林慶蔵が就任し、桑名市内で鋳物工場を営む者3名、他には独立の商業を営むものが就任した。ところが、輸送人口が過大であるという指摘がなされ、同社設立発起人会は、1951年(昭和26年)6月21日で取り下げ願を提出した[4]。
その後、資本計画の確実化および運行回数を減少した内容で、1951年(昭和26年)6月30日申請を再度を行なった。梅戸線は、桑名駅前(桑名市大字桑名591ノ2)を起点に、益生駅前、桑部、赤尾、志知、念仏橋の各停留所を経由し、梅戸停留所(員弁郡梅戸井村大字梅戸666番地)に至る路線であった。同申請には、道路状況が未整備のため、念仏橋停留所から大長学校前停留所の区間に待避所を3箇所設ける計画がなされている[1]。1951年(昭和26年)11月8日に同申請は免許され、1952年(昭和27年)3月7日には、同社(本社:員弁郡久米村大字志知2524番地)が設立された[5]。
株式6万株のうち、3万株は発起人が引き受け、残りの3万株は一般公募によったが、桑名商工会議所、久米村、梅戸井村、大長村が株式募集を引き受けた[6]。このように、同社は、親会社もなく独立の地元資本によって設立されたことが特徴である[7]。設立時の役員も、代表取締役の小林慶蔵をはじめ、ほか5名の取締役らは、地元の商店や工場の経営者などであることが特徴である[2]。
ところが、経済界の金づまりのため、資金が集まらず自動車の購入が遅れた結果、運転手及び車掌の選考も遅れたため、運転開始期間が遅れた。しかしながら、ついに1952年(昭和27年)3月21日に梅戸線(桑名駅前 - 益生駅前 - 梅戸間)を、自動車3両、1日6往復にて開業した[5]。
同社は開業後、梅戸線の延伸に着手し、1952年(昭和27年)には、石榑線および福王線の事業拡張計画趣意書を作成している。同計画書では、石榑線、福王線のみならず、将来の計画として、保々村、竹永村、千種村を経由して湯の山温泉への延長も企図していた[7]。
石榑線、福王線新設のために、1955年(昭和30年)11月には、資本金を600万円に増資し、名古屋鉄道系列となった[8]。1955年(昭和30年)12月には、石榑線(梅戸 - 田口新田 - 石榑間)(当時8往復)と、福王線(梅戸 - 小島 - 田光 - 福王山間)(当時6往復)を開通させた。1956年(昭和31年)には桑名駅前 - 田光 - 福王山間が開通した[9]。
1957年(昭和32年)11月以降、名古屋鉄道と近畿日本鉄道との間で、名古屋近郊のバス路線協定交渉をきっかけに、名古屋鉄道が所有する同社株式の譲渡が問題となった。この問題は、名古屋鉄道所有株式が、新中京バスを経由して、三重交通に譲渡される模様であることが、1958年(昭和33年)1月に開かれた取締役会において明らかになった。結局、名古屋鉄道と近畿日本鉄道の両社がバス相互乗入や共同ビル建設等を進めることで合意した。この結果、八風バスは1958年(昭和33年)4月には三重交通の傘下に入った[8]。
1958年(昭和33年)5月17日に同社路線の中枢となる桑部橋が折損した。その影響を受け業績が伸び悩んだ。また、国道1号の改良工事が施行されたのをきっかけに、同年の利用状況は低下し、前年比で16%減少した[8]。
1961年(昭和36年)5月28日には、貸切事業を営業開始を開始した。
その後同社は、桑名駅前 - 桑部橋 - 念仏橋 - 穴太駅前にも路線を伸ばしたが[10]、遅くとも1997年(平成9年)には、石榑線は廃止され、桑名 - 梅戸 - 福王山間は、福王神社の縁日(毎月3・13・23日)のみ運行となった[9]。一方で、宅地造成に伴い伊坂台線を開設し、梅戸線からの経由運行の形で運行している。
2020年(令和2年)3月現在、三重交通グループホールディングスが同社の株式を100%保有しており、連結子会社である[11]。
年表
編集- 1952年(昭和27年)
- 1955年(昭和30年)11月:資本金600万円に増資[12]。
- 1958年(昭和33年)4月1日: 関ガ原線の運輸協定に伴い、当社株式7,912株(約66%)が名鉄から三重交通に譲渡され[12]、三重交通傘下となる。
- 1961年(昭和36年)5月28日: 貸切事業営業開始。
- 1965年(昭和40年)5月8日:本社を桑名市寿町中央ビルに移転[14]。
- 1966年(昭和41年)11月1日:整理券方式を採用[14]。
- 1969年(昭和44年)9月2日:梅戸線でワンマンカーを採用[14]。
- 1973年(昭和48年)4月23日:桑名車庫を新築[14]。
- 1985年(昭和60年)9月:大安旅行センターを員弁郡大安町に開設[15]。
- 1995年(平成7年)12月18日:本社を桑名営業所に移転[16]。
- 1997年(平成9年)
- 1999年(平成11年)3月29日:新デザインバス(イルカバス)登場[16]。
- 2001年(平成13年)12月10日 - 11日:創業50周年感謝ツアー[16]。
- 2007年(平成19年)12月1日:三重交通(北部観光営業所)に貸切バス受注を委託。
- 2008年(平成20年)4月1日:三重交通から、同社の高速バス事業・貸切バス事業の管理・運営受託事業を開始。
- 2016年(平成28年)
- 2022年(令和4年)2月17日:バスロケーションシステムのサービスを開始する。
現行路線
編集一般路線
編集志知線
編集※地域間幹線系統として、国・三重県・自治体から補助を受けて運行する[17]。
- 桑名駅前 - 益生駅前 - 桑部橋 - 赤尾台 - 志知
- 桑名駅前 - 益生駅前 - 桑部橋 - 赤尾台 - 桑名西高校
- 桑名駅前 - 益生駅前 - 桑部橋 - 伊坂台 - 赤尾台 - 桑名西高校
- 桑名駅前 - 益生駅前 - 桑部橋 - 伊坂台 - 赤尾台 - 志知
- 桑名駅前 → 益生駅前 → 桑部橋 → 正和台 → 桑名西高校
- 桑名駅前 → 益生駅前 → 桑部橋 → 正和台 → 志知
ネオポリス西高線
編集- 城山三丁目 - 城山二丁目 - 笹尾西三丁目 - 笹尾東一丁目 - 穴太駅前 - 桑名西高校
- 桑名西高校の始業・下校時間帯のみ運行するが、休校日はすべて運休する。
運行受託
編集高速バス
編集- 赤尾台名古屋高速線
- 付記事項
- 平日6往復、土曜・休日は2往復のみ運転。三重交通が運行し、八風バスが三交から運行管理を受託。
コミュニティバス
編集廃止路線
編集空港連絡バス
編集- 桑名 - 中部国際空港
- 経路
- マイカル桑名(駐車場)・マイカル桑名・マイカル桑名口・桑名駅前 - 中部国際空港
- ※三重交通と共同運行
- 運行回数
- 1日 10.5往復 (三重交通:1日4往復、八風バス:1日6.5往復)
一般路線
編集梅戸線
編集梅戸線は、同社開業当時から運行開始していた、主幹路線であった。かつては、福王神社の大祭日および正月三が日のみ、南金井から先の、福王山まで運行していた。南金井 - 福王山間の運行は、2006年(平成18年)6月6日に廃止された[23]。2006年(平成18年)12月20日のダイヤ改正により、志知 - 南金井間の本数が減少し、末期は南金井発は朝のみ、南金井ゆきは夕方の1往復のみの運行となっていたが、2022年(令和4年)8月1日に廃止された。
- 廃止当時(2022年7月31日)の停留所一覧 桑名駅前 - 有楽町(南金井ゆきのみ停車) - 桑名シティホテル前 - 市役所前 - 三ツ矢橋 - 益生駅前 - 馬道 - 西川原 - 西別所 - 稗田 - 稗田西 - 桑部橋 - 桑部 - 西桑部 - 篠原 - 能部口 - 能部 - 正和台北 - 西正和台 - 伊坂台 - 赤尾台 - 羽田 - 島田 - 平群神社前 - 志知 - 中上 - 念仏橋 - 大長 - 南大社 - フリー南大社 - 西大社 - フリー梅戸口 - 梅戸口 - 東川原 - 金井口 - 南金井
- 路線年表
朝日線
編集- 桑名駅前 - 有楽町(朝日インター口方面ゆきのみ停車) - 桑名シティホテル前 - 市役所前 - 三ツ矢橋 - 益生駅前 - 馬道 - 西川原 - 西別所 - 稗田 - キクヤ前(当時の名称、現在の稗田西)- 桑部橋南 - 白梅の丘口 - 白梅の丘 - あさひ向陽台 - 朝日中学校前 - 朝日インター口
桑名川越高校線
編集- 桑名駅前 - 益生駅前 - 白梅の丘 - 川越高校
車両
編集2006年(平成18年)度からワンステップバスが導入され、梅戸線・朝日線の他、桑名西高校のスクールバスにも運行している。2007年(平成19年)度、さらにワンステップバスを2台導入した。
かつては、「新デザインバス」と称するラッピングや塗装を施した路線車を、1999年(平成11年)3月29日に初導入(イルカバス)し、トンボバス(1999年(平成11年)11月22日登場)、第5段(2000年(平成12年)9月4日登場)、ダックス(2000年(平成12年)12月23日登場)、このはずく(2001年(平成13年)8月27日登場)[16]を続けて導入するなど、独自のデザインの車両もあったが、近年の路線車の大半は三重交通と共通の塗装である。
脚注
編集- ^ a b c 八風バス株式会社. “一般乗合旅客自動車運送事業免許申請書”. 八風バス株式会社発起人代表小林慶蔵申請一般乗合旅客自動車運送事業経営(新規)免許について: 28 .
- ^ a b “一般乗合旅客自動車運送事業経営免許申請について”. 八風バス株式会社発起人代表小林慶蔵申請一般乗合旅客自動車運送事業経営(新規)免許について: 13 .
- ^ “八風バス株式会社発起人代表小林慶蔵申請による一般乗合旅客自動車運送事業の経営免許申請書返付について”. 旅客自動車・三重県(三)・昭和二十六年. (1951) .
- ^ 八風バス株式会社設立発起人会. “一般乗合旅客自動車運輸事業経営免許取下願ニ付イテ”. 八風バス株式会社発起人代表小林慶蔵申請による一般乗合旅客自動車運送事業の経営免許申請書返付について: 6 .
- ^ a b 八風バス株式会社. “会社設立届”. 八風バス株式会社発起人代表小林慶蔵申請一般乗合旅客自動車運送事業経営(新規)免許について: 109 .
- ^ 八風バス株式会社設立発起人会. “一般乗合旅客自動車運送事業免許申請書”. 八風バス株式会社発起人代表小林慶蔵申請一般乗合旅客自動車運送事業経営(新規)免許について: 28 .
- ^ a b 三重県 編『三重県史 資料編現代2 産業・経済』三重県、1992年、565-567頁。
- ^ a b c 三重県 編『三重県史 資料編現代2 産業・経済』三重県、1992年、567-569頁。
- ^ a b 菰野町教育委員会 編『菰野町史 下巻』菰野町、1997年、55頁。
- ^ 員弁郡教職員組合 編『員弁の姿』員弁郡教育研究会、1984年、619,621頁。
- ^ “三重交通グループホールディングス株式会社 第14期有価証券報告書”. EDINET. 金融庁. 2021年5月17日閲覧。
- ^ a b c 三重交通株式会社社史編纂委員会 編『20年のあゆみ』1964年2月11日、132頁。
- ^ 近藤杢,平岡潤 編『桑名市史 本編』(第3版)桑名市教育委員会、1959年3月31日、1015頁。
- ^ a b c d 三重交通株式会社社史編纂委員会 編『最近10年の歩み』1974年2月11日。
- ^ 三重交通株式会社創立50周年記念事業推進委員会 編『三重交通50年のあゆみ』三重交通、1994年。
- ^ a b c d e f 三重交通株式会社秘書広報部広報課 編『三重交通 70年のあゆみ』2014年3月1日、148頁。
- ^ 「平成27年度地域間幹線系統確保維持補助金の交付路線」 (PDF)
- ^ 桑名・赤尾台から名古屋へ高速バス運行開始! (PDF) - 三重交通・八風バス 2006年12月8日
- ^ 三重交通と八風バス、日本で初めてバスに電子マネー“Edy”を導入! Archived 2008年5月29日, at the Wayback Machine. - ビットワレット 2006年10月4日
- ^ 三重交通と八風バス、日本で初めてバスに電子マネー“Edy”を導入! (PDF) - 三重交通 2006年10月4日
- ^ バスの料金をEdyで支払い――セントレアへの空港線で - ITmediaニュース 2006年10月05日15時15分
- ^ 桑名中部国際空港高速線の廃止について (PDF) - 三重交通・八風バス 2008年8月29日
- ^ a b c “東海3県の路線バス廃止に関する情報”. 2020年8月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月24日閲覧。
- ^ “Twitter”. 2022年3月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月5日閲覧。
- ^ “八風バス時刻表 平日用 南金井・志知・桑名西高校発”. 2021年5月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月27日閲覧。
- ^ “八風バス時刻表 平日用 桑名駅前発”. 2021年5月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月27日閲覧。
- ^ “東海3県の2006年4月〜2007年3月のバス路線新規開業・再編情報”. 2021年1月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月24日閲覧。
- ^ “東海3県のバス路線新規開業・再編情報”. 2014年12月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月24日閲覧。