京都都市圏

社会的、経済的に京都と一体性のある地域

京都都市圏(きょうととしけん)は、京都府京都市を中心に形成されている都市圏である。

京都都市圏
京都都市圏自治体ネットワーク
京都都市圏の位置(日本内)
京都都市圏
京都都市圏
北緯35度0分 東経135度46分 / 北緯35.000度 東経135.767度 / 35.000; 135.767
日本の旗 日本
構成自治体
面積
(2020年)[1]
 • 合計 5,189.41 km2
人口
(2020年)[1]
 • 合計 3,783,014人
 • 密度 730人/km2
ウェブサイト www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000223730.html

概要

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びわ湖ホールと大津市街地

京都都市圏は、多くの場合域内に京都市と滋賀県大津市の2つの都道府県庁所在地を含むため、京都府と滋賀県を併せた称である「京滋」や、両市から1字ずつとった「京津」が、そのまま京都都市圏の別称として用いられる場合がある。琵琶湖に面する大津は、平安時代から江戸時代にかけて北国東国と京都を結ぶ外港の役割も担っていた[2]

都市圏の範囲とその人口は都市圏の定義によって様々であるが、一例として、2015年国勢調査を基準とした京都都市圏(都市雇用圏)の都市圏人口は約280万人で、これは東京都市圏大阪都市圏名古屋都市圏に次ぐ日本で第4位の規模である。範囲は京都府中部から滋賀県琵琶湖南岸に及ぶ。2010年の域内総生産は10.1兆円である[3]。京都都市圏を指してグレーター京都(Greater Kyoto)あるいは京都圏と呼ぶこともある[4][5]。また、京都都市圏・大阪都市圏・神戸都市圏等を併せて一つの都市圏とする見方もあり、その場合は「京阪神」「京阪神大都市圏」「近畿大都市圏」等と呼ばれる。(例:都市圏 (総務省)

行政の取組としては滋賀県、京都府、大阪府の30の自治体でネットワーク形成が進められ、パートナーシップが結ばれている[6]

北部に丹波高地、東部に近江盆地琵琶湖、南部に京都盆地、西部に北摂山系が広がり、比良山地笠置山地をつなぐ山地が南北に横切っている。なお、京都府南部に位置する精華町笠置町和束町、およびかつての加茂町木津町山城町が合併した木津川市などの地域は奈良都市圏でもある[7]。ただし、奈良市は大阪都市圏の一部でもあり、独立した都市圏とは言い難い面もある。

範囲

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京都都市圏自治体ネットワークの市町(淡い青)と都市雇用圏(青)

京都都市圏自治体ネットワーク

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京都都市圏自治体ネットワークでは、国勢調査「従業地・通学地集計結果」において、京都市への就業・通学者(15歳以上)の割合が概ね5%以上の自治体を、経済・社会的に強い結びつきを持った一体的な圏域とみなしている。1995年に設置されたネットワーク会議に参加する滋賀県京都府大阪府の30市町の人口の合計は、2020年時点で約378万人。

京都市近隣の各自治体における2020年の京都市への就業・通学者の割合(通勤通学率)は以下の通り。※の自治体はネットワーク会議に参加していない。

滋賀県
自治体 通勤通学率
大津市 16.4%
草津市 9.0%
守山市 6.6%
栗東市 6.4%
野洲市 5.4%
高島市 4.4%
近江八幡市 3.7%
湖南市 2.9%
竜王町 2.6%
甲賀市 2.3%
彦根市 2.3%
東近江市 2.2%
愛荘町 1.8%
甲良町 1.8%
多賀町 1.8%
豊郷町 1.7%
米原市 1.6%
長浜市 1.3%
日野町 1.3%
京都府
自治体 通勤通学率
京都市 79.3%
向日市 44.5%
長岡京市 31.9%
宇治市 29.3%
大山崎町 27.3%
亀岡市 24.3%
城陽市 21.1%
久御山町 18.3%
八幡市 14.6%
京田辺市 13.8%
南丹市 12.9%
井手町 12.7%
精華町 12.4%
宇治田原町 10.4%
木津川市 8.5%
京丹波町 4.7%
大阪府
自治体 通勤通学率
島本町 13.5%
高槻市 6.3%
枚方市 5.2%
人口推移
年度人口±%
1990 3,263,277—    
1995 3,341,125+2.4%
2000 3,401,130+1.8%
2005 3,602,596+5.9%
2010 3,795,678+5.4%
2015 3,789,750−0.2%
2020 3,783,014−0.2%
Source: [1][2][3]

都市雇用圏

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京都都市圏
 
清水寺から見た京都市都心部の夜景
  日本
都道府県
中心都市
面積
(2020年)[1][3]
 • 合計 2,983.46 km2
人口
(2020年)[1][3]
 • 合計 2,869,395人
 • 密度 960人/km2
域内総生産 11兆2947億円(2015年)[8]
 
清水寺京都盆地の夜景
 
大津港の夜景

2020年(平成27年)国勢調査「常住地による従業・通学市区町村別15歳以上就業者数」に基づいた、京都市を中心市とする都市雇用圏(10% 通勤圏)の人口は約287万人。

京都市に隣接している市町のうち滋賀県高島市大阪府高槻市島本町は京都都市圏に含まない。京都市に隣接している八幡市は戦後しばらくして大阪都市圏となった。当時は綴喜郡八幡町。京都府では初めて他府県の都市圏内に入った。1980年頃には八幡市では大阪府枚方市への越境合併およびその対案として八幡市単独での大阪府への移行も市民側より要望されていた。現在は京都都市圏に含まれる[9]。また、京田辺市は2002年のJR片町線の輸送改善以降、大阪への通勤の利便性が向上したことにより、京都都市圏から大阪都市圏に移行していたが、2015年には再び京都都市圏に戻った。

京都府南部木津川市精華町笠置町和束町大阪都市圏である。京都府の都市雇用圏はこの他にも中丹地域に舞鶴都市圏福知山都市圏があり、府下だけでも3都市圏が存在している他、前述のようにや木津川市および精華町と笠置町と和束町の1市3町は大阪都市圏、南山城村伊賀都市圏であるため、京都府に関係している都市圏は全部で5つとなっている。

通勤率が最も高い自治体は京都府向日市の45.3%であり、以下は通勤率上位10の自治体である[10]

順位 府県 自治体 通勤率
1 京都府 向日市 45.3%
2 京都府 長岡京市 31.1%
3 京都府 宇治市 30.4%
4 京都府 大山崎町 26.0%
5 滋賀県 大津市 25.1%
6 京都府 亀岡市 23.9%
7 滋賀県 栗東市 22.3%
8 京都府 城陽市 21.6%
9 京都府 久御山町 17.9%
10 滋賀県 守山市 15.3%
都市雇用圏の変遷
都市圏に含まれない自治体は、各統計年の欄で灰色かつ「-」で示す。
府県 自治体
('80)
1980年 1990年 1995年 2000年 2005年 2010年 2015年 2020年 自治体
(現在)
京都府 和知町 - - - 福知山都市圏 - 京都 都市圏
267
9094人
京都 都市圏
280
1044人
京都 都市圏
286
9395人
京丹波町
瑞穂町 - - - - -
丹波町 京都 都市圏 - - - -
美山町 - - - - - 南丹市
園部町 京都 都市圏
236
1205人
京都 都市圏
248
5352人
京都 都市圏
253
9639人
京都 都市圏
258
3304人
京都 都市圏
256
0850人
八木町
日吉町
京都市 京都市
京北町
亀岡市 亀岡市
向日市 向日市
長岡京市 長岡京市
大山崎町 大山崎町
久御山町 久御山町
八幡市 大阪 都市圏 大阪 都市圏 大阪 都市圏 大阪 都市圏 大阪 都市圏 大阪 都市圏 大阪 都市圏 八幡市
田辺町 京都 都市圏 京都 都市圏 京都 都市圏 京都 都市圏 京都 都市圏 京田辺市
城陽市 京都 都市圏 京都 都市圏 城陽市
井手町 井手町
宇治市 宇治市
宇治田原町 宇治田原町
滋賀県 志賀町 大津市
大津市
草津市 草津市
栗東町 - 栗東市
守山市 守山 都市圏 守山 都市圏 守山 都市圏 守山 都市圏 守山 都市圏 守山市
野洲町 京都 都市圏 野洲 都市圏 野洲 都市圏 野洲 都市圏 野洲 都市圏 野洲 都市圏 野洲市
中主町 -

上記の市町村に関わる合併などの近年の変遷を以下に示す。

都市・地域レポート2005

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国土交通省都市・地域レポート2005では、人口10万人以上で昼夜間人口比率が1以上であり、20km以内に併存する京都市と草津市を核都市として扱い、一つの圏域に連結させて京都・草津都市圏を設定した。中部圏広域地方計画の検討資料では、草津圏域を内包する京都圏域の名前で呼ばれている[11]。圏域を構成する下記自治体の人口の合計は、2020年時点で約300万人[12]

  • 京都市
  • 草津市
  • 大津市
  • 近江八幡市
  • 守山市
  • 栗東市
  • 野洲市
  • 湖南市
  • 宇治市
  • 亀岡市
  • 城陽市
  • 向日市
  • 長岡京市
  • 八幡市
  • 京田辺市
  • 南丹市
  • 大山崎町
  • 久御山町
  • 井手町
  • 宇治田原町
  • 京丹波町

行政計画

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京都市による2001年策定の京都市基本計画では、都市構造を示す図において京都都市圏として南丹乙訓南山城湖南、大津、湖西を例示している[13]。また、都市計画マスタープランでは向日市・長岡京市・大山崎町など、宇治市・八幡市・久御山町など、けいはんな学研都市、滋賀県南西部が例示されている[14]

京都府による2005年策定の京都府交通需要マネジメント施策基本計画では、京都府のおおよそ丹波町(現京丹波町の一部)以南の都市計画区域を京都都市圏として扱っている[15]

交通

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主な鉄道

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鉄道路線図

京都駅を中心にJR近鉄の路線が放射状に伸びている。

主な道路

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高速道路など主な道路の図。点線は建設中または調査中を示す。

放射状に名神高速道路京都縦貫自動車道第二京阪道路京奈和自動車道琵琶湖西縦貫道路が伸び、環状に京滋バイパス京都第二外環状道路、建設中の新名神高速道路が位置する[16]

脚注

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  1. ^ a b c d 令和2年国勢調査結果”. 総務省統計局. 2022年7月31日閲覧。
  2. ^ 社会資本整備審議会都市計画・歴史的風土分科会第5回歴史的風土部会 配布資料”. 国土交通省. 2018年6月2日閲覧。
  3. ^ a b c 金本良嗣. “大都市雇用圏(MEA)統計データ”. 東京大学空間情報科学研究センター. 2016年11月12日閲覧。
  4. ^ 京都市の観光行政を戦略部長に聞いてきた、「量より質」への転換で解決すべき5つの課題”. トラベルボイス. 2018年6月3日閲覧。
  5. ^ 豊かな京都への提言-未来都市を求めて” (PDF). 京都経済同友会 (1968年6月). 2018年6月3日閲覧。
  6. ^ 主な連携事例”. 京都都市圏自治体ネットワーク. 2023年1月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年4月22日閲覧。
  7. ^ 稲垣稜奈良都市圏の変容に関する研究」『奈良大地理』第25号、奈良大学地理学会、2019年3月、36-48頁、CRID 1050863483155743488ISSN 21853371 
  8. ^ "滋賀県市町民経済計算" 滋賀県. "市町村民経済計算". 京都府. 2021年6月26日閲覧。
  9. ^ 令和2年国勢調査結果では八幡市に常住する京都市と草津市での従業者は3775人。
  10. ^ 通勤率は都市雇用圏に基づく。自治体に常住する就業者のうち従業市区町村「不詳・外国」と従業地「不詳」を除いた人数を分母とした京都市と草津市での従業者の比率を示す。令和2年国勢調査結果を加工して作成。
  11. ^ 参考資料6 通勤・通学圏でみた中部圏の地域構造”. 第1回中部圏広域地方計画学識者会議. 中部地方整備局 (2007年6月18日). 2021年7月10日閲覧。
  12. ^ 近畿圏の広域連携に関する調査報告書(都市機能編)” (PDF). 平成19年度国土施策創発調査. 国土交通省. p. 102. 2017年4月22日閲覧。
  13. ^ 第2章第3節市民のくらしとまちを支える基盤づくり”. 京都市基本計画. p. 107 (2001年1月). 2021年1月31日閲覧。
  14. ^ 京都市都市計画マスタープラン』(概要)京都市都市計画局都市企画部都市計画課、2021年9月、6頁https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000115733.html 
  15. ^ 京都府交通需要マネジメント施策基本計画” (2005年3月). 2021年1月31日閲覧。
  16. ^ 広域道路ネットワークの形成”. 京都国道事務所. 2018年12月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月24日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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座標: 北緯35度0分 東経135度46分 / 北緯35.000度 東経135.767度 / 35.000; 135.767