京屋襟店』(きょうやえりみせ)は、1922年大正11年)に製作・公開された日本映画である。日活向島撮影所製作、田中栄三脚本・監督。モノクロサイレント。東京下町の老舗京屋が、主人と息子の放蕩で没落し、最後に火事で焼失するまでを、四季の移り変わりの中で描く[1][2]女形を起用した旧来の新派調映画ではあるが、その写実的手法で革新的映画の一つとも呼ばれ、最高傑作として評価された。現在、フィルムは現存していない。

京屋襟店
監督 田中栄三
脚本 田中栄三
原作 田中栄三
出演者 藤野秀夫
撮影 大洞元吾
製作会社 日活向島撮影所
配給 日本の旗 日活
公開 日本の旗 1922年12月30日
上映時間 約80分(8巻)
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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日活向島撮影所最後の新派映画であり、日本映画全体からみても、女形出演の新派映画として最後の輝きを持った作品となった[3]。一部半玉役に女優が出演しているが、基本は女形による芝居となっており、その女形が持つ頽廃美を極度に発揮して[4]、下町情緒を耽美的にとらえた[5]

撮影所のグラスステージいっぱいに襟店のセットを一軒丸ごと構築し、カメラを引く場合はセットの壁を取り外して撮影された[6]。また、人工光線(ライト)を使って夜間撮影を行い、陰影のある美しい映像を作りだした。その舞台装置は亀原嘉明が務め、助監督には溝口健二がついている。

同年12月30日、正月映画として浅草オペラ館で封切られた。

キャスト

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スタッフ

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  1. ^ 筈見恒夫著『映画五十年史』p.96
  2. ^ 飯島正著『日本映画史 上巻』p.45
  3. ^ 佐藤忠男著『増補版日本映画史1』
  4. ^ 田中純一郎著『日本映画発達史 I 活動写真時代』p.364-368
  5. ^ 新藤兼人著『ある映画監督 溝口健二と日本映画』p.107
  6. ^ 『溝口健二集成』p.153

外部リンク

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