ボンドガール(Bond Girl)は、『007シリーズ』の映画小説、ゲームソフトに登場する女性キャラクターの総称。2021年公開の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』からボンドウーマンに改名された[1]

ボンドガール(ボンドウーマン)

概要

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ボンドガールの明確な定義はないが、小説・映画ともジェームズ・ボンドの敵役のガールフレンドや敵国の女性スパイなど、悪漢に雇われた立場からボンドに恋愛感情を持ち、正義に目覚めて寝返るパターンが多い。他には、MI6から派遣されたボンドの助手や、同一の敵を追う別の諜報機関の女性エージェントで、最後はボンドと恋仲になるといった女性が見られる。上司Mの秘書である中年女性のマネーペニーは、ボンドが恋愛感情を持っていないため、ボンドガールとは定義されていない。

ウルスラ・アンドレス(ハニー・ライダー)(1962)が広く最初のボンドガール、とみなされている。2人目のダニエラ・ビアンキ、3人目のゴールドフィンガー(1964)のオナー・ブラックマンらが登場し、ボンド映画に定期的に出演する女性と観客に印象づけた。

数多くのボンドガールについて、シリーズ全体のトップ10リストを作成しようとする多くの試みがあった。これらのリストに頻繁に登場するキャラクターには、Anya Amasova(The Spy Who Loved Me・Barbara Bach)、プッシー・ガロア(ゴールドフィンガー:オナー・ブラックマン)、コンテッサ・テレーザ(女王陛下の007・ダイアナ・リグ)、しばしばリストの1位のハニー・ライダー(ドクター・ノオUrsula Andress)らがいる。エンターテインメント・ウィークリーは「ボンド水着」に注目し、ハル・ベリーのオレンジとピンクの2種類のビキニ(ダイアナザーデイ,2002)などを取り上げている。

演じる女優の一部は、国際的には有名ではない女優やモデルが起用された時期もあった。知名度よりも、観客の印象に残る美しい女性を起用する方針が採られ、発音の誤りや訛りを排除するため声優が台詞を吹き替えていた[注釈 1]。多くの場合、魅力的でグラマラスな女優が選ばれた。その一方、近年ではソフィー・マルソーハル・ベリーミシェル・ヨーなど大物女優も積極的に出演している。脇役扱いでも美貌から注目されることも多く、出演することは女優にとって名誉とされる[2]

007は二度死ぬ』では、若林映子浜美枝の2人が日本人ボンドガールを演じた[3]

歴代ボンドガール

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原作のみのボンドガール

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作品名 名前
ムーンレイカー ガーラ・ブランド
珍魚ヒルデブランド リズ・クレスト
薔薇と拳銃 メアリー・アン・ラッセル
私を愛したスパイ ヴィヴィエンヌ・ミシェル
所有者はある女性 マリア・フロイデンスタイン
ベルリン脱出 トリガー(KGBスナイパー)

イオン・プロ作品

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作品名 (公開年) 役名 女優
007 ドクター・ノオ (1962) ハニーチャイル(ハニー)・ライダー   ウルスラ・アンドレス
シルビア・トレンチ   ユーニス・ゲイソン
ミス・タロー   ゼナ・マーシャル
007 ロシアより愛をこめて (1963) タチアナ・ロマノヴァ   ダニエラ・ビアンキ
シルビア・トレンチ   ユーニス・ゲイソン[注釈 2]
ヴィーダ   アリジャ・ガー
ゾラ   マルティーヌ・ベズウィック
007 ゴールドフィンガー (1964) プッシー・ガロア   オナー・ブラックマン
ジル・マスターソン   シャーリー・イートン
ティリー・マスターソン   タニア・マレット
ディンク   マーガレット・ノーラン
007 サンダーボール作戦 (1965) ドミニク(ドミノ)・ドゥルヴァル   クローディーヌ・オージェ
フィオーナ・ヴォルペ   ルチアナ・パルッツィ
ポーラ・キャプラン   マルティーヌ・ベズウィック[注釈 3]
パトリシア・フィアリング   モリー・ピーターズ
007は二度死ぬ (1967) アキ   若林映子
キッシー鈴木   浜美枝
リン   ツァイ・チン[注釈 4]
ヘルガ・ブラント   カリン・ドール
女王陛下の007 (1969) トレイシー(テレサ)・ディ・ヴィンチェンゾ   ダイアナ・リグ
ルビー・バートレット   アンジェラ・スコーラー
007 ダイヤモンドは永遠に (1971) ティファニー・ケイス   ジル・セント・ジョン
プレンティ・オトゥール   ラナ・ウッド
マリー   ドゥニーズ・ペリエ
007 死ぬのは奴らだ (1973) ソリテア   ジェーン・シーモア
ロージー・カルヴァー   グロリア・ヘンドリー
ミス・カルゾー   マリデン・スミス
007 黄金銃を持つ男 (1974) メアリー・グッドナイト   ブリット・エクランド
アンドレア・アンダース   モード・アダムス
チューミー フランソワーズ・テリー
007 私を愛したスパイ (1977) アーニャ・アマソーヴァ(エージェントXXX)   バーバラ・バック
ナオミ   キャロライン・マンロー
フェリカ オルガ・ビセラ
007 ムーンレイカー (1979) Dr.ホリー・グッドヘッド   ロイス・チャイルズ
コリン・デュフォー   コリンヌ・クレリー
マニュエラ   エミリー・ボルトン
007 ユア・アイズ・オンリー (1981) メリナ・ハヴロック   キャロル・ブーケ
ビビ・ダール   リン=ホリー・ジョンソン
リスル伯爵夫人   カサンドラ・ハリス
007 オクトパシー (1983) オクトパシー   モード・アダムス[注釈 5]
マグダ   クリスティナ・ウェイボーン
ビアンカ ティナ・ハドソン
007 美しき獲物たち (1985) ステイシー・サットン   タニア・ロバーツ
メイデイ   グレイス・ジョーンズ
キンバレー・ジョーンズ メアリー・スタヴィン
ポーラ・イワノワ   フィオナ・フラートン
007 リビング・デイライツ (1987) カーラ・ミロヴィ   マリアム・ダボ
リンダ ケル・タイラー
007 消されたライセンス (1989) パム・ブーヴィエ   キャリー・ローウェル
ルペ・ラモーラ   タリサ・ソト
007 ゴールデンアイ (1995) ナターリャ・シモノーヴァ   イザベラ・スコルプコ
ゼニア・オナトップ   ファムケ・ヤンセン
キャロリーヌ   セレナ・ゴードン
007 トゥモロー・ネバー・ダイ (1997) ウェイ・リン   ミシェル・ヨー
パリス・カーヴァー   テリー・ハッチャー
インガ・バーグストーム セシル・トムセン
007 ワールド・イズ・ノット・イナフ (1999) エレクトラ・キング   ソフィー・マルソー
クリスマス・ジョーンズ   デニス・リチャーズ
モリー・ワームフラッシュ博士   セレナ・スコット・トーマス
007 ダイ・アナザー・デイ (2002) ジャシンタ(ジンクス)・ジョンソン   ハル・ベリー
ミランダ・フロスト   ロザムンド・パイク
ピースル・ファウンテイン・オブ・デザイヤー   レイチェル・グラント
007 カジノ・ロワイヤル (2006) ヴェスパー・リンド   エヴァ・グリーン
ソランジュ   カテリーナ・ムリーノ
007 慰めの報酬 (2008) カミーユ   オルガ・キュリレンコ
ストロベリー・フィールズ   ジェマ・アータートン
007 スカイフォール (2012) セヴリン   ベレニス・マーロウ
M   ジュディ・デンチ
007 スペクター (2015) ルチア   モニカ・ベルッチ
マドレーヌ・スワン   レア・セドゥ
007 ノー・タイム・トゥ・ダイ (2021) ※マドレーヌ・スワン  レア・セドゥ
※パロマ  アナ・デ・アルマス

※「ノー・タイム・トゥ・ダイ」では「ボンド・ウーマン」の呼称。

番外編

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作品名 (公開年) 役名 女優
カジノ・ロワイヤル (1954) テレビ版 ヴァレリー・マティス   リンダ・クリスチャン
007 カジノロワイヤル (1967) ヴェスパー・リンド   ウルスラ・アンドレス
マタ・ボンド   ジョアンナ・ペティット
"The Detainer"   ダリア・ラヴィ
ミミ   デボラ・カー
ミス・グッドシング   ジャクリーン・ビセット
ネバーセイ・ネバーアゲイン (1983) ドミノ・ペタッチ   キム・ベイシンガー
ファティマ・ブラッシュ   バーバラ・カレラ
幸いと栄光を -ロンドンオリンピック開会式- (2012) エリザベス2世   エリザベス2世(本人)[4]

女優ギャラリー

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ジェームズ・ボンドが好むボンドガール

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学術誌 "Sex Roles" に掲載された調査によると、映画『007シリーズ』の第1作から第20作までに登場する女性キャラクター195人を調べたところ、98人がジェームズ・ボンドと「性的接触」を持ち、46人が「強い」接触、52人がキスなどの「マイルドな」接触のみだった。分析により、以下の結果が明らかにされた[5][6]。一部のみ掲載する。

  • 平均年齢は推定で26歳。ただし、20歳以上であること。
  • 身長は165cm以上。ただし、例外あり。
  • 四分の三が白人、アジア系8%、黒人7%。アラブ人とネイティヴ・アメリカンは一握りであった。
  • 性的関係を持った相手は、そうでなかった相手より、若くスリムで魅力的であり、眼鏡をかけていない傾向がある。
  • 髪の色は黒髪40%、ブラウン19%、赤毛9%に対しブロンドは27%で、ダーク・ヘアーの方が親密になり易い。
  • ロング・ヘアーは18%、ショート・ヘアーは22%だったが、ロング・ヘアーの方がより性的関係を持つに到る傾向がある。

また、最近の傾向として、髪がより短くなり、相手を選ばなくなっている。この調査は、クリーブランド州立大学の、キンバリー・ノイエンドルフ教授の主導で行われた。

関連項目

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脚注

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注釈

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  1. ^ ニッキ・ヴァン・デア・ジル(Nikki Van der Zyl)、バーバラ・ジェフォード(Barbara Jefford)など
  2. ^ 『007 スペクター (2015)』、『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ (2021)』のマドレーヌ(レア・セドゥ)までは唯一、同じボンドガール役で複数作品に出演した。
  3. ^ 『ロシアより愛をこめて』とは別の役柄での登場。
  4. ^ 40年後、『カジノ・ロワイヤル』 にマダム・ウー役でカメオ出演した。
  5. ^ 『黄金銃を持つ男』とは別の役柄での登場。主役級でのボンドガールを二度演じたのはアダムスのみ。この後、『美しき獲物たち』にもカメオ出演し、ボンドガールでは最多出演となる。また、ボンドガールでは38歳と歴代最年長出演記録を保持。

出典

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  1. ^ Luli Maruyama (2021年10月14日). “ダニエル・クレイグ版『007』シリーズのボンドガールたちは今なにしてる? - エヴァ・グリーンやオルガ・キュリレンコらのその後に迫る!”. ハーパーズ バザー (ハースト婦人画報社): 10 of 11. https://www.harpersbazaar.com/jp/celebrity/celebrity-buzz/g37943216/bond-girls-211014-hb/?slide=10 2023年5月23日閲覧. "レア・セドゥ(『007 スペクター』マドレーヌ・スワン役) - 9 of 11:「…2021年、『007 / ノー・タイム・トゥ・ダイ』…ボンドガールではなくボンドウーマンと呼称が変更されている点が今作のポイントだ」 - 10 of 11" 
  2. ^ “色気炸裂!「007」仏出身ボンドガールのファッション”. ウォーカープラス (KADOKAWA). (2015年11月27日). https://moviewalker.jp/news/article/68608/ 2024年10月10日閲覧。 
  3. ^ “ボンドガール 写真特集”. 時事ドットコム. 時事通信社. (2012年). https://www.jiji.com/jc/d4?p=bdg012-jlp02147446&d=d4_ent 2024年10月10日閲覧。 
  4. ^ 英エリザベス女王、「史上最も記憶に残るボンドガール」としてBAFTA名誉賞
  5. ^ “James Bond prefers brunettes, research says” (英語). Telegragh.co.uk. (2009年6月7日). http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/celebritynews/5460969/James-Bond-prefers-brunettes-research-says.html 2009年8月6日閲覧。 
  6. ^ “ジェームズ・ボンドのセックス調査が学術専門誌に!黒髪でやせ型の女性が好き?”. シネマトゥデイ. (2009年6月5日). https://www.cinematoday.jp/news/N0018370 2009年8月6日閲覧。 

外部リンク

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