アーティゾン美術館
アーティゾン美術館(アーティゾンびじゅつかん、英: Artizon Museum)は、東京都中央区京橋にある私立美術館。公益財団法人石橋財団が運営している。
アーティゾン美術館 Artizon Museum | |
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施設情報 | |
専門分野 | 西洋美術、日本近代美術、古美術品、現代美術 |
収蔵作品数 | 約2800点[1] |
館長 | 石橋寬 |
管理運営 | 公益財団法人石橋財団 |
建物設計 |
日建設計(建物全体) TONERICO(美術館内装デザイン) 廣村デザイン事務所(美術館サインデザイン)[2] |
延床面積 | 6,715 m2 [1] |
開館 | 2020年1月18日 |
所在地 |
〒104-0031 東京都中央区京橋1丁目7番2号 |
位置 | 北緯35度40分43.81秒 東経139度46分18.8秒 / 北緯35.6788361度 東経139.771889度座標: 北緯35度40分43.81秒 東経139度46分18.8秒 / 北緯35.6788361度 東経139.771889度 |
外部リンク | https://www.artizon.museum/ |
プロジェクト:GLAM |
2019年7月1日にブリヂストン美術館 (ブリヂストンびじゅつかん、英: Bridgestone Museum of Art)から改称し[3]、2020年1月18日にミュージアムタワー京橋内で新たにオープンした。従来の西洋美術、日本近代絵画に加えて、再開後は古美術品や現代美術なども幅広く収蔵・展示する施設とする[4]。Artizonはart(美術)とhorizon(地平)を合わせた造語。
概要
編集現在の株式会社ブリヂストンの創業者である実業家石橋正二郎の収集した美術品を展示するため、1952年、東京・京橋に新築されたブリヂストン本社ビル(永坂産業京橋1丁目ビル)内に「ビルの中に美術館」を開設する先駆けとして[5]開館した。石橋は昭和初め頃から日本の近代絵画の収集を始め、西洋美術の収集に本格的に乗り出したのは第二次大戦後のことであった。石橋は、戦前に既に日本にもたらされていた西洋美術のコレクションを、戦後まとまった形で入手し、美術館開館までのわずか数年間に日本有数の西洋美術コレクションを形成した。
石橋正二郎は美術館の開館後も収集を継続した。1956年には財団法人石橋財団が設立され、1961年には美術品も財団へ移管された。同じ1956年、郷里の福岡県久留米市には石橋美術館を中核施設とする石橋文化センターが寄贈された。なお、石橋財団は2016年9月をもって石橋美術館の運営を久留米市に返還し、同美術館は2016年10月から久留米市美術館として再出発した。石橋財団が所有し、石橋美術館で展示してきた国宝・重要文化財を含む美術品は全て、石橋財団アートリサーチセンター(東京都町田市)で一括管理されることとなった[6]。
館では1999年にリニューアルを行い、内装を一新した。印象派絵画の展示室は、従来の無機質な空間ではなく、床に絨毯を敷き、壁は色付きとして、19世紀当時、絵画が鑑賞されていた時代の雰囲気を出していた[7]。
2015年5月18日からビルの建替えに伴い長期休館。2019年7月1日から館名をアーティゾン美術館に変更し、翌2020年1月18日、竣工したミュージアムタワー京橋の1 - 6階部分に入り再開館した。
開館時間
編集主な収蔵品
編集- レンブラント・ファン・レイン『聖書あるいは物語に取材した夜の情景』1626-28年
- カミーユ・コロー『ヴィル・ダヴレー』1835-40年
- オノレ・ドーミエ『山中のドン・キホーテ』1850年頃
- ギュスターヴ・クールベ『雪の中を駆ける鹿』1856-57年頃
- エドガー・ドガ『レオポール・ルヴェールの肖像』1874年頃
- ピエール=オーギュスト・ルノワール『すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢』1876年
- カミーユ・ピサロ『菜園』1878年
- エドゥアール・マネ『自画像』1878-79年
- アルフレッド・シスレー『サン=マメス、六月の朝』1884年
- フィンセント・ファン・ゴッホ『モンマルトルの風車』1886年
- ポール・ゴーギャン『乾草』1889年
- ギュスターヴ・モロー『化粧』1885年-1890年
- ポール・セザンヌ『サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール』1904-06年
- モーリス・ド・ヴラマンク『運河船』1905-06年
- クロード・モネ『黄昏、ヴェネツィア』1908年
- アメデオ・モディリアーニ『若い農夫』1918年頃
- モーリス・ドニ『バッカス祭』1820年
- ジョルジュ・ルオー『郊外のキリスト』1920-24年
- パブロ・ピカソ『腕を組んですわるサルタンバンク』1923年
- パウル・クレー『島』1932年
- アンリ・マティス『青い胴着の女』1935年
- 藤島武二『黒扇』(重要文化財)1908-09年
- 山下新太郎『読書』1908年
- 藤田嗣治『猫のいる静物』1939-40年
- 小出楢重『帽子をかぶった自画像』1924年
- 中村彝『自画像』1909年
- 佐伯祐三『テラスの広告』1927年
- 関根正二『子供』1919年
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カミーユ・コロー『ヴィル・ダヴレー』1835 - 40年
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モロー『化粧』1885 - 90年頃
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エドゥアール・マネ『自画像』1878 - 79年
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モネ『睡蓮の池』1907年
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アルフレッド・シスレー『サン=マメス、六月の朝』1884年
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セザンヌ『サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール』1904 - 06年頃
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アンリ・ルソー『牧場』1910年
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浅井忠『縫物』1902年
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青木繁『天平時代』1904年
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藤島武二『黒扇』(重要文化財)1908 - 09年
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小出楢重『帽子をかぶった自画像』1924年
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中村彝『自画像』1909年
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佐伯祐三『テラスの広告』1927年
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関根正二『子供』1919年
主な収蔵品(旧石橋美術館保管分)
編集- 禅機図断簡(丹霞焼仏図)因陀羅筆 1幅 紙本墨画 中国・元時代(国宝)福岡藩黒田家伝来
- 雪舟「四季山水図」4幅 絹本墨画淡彩 15世紀(重要文化財)福岡藩黒田家伝来で、正二郎が黒田家から直接譲り受けた
- 円山応挙「竹に狗子・波に鴨図」(襖絵)8面 紙本墨画淡彩 18世紀
- 黒田清輝「針仕事」(1890年)
- 藤島武二「天平の面影」(1902年)(重要文化財)、「チョチャラ」(1908 - 09年)
- 青木繁「海の幸」(1904年)(重要文化財)、「大穴牟知命」(1905年)、「わだつみのいろこの宮」(1907年)(重要文化財)
- 佐伯祐三「コルドヌリ」(1925年)
- 古賀春江「鳥籠」(1929年)
- 坂本繁二郎「放牧三馬」(1932年)
- 『古今和歌集』巻第一断簡(高野切第一種)(重要文化財)福岡藩黒田家伝来
- 青磁鉄斑文瓶(飛青磁花瓶)中国・元時代(重要文化財)福岡藩黒田家伝来
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雪舟 四季山水図(春景)
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雪舟 四季山水図(夏景)
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雪舟 四季山水図(秋景)
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雪舟 四季山水図(冬景)
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青木繁『わだつみのいろこの宮』
脚注
編集- ^ a b “ぐるっと東日本・アートを歩く 芸術さんぽ アーティゾン美術館(東京都中央区) 東京駅そば、洗練の空間 /東京”. 毎日新聞. (2020年2月28日) 2020年9月27日閲覧。
- ^ 日経アーキテクチュア 2020, p. 73.
- ^ 館名変更:ブリヂストン美術館から「アーティゾン美術館」へブリヂストン美術館ニュースリリース(2018年9月5日)2018年9月6日閲覧。
- ^ 2020年1月、いよいよ、新美術館開館へブリヂストン美術館ニュースリリース(2018年9月5日)2018年9月6日閲覧。
- ^ その後1990年以前まで、サントリー美術館・出光美術館・東郷青児美術館の3館や、セゾン美術館等百貨店内のミュージアム数館が都内に於ける「ビルの中の美術館」だった。(その後、パナソニック汐留美術館・森美術館・三井記念美術館と続き、建替え後の当館も「ビルの中の美術館」を継続。)
- ^ 久留米・石橋美術館が60年の歴史に幕(産経ニュース、2016年8月20日)
- ^ 宮崎克己「ブリヂストン美術館への招待」『読むブリヂストン美術館』所収、p.7
参考文献
編集- 石橋財団ブリヂストン美術館編 『読むブリヂストン美術館』、2001
- 石橋財団ブリヂストン美術館編 『特集展示 コレクター石橋正二郎』、2002
- 週刊朝日百科 『日本の美術館を楽しむNo.3 ブリヂストン美術館』 朝日新聞社、2004
- 『日経アーキテクチュア』日経BP、2020年3月。
関連出版
編集- 林 洋海『印象派とタイヤ王 石橋正二郎のブリヂストン美術館』現代書館、2022
関連項目
編集- 石橋財団アートリサーチセンター - 美術館で展示する絵画などの保管研究施設。
- オーディオテクニカ - ブリヂストン美術館でレコードコンサート担当だった松下秀雄が、自作のレコードプレーヤー用のカートリッジを販売するため創業した。
- 石橋文化センター - 石橋正二郎がブリヂストン創業地である福岡県久留米市に寄贈した。
- 作曲家の個展 (ブリヂストン美術館) - 美術館が1957年から1958年にかけて開催したコンサートのシリーズ。