チングルマ
チングルマ(珍車・稚児車[5]、学名: Sieversia pentapetala)とはバラ科チングルマ属(Sieversia)またはダイコンソウ属(Geum)の落葉小低木の高山植物である。ダイコンソウ属に分類するかチングルマ属に分類する説もあり、確定していない。別名、イワグルマ、チョウカイチングルマ[1]。
チングルマ | ||||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Sieversia pentapetala (L.) Greene (1899)[1] | ||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
チングルマ (珍車,稚児車) | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Aleutian avens |
概要
編集東日本(北海道~中部地方以北)、樺太、アリューシャン列島、カムチャツカ半島に分布する[6]。高山の雪渓周辺の多湿地に生える[6]。高さは10cm程度[6]。枝は地面を這い、群落を作る。葉は羽状複葉[6]。花期は6から8月。[6]花茎の先に3cmほどの白い五弁花を1つ咲かせ[6]、多数の黄色い雌しべと雄しべがある。花後、花柱は伸びて放射状に広がる。果実は痩果[6]。秋には紅葉し、ふつう赤色、しばしば橙色から黄色に色づく[7]。和名のチングルマは、この実の形が子供の風車(かざぐるま)に見えたことから稚児車(ちごくるま)から転じて付けられた[8]。
大雪山旭岳周辺の登山道沿いに数百mも続く大群落が有名である。タテヤマチングルマは薄いピングがかっている。田中澄江が『花の百名山』の著書で、黒部五郎岳を代表する高山植物のひとつとして紹介した[9]。また『新・花の百名山』で、鹿島槍ヶ岳を代表する高山植物として、シナノキンバイ、オヤマノエンドウ、タカネミミナグサと共に紹介した[10]。
富山県には「ちんぐるま」という名の和菓子がある。
現在では、流通量こそ少ない物の、園芸植物としての流通も一部で見られ、山野草を好む愛好家を中心に一般家庭にも若干の普及が見られる。
関連画像
編集花 2003年8月・蝶ヶ岳 |
実 2008年7月・空木岳 |
葉 2008年7月・空木岳 |
群生 2003年8月・蝶ヶ岳 |
群生 タテヤマチングルマ 2012年8月・立山 |
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脚注
編集- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Sieversia pentapetala (L.) Greene チングルマ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年1月2日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Sieversia pentapetala (L.) Greene var. dilatata Takeda et Honda チングルマ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年1月2日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Sieversia dryadoides Siebold et Zucc. チングルマ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年1月2日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Geum pentapetalum (L.) Makino チングルマ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年1月2日閲覧。
- ^ “ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説”. コトバンク. 2018年2月25日閲覧。
- ^ a b c d e f g 鳴橋直弘「チングルマ」『日本大百科全書』https://japanknowledge.com/library/
- ^ 林将之『紅葉ハンドブック』文一総合出版、2008年9月2日、73頁。ISBN 978-4-8299-0187-8。
- ^ 「ちんぐるま」『日本国語大辞典』https://japanknowledge.com/library/
- ^ 田中澄江『花の百名山』〈文春文庫〉1997年、221-224頁。ISBN 4-16-352790-7。
- ^ 田中澄江『新・花の百名山』〈文春文庫〉1995年、241-244頁。ISBN 4-16-731304-9。