サフラワー油
サフラワー油(サフラワーゆ、Safflower oil)は、ベニバナの種子から採取される油脂。紅花油(べにばなゆ)、サフラワーオイルとも呼ばれ、主に食用油として用いられる。 ひまわり油であるサンフラワー油と誤記されやすい。
歴史
編集ベニバナは色素原料として古くから栽培されてきたが、食用油原料として用いられるようになったのは近代に入ってからである。1950年頃からアメリカで商業生産が始まったが、当時は塗料やワニスなどの原料として利用された。工業用としては1960年代頃から生産が増えた安価な大豆油に代わられ、サフラワー油の用途は食用へと変化していった。
日本には1958年にサラダ油として販売が始まった。当時日本にはベニバナに対する関税の規定がなく、価格面で大豆油と対抗できた。1957年に、オレイン酸を主成分とするベニバナの変種が発見され、のちに品種改良によりハイオレイック(高オレイン酸)油として生産されるようになった。1990年代に入るとリノール酸の摂りすぎの弊害[1]が指摘され、従来の高リノール酸タイプからハイオレイックタイプへの転換が進んだ。
用途
編集日本ではリノール酸に対するかつての健康イメージもあり、主に家庭用高級食用油として、大豆油や菜種油に比べ高価格で販売されている。日本での消費量は年間約6万トン前後で推移している。水素添加すると粗い結晶が生じるため、そのままではマーガリンなどには適さないが、綿実油の添加によりある程度防止できる。
サフラワー油の栄養価
100 gあたりの栄養価 | |
---|---|
エネルギー | 3,699 kJ (884 kcal) |
0 g | |
糖類 | 0 g |
食物繊維 | 0 g |
100 g | |
飽和脂肪酸 | 7.541 g |
トランス脂肪酸 | 0.096 g |
一価不飽和 | 75.221 g |
多価不飽和 |
12.82 g 0.096 g 12.724 g |
0 g | |
ビタミン | |
ビタミンA相当量 |
(0%) 0 µg(0%) 0 µg0 µg |
チアミン (B1) |
(0%) 0 mg |
リボフラビン (B2) |
(0%) 0 mg |
ナイアシン (B3) |
(0%) 0 mg |
パントテン酸 (B5) |
(0%) 0 mg |
ビタミンB6 |
(0%) 0 mg |
葉酸 (B9) |
(0%) 0 µg |
ビタミンB12 |
(0%) 0 µg |
コリン |
(0%) 0.2 mg |
ビタミンC |
(0%) 0 mg |
ビタミンD |
(0%) 0 IU |
ビタミンE |
(227%) 34.1 mg |
ビタミンK |
(7%) 7.1 µg |
ミネラル | |
ナトリウム |
(0%) 0 mg |
カリウム |
(0%) 0 mg |
カルシウム |
(0%) 0 mg |
マグネシウム |
(0%) 0 mg |
リン |
(0%) 0 mg |
鉄分 |
(0%) 0 mg |
亜鉛 |
(0%) 0 mg |
マンガン |
(0%) 0 mg |
セレン |
(0%) 0 µg |
他の成分 | |
水分 | 0 g |
| |
%はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 出典: USDA栄養データベース |
項目 | 分量(g) |
---|---|
脂肪 | 100 |
飽和脂肪酸 | 7.541 |
10:0(カプリン酸) | 0.093 |
16:0(パルミチン酸) | 4.86 |
18:0(ステアリン酸) | 1.915 |
20:0(アラキジン酸) | 0.384 |
22:0(ベヘン酸) | 0.289 |
一価不飽和脂肪酸 | 75.221 |
16:1(パルミトレイン酸) | 0.095 |
18:1(オレイン酸) | 74.742 |
20:1 | 0.288 |
多価不飽和脂肪酸 | 12.82 |
18:2(リノール酸) | 12.724 |
18:3(α-リノレン酸) | 0.096 |
サフラワー油は乾性油であり、精製したものは油絵の溶き油としても用いられる。亜麻仁油と比べると乾燥が遅く、塗膜の強度は劣るが、比較的黄変しにくい。こちらの用途には固まりやすい高リノール酸タイプが適する[3]。
性質
編集脚注
編集- ^ “紅花油(サフラワー油)って危険な油?その成分や効果!”. タベルゴ (2017年5月17日). 2018年4月8日閲覧。
- ^ USDA National Nutrient Database
- ^ ホルベイン 画用液マニュアル (ホルベイン工業)
参考文献
編集- 藤田哲『食用油脂 : その利用と油脂食品』幸書房、東京、2000年。ISBN 4-7821-0173-2。
- 山嶋哲盛『サラダ油が脳を殺す :「錆び」から身体を守る』河出書房新社、2012年。ISBN 978-4-309-25269-8。