エモシオン(欧字名:Emocion1995年3月17日 - )[1]は、日本競走馬。主な勝ち鞍は、1999年京都記念

エモシオン
欧字表記 Emocion[1]
品種 サラブレッド[1]
性別 [1]
毛色 鹿毛[1]
生誕 1995年3月17日(29歳)[1]
登録日 1997年1月23日
抹消日 2001年11月21日JRA
2002年3月18日NAR
トニービン
アドラーブル[1]
母の父 ノーザンテースト[1]
生国 日本の旗 日本北海道門別町[1]
生産者 白井牧場[1]
馬主 根岸治男[1]
調教師 小林稔栗東
木原一良(栗東)
二ノ宮敬宇美浦
川島正行船橋
[1]
競走成績
生涯成績 21戦5勝[1]
獲得賞金 2億1011万4000円[1]
勝ち鞍
GII 京都記念 1999年
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戦歴

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大川慶次郎「体や四肢のバランスは抜群。馬体の良さはアグネスワールドより上、クラシックを勝つ馬に成長する」[2]

小林稔「強いことは分かっているから、敢えて力試し(トライアルへの出走)をする必要もない」[2]

関係者からこのように評価されたエモシオンは1992年優駿牝馬優勝馬アドラーブルの第2子として競走馬デビューを果たし、1998年の4歳牡馬クラシック戦線の有力馬として注目を浴びる。

皐月賞当時には重賞未勝利馬ながらセイウンスカイら3強に次ぐ支持を受けるも4着敗退、「激しいイレ込みがあったとはいえ正直期待外れでがっかり、見込み違いだったかも」[3]と評されるなど3冠タイトル全て無冠に終わるが、「折り合いを欠きながらこの結果、これから強くなる馬」[4]と今後の成長を期される面もみせた。

1999年明け5歳古馬となったエモシオンは日経新春杯2着を挟み京都記念に出走。前走の内容を評価され1番人気の支持を受け優勝、「クラシックは勝てなかったが、古馬になってからを期待していた馬なので、勝てて嬉しい」と関係者を喜ばせ、本年2月一杯での勇退が決定している小林稔調教師に最後の重賞勝利をプレゼントしている。

エモシオンはその後、木原一良厩舎へと転厩。大阪杯から天皇賞(春)への算段で調整がなされていたが転厩直後に右前浅屈腱炎を発症[5]し戦線を離脱、木原厩舎管理馬として出走することはなく、僅か半年後の1999年9月に美浦の二ノ宮敬宇厩舎へと再転厩となる。結局2年弱の休養を経て戦線復帰となったが、「追ってからの反応が悪い」[6]と騎手がコメントするなど勝ち馬から1秒以上離される精彩を欠く内容が続き、2001年11月21日付でJRAの競走馬登録を抹消、地方競馬の川島正行厩舎(船橋)に転出した[7]2002年に行われた川崎記念に出走登録したが、当時地方競馬へ移籍したばかりのエモシオンには出走資格がなく、にもかかわらず主催者側の「審査誤認」により出走投票が受理されてしまい、枠順の発表後に競走除外となった[8][9]。地方での2戦も大敗に終わり、引退した。

引退後は故郷白井牧場(北海道門別町、現:日高町)に戻った。使役馬(従業員の練習馬[10])として人材育成に一役買った後、日高ケンタッキーファームへと移動した[10]。2008年末の同施設の廃業に伴い日高町内の乗馬牧場に移動した[11][12][13]後、2011年頃再び白井牧場に戻った[14]。2013年からは引退名馬繋養展示事業の助成を受けて余生を過ごしている[15]

競走成績

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以下の内容は、netkeiba.com[16]およびJBISサーチ[17]に基づく。

年月日 競馬場 競走名 頭数 枠番 馬番 オッズ
(人気)
着順 騎手 斤量(kg) 距離(馬場) タイム
(上り3F)
タイム
勝ち馬/(2着馬)
1997 6. 7 函館 3歳新馬 7 1 1 2.1 (2人) 3着 松永幹夫 53 芝1200m(良) 1:12.7 (37.4) 1.7 アグネスワールド
6. 14 函館 3歳新馬 12 5 5 3.7 (2人) 1着 松永幹夫 53 芝1200m(良) 1:11.0 (36.6) -0.4 (アグネスクリッパー)
11. 23 中京 つわぶき賞 500 13 6 9 3.4 (1人) 1着 河内洋 54 芝1700m(良) 1:43.6 (36.1) -0.6 (オースミキャプテン)
12. 14 中京 中京3歳S OP 16 6 12 1.2 (1人) 2着 佐藤哲三 55 芝1800m(良) 1:48.8 (35.9) 0.1 エイダイクイン
1998 3. 14 阪神 すみれS OP 8 3 3 1.9 (1人) 1着 松永幹夫 55 芝2200m(良) 2:14.5 (35.0) -0.4 (ミツルリュウホウ)
4. 19 中山 皐月賞 GI 18 1 1 8.0 (4人) 4着 松永幹夫 57 芝2000m(良) 2:02.1 (37.3) 0.8 セイウンスカイ
6. 7 東京 東京優駿 GI 18 7 13 22.9 (6人) 9着 松永幹夫 57 芝2400m(稍) 2:27.6 (37.2) 1.8 スペシャルウィーク
10. 24 京都 カシオペアS OP 8 6 6 2.9 (2人) 1着 松永幹夫 54 芝2000m(良) 2:02.9 (35.5) -0.2 (アポテオーズ)
11. 8 京都 菊花賞 GI 17 7 15 26.1 (5人) 3着 松永幹夫 57 芝3000m(良) 3:03.9 (34.7) 0.7 セイウンスカイ
12. 27 中山 有馬記念 GI 16 8 16 23.7 (9人) 11着 松永幹夫 55 芝2500m(良) 2:33.2 (36.2) 1.1 グラスワンダー
1999 1. 24 京都 日経新春杯 GII 12 3 3 4.2 (2人) 2着 四位洋文 57 芝2400m(良) 2:31.4 (34.5) 0.0 メジロブライト
2. 14 京都 京都記念 GII 10 5 5 1.8 (1人) 1着 四位洋文 56 芝2200m(良) 2:15.2 (35.1) -0.4 マチカネフクキタル
2001 1. 13 中山 ニューイヤーS OP 10 5 5 7.3 (3人) 7着 蛯名正義 57 芝1600m(良) 1:36.0 (35.9) 1.7 チェックメイト
2. 3 東京 白富士S OP 10 6 6 7.0 (4人) 8着 蛯名正義 58 芝2000m(稍) 2:02.5 (37.4) 1.6 エーピーグリード
3. 4 中京 中京記念 GIII 16 8 15 18.6 (9人) 15着 木幡初広 56.5 芝2000m(稍) 2:03.0 (38.8) 3.3 ロードクロノス
7. 8 函館 巴賞 OP 11 2 2 47.4 (10人) 6着 木幡初広 58 芝1800m(良) 1:49.4 (36.1) 1.1 エアエミネム
7. 22 函館 函館記念 GIII 16 3 5 20.4 (13人) 12着 木幡初広 56 芝2000m(良) 2:04.3 (39.0) 1.9 ロードプラチナム
8. 19 札幌 札幌記念 GII 9 4 4 78.7 (7人) 8着 菊沢隆徳 56 芝2000m(良) 2:01.6 (35.3) 1.5 エアエミネム
9. 9 札幌 札幌日経オープン OP 12 7 9 14.7 (6人) 5着 勝浦正樹 58 芝2600m(良) 2:42.5 (36.6) 0.2 ファイトコマンダー
2002 1. 30 川崎 川崎記念 GI 10 6 7 除外 石崎隆之 56 ダ2100m(稍) リージェントブラフ
2. 11 大井 東京シティ盃 南関G3 16 7 13 (7人) 13着 佐藤隆 58 ダ1390m(良) 1:27.6 (38.2) 3.2 フレアリングマズル
3. 6 大井 金盃 南関G2 16 8 15 (8人) 16着 佐藤祐樹 55 ダ2000m(良) 2:15.7 (45.6) 9.3 インテリパワー

血統表

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エモシオン血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 ゼダーン系
[§ 2]

*トニービン
Tony Bin
1983 鹿毛
父の父
*カンパラ
Kampala
1976 黒鹿毛
Kalamoun *ゼダーン
Khairunissa
State Pension *オンリーフォアライフ
Lorelei
父の母
Severn Bridge
1965 栗毛
Hornbeam Hyperion
Thicket
Priddy Fair Preciptic
Campanette

アドラーブル
1989 栗毛
*ノーザンテースト
Northern Taste
1971 栗毛
Northern Dancer Nearctic
Natalma
Lady Victoria Victoria Park
Lady Angela
母の母
*エコルシユ
Ecorche
1982 黒鹿毛
Big Spruce Herbager
Silver Sari
Idmon Dr. Fager
Arachne
母系(F-No.) エコルシユ(USA)系(FN:14-c) [§ 3]
5代内の近親交配 Hyperion 9.38% 4 x 5 , Lady Angela 9.38% 5 ・ 4(母内) [§ 4]
出典
  1. ^ [18]
  2. ^ [19]
  3. ^ [18]
  4. ^ [18][19]

脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n エモシオン”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年10月8日閲覧。
  2. ^ a b 1998年4月19日日刊スポーツ
  3. ^ 1998年4月20日日刊スポーツ・大川慶次郎コメント
  4. ^ 1998年11月9日週刊ケイバブック
  5. ^ エモシオン右前浅屈腱炎判明
  6. ^ 2001年函館記念・木幡騎手コメント/日刊スポーツ
  7. ^ 優駿』2002年1月号 121頁
  8. ^ 主催者のミスで出走除外/競馬の川崎記念”. スポーツニュース>スポーツ全般一覧. 四国新聞社 (2002年1月30日). 2019年10月8日閲覧。
  9. ^ Gallop online -- 競馬ネットmagazine”. web.archive.org. 2021年3月19日閲覧。
  10. ^ a b エモシオンを訪ねて | 馬産地コラム”. 競走馬のふるさと案内所. 2022年2月15日閲覧。
  11. ^ netkeiba.com エモシオン 掲示板 2009年2月18日21:12の投稿内容”. 株式会社ネットドリーマーズ. 2022‐03‐12閲覧。
  12. ^ ミスタートウジンを訪ねて~門別 白井牧場 | 馬産地コラム”. 競走馬のふるさと案内所. 2022年3月12日閲覧。
  13. ^ JSE Result”. jse.jpn.org. 2022年3月12日閲覧。
  14. ^ エモシオンを訪ねて~白井牧場 | 馬産地コラム”. 競走馬のふるさと案内所. 2022年3月12日閲覧。
  15. ^ 引退名馬 エモシオン”. 公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル. 2022年2月15日閲覧。
  16. ^ エモシオンの競走成績”. netkeiba.com. Net Dreamers Co., Ltd.. 2019年10月8日閲覧。
  17. ^ エモシオン 競走成績”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年10月8日閲覧。
  18. ^ a b c エモシオン 血統情報:5代血統表”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年10月8日閲覧。
  19. ^ a b エモシオンの5代血統表”. netkeiba.com. Net Dreamers Co., Ltd.. 2019年10月8日閲覧。

参考文献

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  • 優駿』2002年1月号、日本中央競馬会、2002年1月1日。

外部リンク

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