「額縁」の版間の差分
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{{出典の明記|date=2018年6月7日 (木) 07:11 (UTC)}}
[[File:Rahmen.jpg|thumb|200px|木製の額縁]]
'''額縁'''(がくぶち)とは、
# [[絵画]]や[[写真]]、[[賞状]]等を入れて飾るための枠。
# [[窓]]や出入り口([[玄関]])の周囲につける化粧木。
# [[劇場]]の[[舞台]]に使われる上下左右の区切り。[[プロセニアム・アーチ]]。
本項では主に 1.について扱う。
== 概要 ==
[[語源]]は、「額(ひたい)」の「縁(ふち)」から来るものと考えられる。また、外来語表記では、
額縁を構成する[[原材料|材料]](または[[素材]]・[[マテリアル]])は、[[木材]]、金属(主として、アルミ)、[[ガラス]]、[[陶器]]、[[プラスティック]](主として、[[アクリル樹脂]]や[[ポリ塩化ビニル|塩化ビニル樹脂]]等)、[[漆喰]]、[[漆]]、[[粘土]]等、様々である。
卓上用のもの<ref name="jpo-card-C2">[https://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/pdf/card/C2.pdf 意匠分類定義カード(C2)] 特許庁</ref>、壁掛用のもの<ref name="jpo-card-C2"/>、卓上・壁掛共用のものがある<ref name="jpo-card-C2"/>。なお、室内装飾だけではなく屋外用のものも存在する<ref name="jpo-card-C2"/>。
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:[[油絵]]用の額。大半が本縁で、木製のものが多い。枠・ガラス(アクリル)・入れ子・裏板の構造になっており、入れ子と裏板の間にカンバスを入れる形になる。こうすることで絵の表面とガラスとを触れさせずに済む。また、厚みのあるものを入れるため'''ドロ足'''(ドロあし)と呼ばれる角材を背面に取り付けており、これによって深さを増している。デザインは豊富で、色は金・銀・茶などが多い。
;仮縁(かりぶち)
:枠のみでガラスも裏板もない、油絵用の額。主に[[展覧会]]などで使用され、作品の移動や一時的に重ねた場合に作品を保護する。木製と金属製のものがあり、特に金属製のものは[[ねじ|ネジ]]を使って自分で組み立てるタイプが多い。どちらも単に[[キャンバス|カンバス]]をはめ込むだけであるため、長期的な作品の保護には向いていない。また、カンバスは外れないように[[タッカー (工具)|タッカー]]やネジなどで止める。
;デッサン額
:[[水彩|水彩画]]や[[リトグラフ]]、写真、[[刺繍]]など、幅広い分野に使われる額。厚みのあるものには向いていない。材質やデザインは様々で、枠・ガラス(アクリル)・裏板の構造になっており、ガラスと裏板の間に絵を入れる。大抵の場合、マットと呼ばれる厚さ2ミリほどの中抜きした台紙をガラスと絵の間に挟む。これは絵とガラスを密着させないためと見映えを良くするためのもので、油彩額などの入れ子と同様の役割を果たす。
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;賞状額
:賞状用の額。木製のものが多く、枠・ガラス(アクリル)・裏板の構造になっている。サイズも賞状に合わせてあるため、そのまま入れることが多い。賞状のサイズによってはマットを入れることもある。デザインの種類は少ない。
:光沢のある'''光輝'''、茶色の縞模様の'''金ラック'''
:また賞状額の場合、額の四隅に[[ボール紙]]が[[ホッチキス]]で止められていることが多いが、これは保護を目的としたものであるため飾る際には外す必要がある。
;証書額
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==歴史==
{{節
日本における額縁製造業の創始者として[[静岡市]]出身の[[長尾健吉]](1860-1938)がいる<ref name=tobun>[https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/8529.html 長尾建吉]独立行政法人 国立文化財機構 東京文化財研究所</ref>。東京日本橋の斎藤商会店員として[[パリ万国博覧会 (1878年)]]に参加、その後もオーストラリア、米国、英国などに出張し、パリにて洋風家具を学び帰国、パリ万博が縁で親しくなった[[山本芳翠]]と額縁の研究にあたり、1892年に芝愛宕町で洋画専門の額縁製造業を始めた<ref name=tobun/>。1905年に磯谷商店とし<ref>[https://www.isogaya.co.jp/artist/isogaya/isogaya-rireki.htm 磯谷商店(長尾建吉・一平・健一)]いそがや</ref>、国内各地の展覧会での洋画陳列や[[赤坂御所]]、[[聖徳記念絵画館]]などの額縁工事などを手掛けるなど、日本の洋画壇に貢献した<ref name=tobun/>。
==額縁の構成==
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:額縁のメインとなる外枠の部分。単に枠や外枠と呼ぶことも。木製、金属製が多く、他にプラスチック製の物などがある。内側にガラス、入れ子(マット)、絵、合紙、裏板などが入り、裏側にはトンボや吊金具が取り付けられる。
;ガラス・アクリル
:作品を埃や汚れなどから保護するためのもの。そのため、これらを総称して'''ダストカバー'''と呼ぶこともある。ガラスは重くて割れることがある反面、キズが付きにくい。一方アクリルは[[静電気]]が起きやすくキズが付きやすい代わりに軽くて割れにくく、[[紫外線]]もある程度カットできる。ガラスには表面に加工を施したナングレアガラス(無反射ガラス)やUVカットガラスなどがあり、アクリルには製法によって「押し出し」
:なお、油絵では反射光により鑑賞が妨げられたり表面の質感が損なわれたりするという理由からダストカバーを付けないこともある(そちらが本式だという意見もある)。
;入れ子(ライナー)
:油彩額などの内側に嵌め込まれている、絵とガラスとを密着させないための枠組。一部の和額などにも使用されており、この内側部分にカンバスなどを嵌め込む形となる。また、表面には麻などの布が貼られており、ガラスを押さえたり見映えを良くするなどの役割がある。油彩額用のものは'''オイルライナー'''とも呼ばれる。
;マット
:デッサン額などで使用する、絵とガラスとを密着させないための台紙。これが[[酸性紙]]だとマットだけではなく作品まで[[酸]]によって傷んでしまうため、[[中性紙]]のものが良く使用される。絵が描かれている部分にあわせて中抜きをし、その台紙に専用の中性テープなどで絵を固定する。中抜きは通常長方形だが、多角形や楕円形、[[アーチ]]状に抜くこともある。また、マットに複数の中抜きを施すことで、一つの額に複数の絵を額装することも可能。様々な色があり、二枚重ねにしたり面金加工
;合紙(あいし)
:絵と裏板の間に挟む紙。絵の裏側に裏板が直接触れないようにすることで絵を保護する。当然こちらも中性紙が望ましい。
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== 額縁のサイズ ==
[[File:
額縁のサイズには規格がある。ちなみにここで言うサイズとは、絵やカンバスなどを入れる部分の縦横の内寸を指し、深さの度合いは含まない。もちろん規格外の額を特注することも可能。
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== 脚注 ==
=== 注釈 ===
{{notelist}}
=== 出典 ===
{{reflist}}
== 関連項目 ==
{{Wiktionary}}
{{Commons&cat|picture frame|frames}}
*[[畳箱]]
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*[[絵馬]]
*[[算額]]
*[[額縁放送]]
* [[ギルディング]]
*[[ラーメン (骨組)|ラーメン構造]] - 建築物に利用される構造。ラーメン(Rahmen)とはドイツ語で額縁を意味する。
== 外部リンク ==
* [http://www.gakubuchi-japan.com/ 全国額縁組合連合会]
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:かくふち}}
[[Category:美術]]
[[Category:装飾]]
[[Category:インテリア]]
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