第一次星間大戦
第一次星間大戦(だいいちじせいかんたいせん、Space War I)は、SFアニメ作品『超時空要塞マクロス』の作品舞台となった架空の戦争の名称。作中における西暦2009年2月から西暦2010年3月にかけて、地球人類と異星人ゼントラーディとの間で行われた宇宙戦争。
なお、アニメ映画『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』もこの宇宙戦争を舞台とするが、異なる設定付けがなされている。詳細は劇場版を参照。
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
概要
西暦1999年のASS-1落下に伴い樹立された地球統合政府と、ゼントラーディ基幹艦隊の一つである第118基幹艦隊(ボドル基幹艦隊)の間の戦争。SDF-1マクロスによる主砲の砲撃でゼントラーディ艦艇が撃沈された事が直接の開戦の引き金となった。
戦争の結果、第118基幹艦隊は旗艦を失い壊滅(航行可能の残存艦は全て撤退)、同艦隊のボドルザー総司令官は戦死。人類も基幹艦隊約480万隻による地球全土に対する爆撃によりほぼ全滅。地上での生存者数は僅か約100万人足らずであった。
陣営
- 地球側
- 地球統合政府及び地球統合軍
- 後に第67グリマル級分岐艦隊(ブリタイ艦隊)、ラプラミズ艦隊がマクロスと同盟を締結
- 同盟に反対し、独自の判断で離脱していた第109分岐艦隊(カムジン艦隊)が対基幹艦隊との戦闘中に合流した。
- ゼントラーディ側
- 第118基幹艦隊(ボドル基幹艦隊)
開戦前状況
西暦1999年7月に地球に落下してきたASS-1から、ゼントラーディ軍や監察軍の存在を察知した人類は、統合戦争の末、地球統合政府と地球統合軍を樹立。ASS-1からもたらされたオーバーテクノロジーを解析、会得しながら、その技術をもってASS-1を宇宙軍所属SDF-1マクロスとして改修。同時に既存兵器の発展と新兵器の開発を推進させ、バトロイド・バルキリーやデストロイドシリーズの開発、宇宙軍の創設等を行い、宇宙規模の戦闘勢力に対抗する準備を行っていた。
一方、ゼントラーディ軍は、50万周期前から監察軍との戦争状態を継続しており、太陽系近辺にて監察軍との戦闘の際、一隻の砲撃戦艦(ASS-1)が監察軍から放棄された。放棄艦は自動操縦にて単独でフォールド航行に突入し、戦線を離脱。月の軌道上に出現し、地球へと落下する。この戦艦の航跡を追って、ゼントラーディ軍第118基幹艦隊・第67グリマル級分岐艦隊(=ブリタイ艦隊)がゼントラーディとしては初めて太陽系へ侵入した。
開戦
西暦2009年2月、南アタリア島にて地球に落下したASS-1を復元改修して完成したSDF-1マクロスの盛大な進宙セレモニーの開催中、月軌道上にASS-1の追跡調査の任務にあたっていたブリタイ艦隊の先鋒艦が出現。超時空レーダーがASS-1出現時と同様の時空振動をキャッチし、統合軍は警戒態勢に移行した。
出現ポイントが月軌道上という事もあり、まだ相当の距離があったので、統合軍にもまだ僅かながらも余裕があったはずであったが、突然マクロスの主砲発射システムが起動。メインブリッジクルーの操作も受け付けず発射してしまう。この時点で、マクロス艦長ブルーノ・J・グローバルは、マクロスはゼントラーディ軍に対する監察軍のブービートラップであった事を初めて認識する。
砲撃は接近しつつあった先鋒艦を直撃し、同艦は轟沈。これにより監察軍が地球に潜伏していると誤認したゼントラーディ軍は、すぐさま戦闘部隊を地球へ向け進撃、これに対し統合軍も宇宙軍とバルキリー隊を主軸として応戦したため、双方とも宣戦布告、通告無しで戦闘状態へ突入することとなった。
この戦闘は、南アタリア島の地上戦まで展開し、マクロスのフォールド暴走事故による地球圏離脱に伴い終結する。ブリタイ艦隊はマクロスを追跡して同圏内より撤退した。
また、この異星人ゼントラーディとの戦闘は統合政府により厳重な報道管制が行われ、公式発表では、南アタリア島は反統合勢力のゲリラ活動により全滅、との嘘の報道が行われた。
戦争の経過
フォールドシステムの原因不明の暴走により、南アタリア島一帯と避難民5万8千人を包括したまま冥王星軌道上に転移したマクロスは、フォールドシステムの消失という事態となり、通常航行での地球帰還を余儀なくされる。一方、ゼントラーディ軍も、マクロスを中心に広域的な包囲網を展開。マクロスを運用している地球人の実態を探るべく、散発的な戦闘やスパイ活動による情報収集を繰り返しながら、少しずつ地球へ向けて移動していた。
その頃地球では、異星人の脅威が現実となり、宇宙空母アームドシリーズの実戦展開、グランドキャノンの実働準備など、地球全土的の臨戦態勢に移行。しかし、ASS-1墜落以降、抵抗する準備を進めてきた地球人類であったが、統合戦争終戦からわずか2年しか経過しておらず、グランドキャノンは未だ一号機のみが完成、月面アポロ基地でのSDF-2メガロードの建造は始まったばかりという、明らかに事態に間に合わなかったという状況であった。
そんな中、航海中にゼントラーディ軍に拿捕され、奇跡的に脱出した早瀬未沙以下3名の報告からゼントラーディ軍の全容が明らかになる。
フォールド暴走事故から9ヵ月後の2009年11月、遂にマクロスはゼントラーディ軍の包囲網を突破することに成功、大気圏に突入し太平洋に着水。地球への帰還を成し遂げた。しかし統合軍は、敵軍の追跡を受けながら帰還して来たマクロスの受け入れに難色を示し、民間人の上陸も許可せず、マクロスを囮として地球圏離脱の命令を発令する。ブルーノ・J・グローバルと早瀬未沙のゼントラーディ軍に関する報告も、敵軍のあまりの規模に現実感に乏しく、統合軍上層部の危機感は依然薄いままであった。