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'''坂東八平氏'''（ばんどうはちへいし）は、[[平安時代]]中期に[[坂東]]（[[関東地方]]）に下向して[[武家]]となった[[平氏#桓武平氏|桓武平氏]]流の[[平良文]]を祖とする諸氏<ref>坂東八平氏の初期系図には混乱が見られることから、桓武平氏とは無縁の氏族が後世になって仮冒したのではないかとの説もある（太田『姓氏家系大辞典 第二巻』 「平」の項 3584p.）。</ref>。八つの氏族に大別されていたため、「'''八平氏'''」と呼ばれ、武蔵国周辺で有力[[武士団]]を率いた代表格の家門である。
 
== 概要 ==
昌泰元年（898年）に[[平高望]]が[[遥任]]国司が常態であった上総介に任じられると、子の[[平国香|国香]]・良兼・良将を伴って任地に下向し、上総は元より、国香は常陸大掾（大掾氏）、良将は鎮守府将軍を勤めるなどして、常陸国や下総国にも勢力を拡大し坂東に武士団を形成、後に[[平将門]]や[[平清盛|清盛]]まで輩出する武家平氏の基盤を固めた。続いて高望の側室の子良文も下り、[[大掾氏]]やその子孫一門が坂東各地これに散らばって勢力あたる。他にも[[熊谷氏]]を扶植、三浦中心とした[[武蔵平氏・]]や、伊豆の土肥氏豪・秩父[[北条氏・千葉氏などの武家となっ]]に仕えた。この良文流の[[坂東伊豆平氏]]を指して'''坂東八平（[[長崎氏'''と呼んでい]]）などがある。
 
続いて高望の側室の子良文も下り、その子孫が坂東各地に散らばって勢力を扶植し、後に上総氏・千葉氏・相馬氏・三浦氏・梶原氏・秩父氏・畠山氏（平姓）などの武家となった。[[坂東平氏]]の中でも特にこの良文流を指して'''坂東八平氏'''と呼んでいる。
国香やその子[[平貞盛|貞盛]]、[[平繁盛|繁盛]]兄弟を祖とする桓武平氏の一族は、[[親王任国]]制度の下で、[[親王]]の代わりに実務を取り仕切る親王の血族・[[地下人|下級貴族]]として活動し[[常陸平氏]]嫡流の[[大掾氏]]一門、[[越後平氏]]の[[城氏 (平氏)|城氏]]、上総介を世襲した[[上総氏]]、千葉介を世襲した[[千葉氏]]、相模介を世襲した[[三浦氏]]、他に[[奥山氏]]、[[簗田氏]]、[[関氏]]、[[伊勢氏]]など、坂東のみならず全国で有力[[在庁官人]]となり、同時に武家として現地に勢力を持つ[[軍事貴族]]（武家貴族）でもあった。後に源氏と平氏が武家の二大名門となることでわかるように、そのような出自の高さと貴族としての地位を兼ね合わせることから平氏は武家の中でも別格の存在であった。とは言え、[[平将門]]が典型であるように、東国の武家平氏は、[[清和源氏]]一門や[[藤原北家]]一門に恭順しその[[郎党]]となるか、あるいは抵抗して追討されるなどして、中央権力の獲得や幕府の成立には至らなかったが、後に坂東平氏の庶流である[[伊勢平氏]]が勢力を伸長して[[平清盛]]は西国を基盤として中央政権を牛耳るまでに至り[[平家]]と呼ばれるようになる<ref name="tamagawa">玉川学園・玉川大学・協同 多賀歴史研究所 「[http://www.tamagawa.ac.jp/SISETU/KYOUKEN/kamakura/sagami2/index.html 幕府を創った相模の武士たち（鎌倉御家人の誕生）」]</ref>。▼
 
八平氏とはいうものの、時代や年代により優勢を誇った氏族が移り変わるため、数え方はその時々の各氏族の勢力によりで様々であるが、。一般的には[[千葉氏]]・[[上総氏]]・[[三浦氏]]・[[土肥氏]]・[[秩父氏]]・[[大庭氏]]・[[梶原氏]]・[[長尾氏]]の八氏が多く挙げられる<ref>[https://kotobank.jp/word/%E5%9D%82%E6%9D%B1%E5%85%AB%E5%B9%B3%E6%B0%8F-118480 坂東八平氏(ばんどうはちへいし)とは - コトバンク]</ref>。また、[[室町時代]]に栄えた八つの氏族いわゆる[[関東八屋形]]と 坂東八平氏は無関係で、両方共通してその名を挙げられるのは千葉氏のみである。▼
[[治承・寿永の乱|源平の争乱]]では、平家に対峙した[[源頼朝]]と初期は敵対する氏族が多かったが、抗争を経つつ、相模・伊豆・武蔵などの坂東八平氏が多く参加し、[[千葉常胤]]、[[三浦義明]]、[[畠山重忠]]、[[江戸重長]]、[[梶原景時]]などが各地で転戦、頼朝が開いた[[鎌倉幕府]]の創設に尽力して、その功績で[[御家人]]としての地位を確立する<ref name="tamagawa"/>。▼
 
▲国香やその子[[平貞盛|貞盛]]、[[平繁盛|繁盛]]兄弟を祖とする桓武平氏の一族は、[[親王任国]]制度の下で、[[親王]]の代わりに実務を取り仕切る親王の血族・[[地下人|下級貴族]]として活動し[[常陸平氏]]嫡流の[[大掾氏]]一門、[[越後平氏]]の[[城氏 (平氏)|城氏]]、上総介を世襲した[[上総氏]]、千葉介を世襲した[[千葉氏]]、相模介を世襲した[[三浦氏]]、他に[[奥山氏]]、[[簗田氏]]、[[関氏]]、[[伊勢氏]]など、坂東のみならず全国で有力[[在庁官人]]となり、る。それと同時に武家として現地に勢力を持つ[[軍事貴族]]（武家貴族）でとしての一面もあった併せ持つようになる。後に源氏と平氏が武家の二大名門となることでわかるように、そのような出自の高さと貴族としての地位を兼ね合わせることから平氏は武家の中でも別格の存在であった。とは言え、[[平将門]]が典型であるように、東国の武家平氏は、[[清和源氏]]一門や[[藤原北家]]一門に恭順しその[[郎党]]となるか、あるいは抵抗して追討されるなどして、中央権力の獲得や幕府の成立には至らなかったが、後に坂東平氏の庶流である[[伊勢平氏]]が勢力を伸長して[[平清盛]]は西国を基盤として中央政権を牛耳るまでに至り[[平家]]と呼ばれるようになる<ref name="tamagawa">玉川学園・玉川大学・協同 多賀歴史研究所 「[http://www.tamagawa.ac.jp/SISETU/KYOUKEN/kamakura/sagami2/index.html 幕府を創った相模の武士たち（鎌倉御家人の誕生）」]</ref>。
良文を祖とする坂東八平氏は、[[平忠頼|忠頼]]の子[[平将恒|将恒]]（生母は平将門の娘）を祖とする[[秩父氏]]とそれからの派生による[[秩父平氏]]（[[畠山氏]]・川越氏・葛西氏・江戸氏・小山田氏など）、[[平忠常|忠常]]を祖とする上総氏や千葉氏の流れは[[房総平氏]]（相馬氏など）、相模全域に繁茂した[[鎌倉氏]]を中心とする[[相模平氏]]（中村氏、土肥氏、三浦氏、鎌倉氏、長尾氏、大庭氏、梶原氏）から成る<ref>『[[尊卑分脈]]』は[[三浦氏]]・[[鎌倉氏]]・[[長尾氏]]・[[大庭氏]]・[[梶原氏]]・[[土肥氏]]など[[相模平氏]]の祖を、良文ではなく[[平良茂|良茂]]の子[[平良正|良正]]としているこれは良文の兄の[[平良兼|良兼]]の系統の[[尾張平氏]]（[[長田氏]]、[[水野氏 (平姓)|水野氏]]）も同様である。</ref>。他に[[平直方|直方流]]の[[熊谷氏]]を中心とした[[武蔵平氏]]や、[[北条氏]]を中心とした[[伊豆平氏]]（[[長崎氏]]）もある。▼
 
▲[[治承・寿永の乱|源平の争乱]]では、平家に対峙した[[源頼朝]]と初期は敵対する氏族が多かったが、抗争を経つつ、相模・伊豆・武蔵などの坂東八平氏が多く参加し、[[千葉常胤]]、[[三浦義明]]、[[畠山重忠]]、[[江戸重長]]、[[梶原景時]]などが各地で転戦、頼朝が開いた[[鎌倉幕府]]の創設に尽力して、その功績で[[御家人]]としての地位を確立する<ref name="tamagawa"/>。
 
▲良文を祖とする坂東八平氏は、[[平忠頼|忠頼]]の子[[平将恒|将恒]]（生母は平将門の娘）を祖とする[[秩父氏]]とそれからの派生による[[秩父平氏]]（[[畠山氏]]・川越氏・[[豊島氏]]・葛西氏・江戸氏・小山田氏など）、[[平忠常|忠常]]を祖とする上総氏や千葉氏の流れは[[房総平氏]]（相馬氏など）、相模全域に繁茂した[[鎌倉氏]]を中心とする[[相模平氏]]（中村氏、土肥氏、三浦氏、鎌倉氏、長尾氏、大庭氏、梶原氏）から成る<ref>『[[尊卑分脈]]』は[[三浦氏]]・[[鎌倉氏]]・[[長尾氏]]・[[大庭氏]]・[[梶原氏]]・[[土肥氏]]など[[相模平氏]]の祖を、良文ではなく[[平良茂|良茂]]の子[[平良正|良正]]としているこれは良文の兄の[[平良兼|良兼]]の系統の[[尾張平氏]]（[[長田氏]]、[[水野氏 (平姓)|水野氏]]）も同様である。</ref>。他に[[平直方|直方流]]の[[熊谷氏]]を中心とした[[武蔵平氏]]や、[[北条氏]]を中心とした[[伊豆平氏]]（[[長崎氏]]）もある。
▲時代や年代により優勢を誇った氏族が移り変わるため、数え方はその時々の各氏族の勢力により様々であるが、一般的には千葉・上総・三浦・土肥・秩父・大庭・梶原・長尾の八氏が多く挙げられる<ref>[https://kotobank.jp/word/%E5%9D%82%E6%9D%B1%E5%85%AB%E5%B9%B3%E6%B0%8F-118480 坂東八平氏(ばんどうはちへいし)とは - コトバンク]</ref>。また、[[室町時代]]に栄えた八つの氏族いわゆる[[関東八屋形]]と 坂東八平氏は無関係で、両方共通してその名を挙げられるのは千葉氏のみである。
 
== 坂東八平氏系譜 ==
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{{familytree|border=1|tamoc| | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | |tamoc=[[平高望|高望王]]}}
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{{familytree|border=1|yofum| | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | |yofum=[[平良文]]<br>（村岡五郎）}}
{{familytree|border=1| |)|-|-|-|-|-|-|-|-|-|-|-|.| | | | | | | | | | | | | }}
{{familytree|border=1|tayor| | | | | | | | | |tamit| | | | | | | | | | | | |tayor=[[平忠頼]]|tamit=[[平忠光]]}}
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{{familytree|border=1|tsnag| |ntats| |tunmu| |tamet| |kanar| |kamur| |kamit|tsnag=[[平常長]]|ntats=[[平武綱|秩父武綱]]|tunmu=[[平常宗]]|tamet=[[三浦為継]]|kanar=[[鎌倉景成]]|kamur=[[鎌倉景村]]|kamit=[[鎌倉景通]]}}
{{familytree|border=1| |)|-|-|-|.| | | |!| | | |!| | | |!| | | |!| | | |!| }}
{{familytree|border=1|tunek| |tuneh| |tunhi| |yoaki| |kamas| |kaaki| |kahis|tunek=[[千葉常兼]]<br>（[[千葉氏]]）|tuneh=[[平常晴|相馬常晴]]<br>（[[上総氏]]）|tunhi=[[中村宗平]]<br>（[[中村氏 (相模国)|中村氏]]）|yoaki=[[三浦義明]]|kamas=[[鎌倉景正]]<br>（景政）|kaaki=[[鎌倉景明]]|kahis=[[梶原景久]]<br>（[[梶原氏]]）}}
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{{familytree|border=1|tunes| |tunez| |saneh| | | | | |katgu| |kamun| |kahir|tunes=[[千葉常重]]|tunez=[[平常澄|佐賀常澄]]|saneh=[[土肥実平]]<br>（[[土肥氏]]）|katgu=[[鎌倉景継]]|kamun=[[大庭景宗]]<br>（[[大庭氏]]）|kahir=[[長尾景弘]]<br>（[[長尾氏]]）}}
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== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
 
=== 注釈 ===
{{notelist}}
 
=== 出典 ===
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== 参考文献 ==
* [[太田亮]] 『姓氏家系大辞典 第二巻』（ [[角川書店]]、 1963年、ISBN）ISBN 4-04-030220-6
 
==関連項目==
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{{DEFAULTSORT:はんとうはちへいし}}
[[Category:平氏|*はんとうはちへいし]]
[[Category:日本の名数8|はんとうはちへいし]]
[[Category:武家の氏族]]
[[Category:関東地方の歴史]]
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